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「ミノスゲーム」第1話

※以下は小説ではなく、漫画原作を想定とした字コンテとなります。
※キャラクターの顔画像(イメージ)はvroidにて自作した物となります。
※各種画像は全て著作権フリーの自作(3Dを画像化)か購入した素材となります。

1話「ミノスゲーム」

■場所:2F:ホテルの一室

高級ホテルのベッドで寝ている男子高校生。

夜熊明彦(やくまあきひこ)
宮殿のシェフは誰?

「宮殿のシェフは誰?」という声が聞こえて目を開く。

夜熊(やくま)、ベッドから体を起こす。

周囲を見回す。

夜熊「どこ……?」

夜熊、テーブルの上に置かれたメッセージカードに気づく。

カードを手に取る。

カードには、ミノスゲームへの参加に関して書かれている(下画像参照)

メッセージカード

夜熊(ミノスゲーム?)

夜熊「何だよそれ…」

夜熊(てか、なんでホテルに?)

夜熊(俺は確か…)

頭痛がして頭をおさえる。

夜熊(とりあえず、部屋を出るか)

■場所:2F:ホテル通路

夜熊、部屋を出ると同じように部屋を出てきた
竜泉寺(りゅうせんじ)と遭遇。

竜泉寺纏(りゅうせんじまとい)

竜泉寺「夜熊!」

夜熊「竜泉寺…」

竜泉寺「私達、なんでこんな場所にいるの?」

夜熊「それがさっぱり」

竜泉寺「誘拐されたってこと?」

夜熊「にしては、場所が綺麗過ぎると思う」

竜泉寺「そうだよね」

竜泉寺「ここってホテルだもんね」

夜熊「メッセージカード読んだ?」

竜泉寺「ミノスゲーム、って書かれてた」

夜熊「他には?」

竜泉寺「ロビーに来いって」

夜熊「同じだな」

竜泉寺「私達、部活が終わって…」

夜熊「あぁ、そうだ。そう」

夜熊「部室で一緒に話してた記憶ある」

竜泉寺「でも…その後の記憶が曖昧で…」

夜熊(どういうことだ?)

夜熊(部活後の記憶が全くない…)

竜泉寺「何か…気味悪いね」

夜熊「竜泉寺も怖がるんだ」

竜泉寺「私、女子なんですけど?」

夜熊「いや、普通の女子は痴漢を武力で制圧できないから」

竜泉寺「空手は私のライフワークなの」

夜熊「怪物が隣にいると安心するよ」

竜泉寺「怪物の正拳突きで制圧されたい?」

夜熊「共同部室の埃は俺が必ず除去するよ」

竜泉寺が笑う。

竜泉寺「何か夜熊と話して…少しだけ安心した」

夜熊、エレベーターの搭乗口を指差す。

夜熊「ロビーに行こう」

竜泉寺「うん。そうだね」

■場所:1F:ロビー:エレベーター前

エレベーターから二人(夜熊、竜泉寺)が降りると、

ロビーの広間から人の声がする。

ロビーの広間に移動する二人。

■場所:1F:ロビー:広間

※広間全体を映す
※広間にはクラスメイト達がいる

夜熊「広いな…」

竜泉寺「豪華なシャンデリア……蝋燭までのってる」

竜泉寺が巨大なシャンデリアを見上げながら言う。

竜泉寺「宮殿でもイメージしてるのかな」

周囲を見回す夜熊。

女生徒の一人が竜泉寺を見つけて駆け出してくる。

虎谷「まといぃ~~~~!」

竜泉寺に抱きつく女生徒の虎谷(こたに)。

虎谷まどか(こたにまどか)

