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違う自分を探すより、今の自分を武器にする〜「教えるプロ」としての生き方〜

個人のスキルや魅力が世の中で生きる時代がようやく訪れた

 もう手垢がつきすぎた表現だけれど、「終身雇用の崩壊」という言葉が、やっと現実味を帯びてきた。企業の名前や肩書きを通じた意見でなく、自分がどう感じたか、どう生きてきたかといった、個人のスキルや魅力が世の中で生きる時代がようやく訪れたといえるだろう。

 その実感はある。独立して10年、講演、コンサルティング、執筆など「個人」の名前で生きている立場であるため、最近はフリーランスや独立をして、個人の名前で生きていくためにはどうしたら良いか?という相談を多くもらうようになった。今まで守秘義務を理由に副業を禁止してきた上場企業や銀行にも副業解禁の流れも加速したこともあり、「今の会社でのキャリアップだけを視野に入れるのではなく、自分のスキルを他でも活かしたい」「好きなことで食べていきたい」という人も多い。

くぐり抜けた経験、得た知識を伝える「教えるプロ」という生き方

 肩書きでなくその人自身が問われる時代。私は、今こそ、人生で得た経験を伝えて周囲の人生を良い方向に変える「教えるプロ」(講師、コンサルタント、専門家などの総称)の時代がやってくる!とワクワクしている。

 「教えるプロ」なら、今まで自分自身をかたちづくったすべての経験、プロセスが、まるっとぜんぶ、知的財産として使えるからだ。さらに、自分の経験がベースになるから、金銭的な初期投資も少なくてすみ、まずは会社員をしながらでも小さくスタートができる。

 これから私たちに求められているのは、正確に時間通りに言われた通りにするという、機械でもできる能力ではないことは明らかだ。

 そんな中求められているのは、困難な問題をどういった工夫で乗り越えてきたかという「修羅場経験」と、その経験をどう乗り越えて周囲にもできる形にしていくかという「言語化・共有化能力」ではないか。試行錯誤は、人間にしかできないし、乗り越えたら乗り越えただけのストーリーがあるからだ。

 それに、自分自身の経験で誰かに感謝されることって、とてもうれしい。なんなら「生きてて良かった」と思えるくらいうれしい。

あなたの普通は誰かのすごい 

 自分にとって何でもないことが、相手にとって、ものすごーく価値があるってことはたくさんある。私は「あなたの普通はだれかのすごい」という話を良くするんだけど、誰もがみんな、自分にとって当たり前にできること、簡単にできること、工夫してできるようになったことを「たいしたことがない」と軽視しがちだなぁと感じている。

 私が10年以上推進している「朝活」だって、私は周囲にだれも言わずにコツコツと朝4時起きしていただけだった。「医療関係の根拠があるわけじゃないし」「朝2時起き、っていう本も昔ベストセラーになったから私の4時起きなんてたいしたことないし」と考え、本になるなんて夢にも思わなかった。

 でも、周囲に話したら「面白い!」と言ってもらえて、2009年『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』がベストセラーと言われるようになり(12万部)、『朝活手帳』で、「人生を諦めかけた自分が生きる意義を見つけられるようになった」と言われ、自分の今までのすべての生き様が、受け入れられた気がした。本当に、生きてて良かった!と感じたのだ。

人生すべてネタだと思うと見える景色が一瞬で変わる

 「教えるプロ」になろう!と決めると、人生が全てネタに思えてきて、見える景色も変わってくる。今の仕事がつらい、とか理不尽な目にあっている、というのは、嘆くべきことではなく逆にチャンスだ!と感じることができる。今すぐ会社を辞めて個人で生きていく!と決めなくても、今の会社員経験をどうやって教えるネタにしてやろう、と意識が変わるから、何ごとにも貪欲になれる。そういう視点で仕事をすると、不思議なことに、いつのまにか出世したりする。

 頑張ってもうまくいかない、と悩む人は、積み重ねてきた自身の歴史をないがしろにして、一足飛びに「なにか違う自分」になろうとするけれど、違う自分を探すより、今の自分を武器に換え、物事に取り組んだほうが断然早く未来に到達できる。

 自分には何もないと思っても、積み重ねてきた経験は、あなただけのものだから。

「教えるプロ」になるために必要なのは「商品開発力」

 ここで問題となるのは、経験をどう言語化・共有化していくかということ、つまり「商品開発力」だ。経験というものは無形なので、パッケージ化して形にすることが、簡単なようで難しいのだ。

 せっかく良い経験をしていても、それをみんなが分かる形にして、周囲も学べるようにしないと意味がないし、教えることができる形にパッケージ化したり、講演や執筆のコンテンツとしていかないと、唯一無二の経験も宝の持ち腐れだ。

 そこでこれから、「教えるプロ」になるための準備や心構え、商品作りについて、今まで10年の経験からシリーズ化して書いていこうと思う。


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