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一脚の椅子からはじまるものがたり【物々交換日記1】

実はこの旅で、チャレンジしていることがあります。それは、物々交換。

旅で出会った人々に物々交換を申し出て、お金ではない何かと交換していただく。いただいたものをキャンピングカーに乗せて走り、また次のまちで出会った人に、手渡していく。さて、旅の終わりには、いったい何が私たちの手元に残るのでしょう…?

スタートは、一脚の子ども椅子。DIYが趣味の主人は、娘や息子のために頻繁に家具やおもちゃをつくっている。今回、娘が1歳のときにつくり、今も座っている子どもサイズの椅子と同じものを、新たに制作。ビンテージ風の雰囲気が漂い、家にあそびに来た友人たちにも静かな人気を得ている作品です。材料費は、約1,500円。

さて、この椅子が、何に変わるのでしょうか?

最初に物々交換を申し出たのは、旅の初日。いすみ市でお世話になった鈴木菜央さんが、一晩考えた末に手渡してくれたのは、なんと10年ものの梅酒でした。一口いただいたところ、とても濃厚で芳醇な逸品!わぁ、こんなにたくさん、いいのですか!?

とても貴重な梅酒といすみでの思い出をキャンピングカーに乗せ、旅路へ。お次は6月6日〜7日に訪れた茨城県大子町のゲストハウス「Lahar-Guesthouse」の小松崎裕嗣さんに趣旨を伝え、梅酒を差し出すと…

奥様の愛さんがつくっていらっしゃる「Can no Candle」の美しいキャンドルに交換してくださいました。キャンドルアーティストである愛さんのセンスが光る作品はゲストハウスの至るところにかざられていて、空間を華やかに彩っていました。大子町の空気とともに、キャンピングカーに載せて出発!

さて、次の物々交換の舞台は、6月8日に訪れた福島市の「あんざい果樹園」。安齋一壽さん、物々交換、してくださいますか?

キャンドルの美しさに魅せられた様子の安齋さん、キャンドルを受け取り、代わりに手渡してくださったのは、「あんざい果樹園」の誇る、一本のリンゴジュース。

通常、りんごジュースは落ちたリンゴや青いリンゴでつくられていますが、これは蜜入りのりんごだけでつくった贅沢な逸品。ストレート果汁100%の上品な甘さが際立っていて、焼酎で割ったりしても美味しいのだとか。未開封であれば、常温で2年保存が可能だそう。

私たちの住む神奈川からはじまり、千葉で、茨城で、福島で。それぞれの土地で生きる人々の手から手へ、お金でははかれない価値あるものが手渡されていく。物々交換が、この旅で、どんなものがたりを紡いでくれるのでしょうか。

旅に出られる幸運と、旅での出会いに感謝して、最後に私たちの手元に残ったものは、なんらかのかたちで社会的な価値を生み出す活動に寄付したいと考えています。

リンゴジュースを載せて(飲みたい気持ちを抑えつつ…笑)、キャンピングカーは次なる地へ。物々交換ものがたりの第2章を、どうぞお楽しみに。


貴重な時間を割いて読んでくださったこと、感謝申し上げます。みなさんの「スキ」や「サポート」、心からうれしく受け取っています。