虎谷「あぁっ、私の故郷がここにあるぅっ」

竜泉寺の豊満な胸に顔を擦り付ける虎谷。

竜泉寺「うわっ、まどか! 何かこぼしてる!」

虎谷が抱きついた拍子に手に持っていたジュースを絨毯にこぼす。

虎谷「大丈夫セーフ! 染みになってない!」

虎谷が高級そうな絨毯を指さしてセーフのポーズを取る。

再び竜泉寺の胸に顔を埋める。

その様子を見て呆れる夜熊。

近くにいた男子生徒が近づいて来て夜熊に話しかける。

小蟹淳平(おがにじゅんぺい)

小蟹「いいよなぁ。故郷に帰れて」

小蟹「俺もあんな故郷に帰りたい」

小蟹が虎谷の行動を羨ましそうに見ながら言う。

夜熊「皆ロビーにいるのか?」

小蟹「全員ロビーにいるよ」

小蟹「君らが一番の寝坊助ですわ」

夜熊「何なんだこの状況?」

小蟹「今判明していることは5つ」

小蟹「俺らA組全員がこのホテルにいること」

小蟹「全員お目覚めは、ホテルの部屋であること」

小蟹「ロビーには俺達"阿手内(あてない)高校"の生徒以外がいないこと」

小蟹「携帯の電波がつながらないこと」

小蟹「そして、出口が無いこと」

夜熊「出口がない? どういう意味だ?」

小蟹「まんまの意味」

小蟹「ロビーの癖に出口がどこにも見当たらない」

小蟹「こんだけ広いのに、エントランスも、おまけにフロントすら無い」

小蟹「欠陥工事にも程があるホテルっすわ」

夜熊「……他の階は?」

小蟹「他の階は――」

小蟹が喋ろうとして怒鳴り声。

猪子場「ふざけんな!糞が!」

猪子場真也(いのこばしんや)
石馬遥斗(いしまはると)

猪子場「なんで他の階に行けねぇんだよ!」

猪子場がソファを蹴る。

石馬「あーあ。高っけぇぞソレw」

石馬「蹴ったこと後でチクっちゃおっかねぇ」

石馬(いしま)が隣でニヤけながら誂う。

猪子場「うっせ! 知るかこんな糞ホテル!」

猪子場と石馬の二人組を遠目で見る夜熊と小蟹。

小蟹「牛崎(ぎゅうざき)の取巻きーズも荒れてるねぇ」

夜熊「他のフロアには行けないんだな」

小蟹「俺も試したけど、無理だった」

小蟹「行けるのは、1Fのロビーと俺らが寝ていた2Fの宿泊フロア」

小蟹「エレベーターのボタンが何故か他の階は反応しない」

夜熊「ホテルのスタッフもいないんだよな?」

小蟹「影も形も毛一本すら見当たらねーっすわ」

小蟹「ちなみに、二番手の俺が目を覚ましたのが19時半頃だから…」

広間にある時計の針は21時20分になっている

小蟹「約2時間はロビーを堪能してる」

夜熊「2時間もか……一番手は?」

小蟹「猫井田(ねこいだ)」

夜熊「あー……」

小蟹「ユーモアたっぷりに話しかけても会話のキャッチボールができねぇから」

小蟹「心折れそうだったわ」

夜熊「猫井田は興味が有ることにしか反応しないタイプよな」

小蟹「さらっと傷つけやがって」

夜熊「瀬兎(せと)とかは?」

小蟹「あのナルシストの生徒会長様は、ほれ」

小蟹が指差すと、そこには瀬兎が離れた位置で複数人の生徒達をまとめている。

瀬兎秀一郎(せとしゅういちろう)

瀬兎「皆、とりあえず落ち着こう」

瀬兎「僕が思うに。これは学外レクリエーションの一環じゃないかな」

女生徒「瀬兎君が言うならそうかもー」

女生徒達が色めきだっている。

瀬兎「緊急時における集団の協調性を学習する為のね」

瀬兎「蛇原さんもそう思わない?」

蛇原美鈴(じゃはらみすず)

