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みんなの日本語「練習C」

日本語学習者のための有名な教科書「みんなの日本語」の中に「練習C」というのがあって、それは簡単な会話形式の練習問題になっています。なんというか、すごくコンパクトでシンプルな場面の練習。正直、新人日本語教師のころは、これの有用性を全く理解していませんでした。
日本語教師になってしばらくしたころ、通常の授業内で「会話」パートを入れる担当になり、先輩の先生にやり方を聞いて練習Cを使ってみました。やり方は簡単。

①練習Cの例会話をみんなで読んで 
②代入問題1)~2)をみんなで確認して、読んで
③ペアに各会話を割り振って練習&できるペアは暗記して 
④立って発表。

それを初めてクラスでやってもらった時の感動が忘れられません。「みんな恥ずかしがって発表してくれないのでは?」「暗記して発表なんてできるのかな~」という私の懸念は全く消え去りました。なんと全員が「うれし、はずかし」の妙なにやにや顔を見せながら立ち上がり、会話のやりとりをしてくれたのです。完全暗記で発表してくれた学生も少なからずいました。

そのクラスの学期末フィードバックでは、「会話の練習が楽しかった」という声がたくさんあがって、それまでにない手ごたえを感じました。それまでもゲーム性のある教室活動を学生が楽しんでやるので、よくやっていたし、学生が楽しそうだと自分も楽しかったのですが、こんなミニ会話の発表がそんなに楽しいとは?とすごく意外でした。

その後、自分が韓国語の勉強を0から始めて、わかったことがあります。私が買った初級韓国語の教科書は、文法・ドリル・短い文の練習をメインで進めていく教科書ですが、ひとまとまりの課が終わると、短い会話練習のページがあります。1人で勉強しているから相手はいないけれど、そのパートを口に出して練習するのがなんとも楽しいのです。私は外国語習得センスが本当になくて、勉強したことをすぐ実際のコミュニケーション生かすことができないタイプですが、それでもなんとなく、「わ~自分いま、韓国語で話してる!」という嬉しさがあります。

また、決められたその場面での、ある意味”架空の会話をするということは、「演じる」要素が入ってきます。「演じること」ってすごく創造的じゃないでしょうか。話し方、感情の出し方、うなずき方、リアクション・・現実をイメージしてそれを教室で披露する・・そんなドキドキの楽しみが学習者のうれしみを引き出しているのかもしれません。

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