蛇原「えぇ!? わ、私?」

蛇原「う、うーん……私もそう思う……思う、かなぁ?」

愛想笑いを浮かべる蛇原。

女生徒「(うざっ。いい子ぶってさぁ)」

女生徒の一人がボソリとつぶやいたのを蛇原が聞こえて顔を曇らせる。

瀬兎「だから取り乱すのは良くない。冷静に待機して先生を見返してやろう」

女生徒「瀬兎君にさんせー!」

小蟹「あんな感じに相変わらず仕切っておられますよ」

小蟹「何様なんだか」

夜熊「瀬兎アレルギーが凄いな」

夜熊が笑う。

小蟹「生徒会と俺ら剣道部は予算問題で対立してんの」

夜熊「ただの嫉妬が透けて見えるよ」

小蟹「夜熊もさー。もっと敵意を剥き出しにしていこうぜ」

夜熊「面倒くさいから俺はいいよ」

小蟹「ったく。この甘ちゃん平和主義者は」

小蟹「まぁ、それは置いとくとして。この状況…」

小蟹「どう思います?」

夜熊「瀬兎の言うように、野牛島(やごしま)先生が仕組んだサプライズとか?」

小蟹「教師の鏡だねぇ」

小蟹「生徒達の都合無視して拉致して」

小蟹「道徳の授業は教師にこそ義務化した方が良くね」

小蟹「ネットが繋がったら速攻で拡散してやる」

夜熊「だな」

■場所:1F:ロビー:BAR

BARのカウンターにある冷蔵庫をごそごそと漁っている猫井田(ねこいだ)。
※BAR:広間の奥にある

猫井田歩(ねこいだあゆみ)

猫井田「ない。ない。ない。ない」

そう言いながら冷蔵庫から取り出したものを後ろに放り投げていく。

鼠家「あ、歩ちゃんっ、そんなに散らかしたら怒られるよぉ~」

鼠家聖子(ねずみやせいこ)

猫井田「あった!」

猫井田がピクルスの入った瓶を手に持って頬ずりする。

鼠家「歩ちゃん、まさか…」

鼠家(ねずみや)が制止する前に、瓶を勝手に開けてピクルスを食べる猫井田。

猫井田「うーーーーーん。ドーパミン分泌♥」

鼠家「だ、駄目だよぉ~。勝手に食べちゃ」

猫井田「口開けて」

猫井田がピーマンのピクルスを手に持って鼠家の顔前に突き出す。

鼠家「ムリムリっ。私酸味苦手だしっ」

猫井田「まだ克服してないんだー。残念」

猫井田がぺろりとピクルスを食べる。

猫井田「よし。これで高尚な頭脳が起動しそう」

猫井田が半分以下になったピクルス瓶を鼠家に手渡す。

鼠家「あぁ……こんなに食べちゃって」

猿橋弘和(さるはしひろかず)

猿橋「あ! お前らずりぃーの!」

カウンターテーブルの上に乗った猿橋が指差す。

猿橋「俺も俺も!」

猿橋が鼠家の瓶を奪ってピクルスを取り出して食べる。

猿橋「ん~~~~~すっぺぇ~~~~!」

犬童「うっさい! 猿!」

犬童愛(いぬどうあい)

BAR付近のソファに座って雑誌を読みながらくつろいでいた女生徒(犬童)が怒鳴る。

猿橋「ンだよ。犬童。ここはお前んちじゃねーぞ」

犬童「私の半径10m以内から消えて」

猿橋「なんで消えなきゃなんねーのよ!」

犬童「私がここでくつろいでいるからよ」

猿橋「答えになってねーんだよ、高飛車女!」

犬童「猿の分際で口答えするな!」

■場所:1F:ロビー:階段前

牛崎倫(ぎゅうざきりん)
磯貝恵一(いそがいけいいち)

階段前で牛崎が磯貝の胸ぐらを掴んでいる。
※階段:広間内の段差がある箇所

牛崎「俺は天才だけどさ。それでも」

牛崎「インハイに備えて練習しなきゃなんないのよ」

牛崎「わかる?」

磯貝「ひぃっ、すみませんすみませんっ!」

牛崎「貴重な時間をこれ以上奪われたくないから」

牛崎「出口を探して来いっつったよな?」

磯貝「さ、探しましたっ……でもどこにもっ」

牛崎「結果が伴わないと意味ないでしょ。それがわからないから」

牛崎「君はずっと無能なの。わかる?」

磯貝「……」

牛崎「顔がいい? それとも腹? 指はどう?」

磯貝「ひぃっ……!」

覚悟してぎゅっと目をつぶる磯貝。

朝鳥「どけ」

朝鳥

朝鳥の登場で殴ろうとしていた手を止める牛崎。

にらみ合う牛崎と朝鳥。

牛崎「オーケー」

牛崎「朝鳥君がそう言うなら退くよ」

牛崎「空手の全国優勝者に喧嘩売るほど馬鹿じゃねーから」

牛崎「あ。でも、"元"だったか?」

朝鳥「どけ」

牛崎が大仰に肩をすくめると立ち去っていく。

磯貝「あ、ありがとう…」

朝鳥、無視して階段を登る。

磯貝、朝鳥の後ろ姿を見つめながら歯ぎしりする。

■場所:1F:ロビー:広間

ピロンとポケットに入っている携帯が鳴る。

夜熊、携帯を取り出す。

【アプリをインストールしました】という通知。

夜熊(なんだ…勝手に?)

見覚えの無いアプリのアイコンがホーム画面にある。

アプリのアイコンをタッチする。

アプリの画面が表示される(下画像参照)

起動画面

夜熊(ミノスゲーム……)

スタート画面

夜熊、ルールボタンをタッチする。

ルール1~3

夜熊(なるほど。脱出ゲームか)

脱出条件

夜熊(脱出条件が3つもあるのか)

ミノタウロスについて

夜熊(ミノタウロスって…)
夜熊(神話のあれか)

マップについて


夜熊(ルールは全部で9つ…)

夜熊、隣を見ると小蟹も携帯画面に釘付けになっている。

生徒A「なにこれ…」
生徒B「私のにも勝手にインストールされた」
生徒C「退治だって。面白そーじゃん」
生徒D「こんなゲーム。参加する訳ないし」

小蟹「マップ見たか?」

夜熊「いや、まだだ」

小蟹「この場所はどーも"危険地帯"みたいだぜ」

夜熊「危険地帯? ロビーが?」

頷く小蟹。

夜熊、マップを開いて確認する。

マップはロビーのみが表示されている。

そしてロビーはフロア全体が赤く塗りつぶされている。

ピロンと通知音と通知表示。

【間もなくミノタウロスが到着します】
【エレベーター前にお越し下さい】

夜熊(ミノタウロス…)

小蟹「マジか。本気でゲームやるっぽいな」

小蟹「面白そうだから行ってみようぜ」

二人でエレベーター前に戻る。

■場所:1F:ロビー:エレベーター前

エレベーター前には人だかり。

竜泉寺、虎谷の二人組と合流する。


虎谷

虎谷「あんたら~! どこ行ってたのよー」


小蟹

小蟹「ロビーツアーでございます」


竜泉寺

竜泉寺「夜熊、ルールみた?」

夜熊「ああ。どうも脱出ゲームっぽい」

竜泉寺「私、ゲームとか苦手なんだけどなぁ」

虎谷「あたしがいるじゃーん。頼りになる大親友のあたしが」

小蟹「虎谷に従ったら本当に迷宮になりそうよな」

虎谷「失礼な! あたしだってやる時はやるぞいっ」

チンというエレベーターの到着を知らせる音。

エレベーターの扉が開く。

虎谷「え?」

2mは超えている牛頭の筋骨隆々の男がエレベーターから降りてくる。

ミノタウロス登場

その手には斧が握られている。

虎谷「ま、マジっぽ~~い」

生徒「筋肉スゲー。かっけー」
生徒「デカ! 身長高っ!」
生徒「コスプレ?」

興奮して写メを撮り始める生徒達。

ミノタウロスはじっと動かない。

夜熊(デカすぎる……2mはあるぞ)

夜熊(それにあの斧……)

夜熊(まさか本物……じゃないよな?)

男子生徒の一人(森岡)がミノタウロスの前に立つ。
※森岡:柔道部

森岡「これ。もうゲーム始まってんでしょ?」

森岡「俺が退治するわ」

森岡が袖をまくる。

生徒「いけー! 森岡ぁ!」
生徒「ムリムリw 絶対無理だって!w」
生徒「森岡ならやれるぞー」

森岡「えーっと……投げてもいいっすか?」

森岡「マジでいいの? いくよ? やっちゃうよ?」

大笑いする男子生徒達。

次の瞬間。

森岡の首がふっ飛ぶ。

生首が壁に衝突してパァンと破裂して砕ける。

首を失った生徒の死体が倒れる。

ビクンビクンと痙攣する死体。

静まり返る生徒達。

ミノタウロスが斧をブンっと振ると、斧に付着した血液が地面に付着する。

返り血を浴びた女生徒がへたり込む。

驚愕する夜熊達。

■場所:1F:ロビー:エレベーター前

女生徒の一人が悲鳴をあげる。

それを皮切りに一斉に逃げ出す生徒達。

夜熊「竜泉寺! 小蟹!」

夜熊、唖然としている竜泉寺と小蟹に呼びかける。

竜泉寺、ハッとして虎谷の腕をつかむ。

竜泉寺「まどか! 逃げよう!」

虎谷「纏……あっ、うん! うん!」

竜泉寺と虎谷、逃げ出す。

二人に続くように夜熊と小蟹も逃げ出す。

生徒達が逃げて広間に駆け出すのをじっと見ているミノタウロス。

ミノタウロス、体を屈めると全身の血管がビキビキと浮き立つ。

そして、鼻息を豪快に噴出し、逃げている獲物をその瞳に見定めると、

次の瞬間猛然と走り出す。

■場所:1F:ロビー:広間

逃げている女生徒の一人に追いつくと、後ろから脳天に向かって斧で叩き斬る。

頭頂部から縦に真っ二つに裂ける女生徒。

反動で横に回転し横薙ぎに斧を振ると、隣りにいた男子生徒の胴体が真横に切断される。

上半身だけが吹っ飛んで、観葉植物に激突する。

下半身から勢い良く噴出する血液。

「ひぁ! あひゃぁああ!」

それに気を取られて転倒する女生徒。

ミノタウロス、転倒した女生徒の前に立つと、

女生徒の首を掴んで持ち上げる。

足をジタバタさせて逃げようともがく。

ミノタウロス、首に力を込めると女生徒が尿を漏らす。

そのまま力を込めて女生徒の首をへし折ると、遺体を放り投げる。

投げられた遺体が放物線を描いて、ガラステーブルの上に落下する。

ガラスが粉々に砕け散る音に戦慄する生徒達。

「うわぁああああ! 本物の怪物だぁあああ!!!!」

■場所:1F:ロビー:休憩所前

生徒達が休憩所の扉に向かって一斉に殺到する。

休憩所の入り口が詰まって身動きが取れ無くなる生徒達。


瀬兎

瀬兎「みんな落ち着け! パニックは駄目だ!!」

身動きの取れない瀬兎が叫ぶもパニック状態になった生徒達が次々と我先にと押しのけようとする。

■場所:1F:ロビー:BAR


猿橋

猿橋「な、なんだよ……あれ……」

BARのカウンターに隠れて、隙間から猿橋が顔をのぞかせる。

広間でミノタウロスが生徒達を次々と殺害している姿を見て、
猿橋が奥歯をガタガタと震わせる。

犬童

犬童もBARのカウンターに隠れてガタガタと震えている。

猫井田がBARのカウンターから少しだけ顔を出す。

鼠家

鼠家「(危ないよぉ! 歩ちゃんっ)」

鼠家が猫井田の裾を引っ張って隠れるように促す。

猫井田

猫井田「あれがミノタウロス……」

猫井田「やっぱり本物のゲームなんだ」

口の端を吊り上げながら猫井田が鼠家に言う。

猫井田「聖子、ライター探して♥」

■場所:1F:ロビー:階段下

石馬

石馬「ど、どうする? 牛崎君っ」

猪子場

猪子場「倫! あの化け物こっち来んぞ!」

石馬と猪子場が牛崎を振り返ると、牛崎が照明スタンドを床に叩きつけて破壊。

スタンドのライトが壊れて棒の尖端が鋭利になる。

磯貝

びくりと怯える磯貝。

コードを鉄の棒部分に巻き付けて武器にする。

牛崎

牛崎「お前らも武器になりそうなものを探せ」

牛崎「半分以下になったら動くぞ」

■場所:1F:ロビー:休憩所前

入り口付近で詰まって動けなくなっている生徒達。

生徒「早く入れよ!」
生徒「押すな馬鹿!」
生徒「早く早く!」

入り口の集団から距離をおいた位置に夜熊達がいる。

小蟹

小蟹「駄目だ! アイツら詰まってて休憩所に入れねぇ!」

夜熊(ここにいたら標的になる)
夜熊(まずいぞ……まずい!)
夜熊(どうする!?)

■場所:1F:ロビー:広間


ミノタウロスが腰を抜かしている蛇原の前に立つ。

蛇腹

蛇原「あ、ああ……」

そこへ、灰皿がミノタウロスの後頭部に直撃する。

ミノタウロスが振り向くと朝鳥が立っている。

朝鳥

朝鳥「すげぇな。一発でも貰ったらヤバそうだ」

朝鳥が目を輝かせながら空手の構えを取る。

朝鳥「来いよコスプレ野郎。退屈してたんだ」

ミノタウロスが朝鳥に向かって斧を縦に振り下ろす。

ギリギリ躱して朝鳥が回し蹴りをミノタウロスの腹部に直撃させる。

朝鳥「かってぇな! おい!」

ビクともしないミノタウロス。

ミノタウロスが斧を横薙ぎに一閃。

朝鳥が体をのけぞらせてこれも回避する。

朝鳥「あっぶねぇ」

ミノタウロスの斧をギリギリで躱し続ける朝鳥。

生徒「朝鳥が化け物とやりあってんぞ!」
生徒「マジか、あいつ…」
生徒「いけー!朝鳥!」

付近にいた生徒達が朝鳥を応援する。

朝鳥が拳をミノタウロスの顔面に直撃させる。

ギロリとミノタウロスが朝鳥を睨みつけると、

斧を持っていない左腕でラリアットする。

咄嗟にガードするもふっとばされる朝鳥。

そのまま壁に激突して意識を失う。

■場所:1F:ロビー:休憩所前

朝鳥の敗北に余計にパニックになる生徒達。

夜熊達と休憩所の入り口前の間にズシンと落下音。

30mほどの距離をミノタウロスがジャンプして詰めてきた。

夜熊

夜熊「ミノ……タウロス……」

夜熊達に背を向けているミノタウロスが立ち上がると、入り口付近にいる生徒達に向かって斧を振り上げて殺害していく。

悲鳴が響き渡る。

生徒達の集団から血飛沫が上がる。

小蟹「夜熊!」

呆然としていた夜熊が我に帰る。

小蟹「こっちだ! 早く!」

小蟹「今ならエレベーターに乗れる!」

小蟹の後を追うようにその場を離れてエレベーター前に向かう夜熊、竜泉寺、虎谷。

■場所:1F:ロビー:エレベーター前

エレベーター前まで来ると、牛崎達4人がいる。

石馬がエレベーターのボタンを連打している。

石馬

石馬「クソクソ! ランプが点かねぇ!」

虎谷

虎谷「エレベーター動かないの!?」

猪子場

猪子場「畜生が!」

猪子場がエレベーターのドアを蹴り上げる。

虎谷が青ざめる。

牛崎

牛崎「ちょうどいい。お前ら協力しろ」

虎谷「きょ、協力って何?」

牛崎「あの怪物は、間抜け共を殺し終えたら必ずこっちに来る」

竜泉寺

竜泉寺「間抜けって……そんな言い方!」

牛崎「お前らが注意を引きつけろ。その隙をついて俺らが背後から襲う」

小蟹

小蟹「ふざけんな! なんで俺らが囮になるんだよ!」

小蟹が牛崎の胸ぐらをつかむ。

牛崎「状況理解してんのか? カス」

牛崎が小蟹の腕を振りほどくと、

牛崎「この俺が仕留めるっつってんだよ!」

牛崎「お前ら目玉ついてんのか? ちゃんと見てたのか?」

牛崎「あの怪物を仕留めれそうか? 無理だよな?」

牛崎「雑魚じゃ無理に決まってんだろうが!」

牛崎「そうだろ? 夜熊」

夜熊「……っ」

牛崎「雑魚が」

目をそらして何も言い返さない夜熊を牛崎があざ笑う。

牛崎「良いか。よく聞け。一回きりのチャンスだ」

牛崎「しくじったら殺す。まずは――」

牛崎が言いかけてやめる。

石馬「悲鳴が……止んだ……」

石馬が顔をひきつらせる。

その場にいた8人が静まりかえる。

牛崎が磯貝に広間を見てくるように目配せする。

磯貝が怖がりながらも恐る恐る広間への入り口から顔を出す。

ミノタウロスが接近

血まみれのミノタウロスがゆっくりと段差を上ってくる。

磯貝

磯貝「こ、こっちに来るっ、き、来ますっ」

牛崎「反対外から回り込むぞ」

牛崎「夜熊。ちょっと来てくれ」

牛崎が夜熊を手招きすると、

夜熊「?」

夜熊の腹を牛崎が思いっきり殴る。

夜熊「ぐぶっっ……」

夜熊が膝をついて悶絶する。

竜泉寺「夜熊!」

竜泉寺が駆け寄ってくる。

小蟹「てんめぇ!」

小蟹が牛崎に殴りかかると、猪子場が背後から照明スタンドの棒で小蟹の頭を殴る。

小蟹「がっ」

小蟹が倒れる。

牛崎「お前らはここで足止めしろ」

夜熊「牛崎ぃっ……」

牛崎を見上げながら睨みつける。

牛崎達(牛崎、石馬、猪子場、磯貝)がロビーとは逆方向の通路に出る
※回り込んでミノタウロスを背後から襲う為
※エレベーター前の空間には2つ出入り口がある

虎谷「あいつら信じられない! 何なの!」

虎谷が倒れた小蟹を介抱しながら憤慨する。

竜泉寺「夜熊、大丈夫?」

夜熊の背中を擦りながら竜泉寺が心配する。

夜熊「くっ……俺より小蟹は?」

虎谷「どうしよっ、頭から血が出てる!」

虎谷がハンカチで小蟹の出血を抑えながら涙目になっている。

小蟹は意識が朦朧としている。

夜熊「俺が小蟹をかつぐ……とにかく逃げ――」

気配を感じて広間への入り口を見る。

そこには、ミノタウロスが斧を持って立っていた。

驚愕する夜熊達。

血に染まったミノタウロスを見て、

夜熊は最悪なゲームの幕が上がったことを思い知る。

血濡れのミノタウロス

※血濡れのミノタウロスのアップがラストカット(コマ)


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