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ソーシャルメディアでの個人の影響力は「コンテンツ力」と「メディア力」を分けて考えないとおかしなことになるよ、というお話

この話、結構混同している人が多いので、改めて書いておきます。

ソーシャルメディアがもたらしたもの。それは、人の「コンテンツ力」と「メディア力」の拡張です。

第一段階:人がコンテンツになった(1997年~)

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まず、ソーシャルメディアによって人のコンテンツ化が進みました。レビューサイトの出現です。

価格コムが1997年に創業し、2000年にはアイスタイル(@cosme)が創業、そしてAmazonも日本で本格的な書籍販売を開始しました。ちなみに、食べログは2005年から始まっています。

むかし、「ネットのカキコミは便所の落書きと同じ」(=どこの誰が書いたかもわからない情報なんて誰も信用しない)と言われていました。

でも、いまや(Amazonの不正レビューや価格コムのステマ問題がニュースになっても)買い物やお店選びの際にネットのクチコミを「一切」信じないという人はほとんどいないですよね。みんな、レビューを一定程度、信じる。

その理由は、ネットのレビュー(クチコミ評価)が、商品のパフォーマンスやリアルのブランド体験と「ほぼ」ズレがないことを、僕たちは数百回以上経験したからです。

食べログ評価3.02のお店に行ったときの感想、3.78のお店に行ったときの感想が「だいたい」当たっており、それを何十回も繰り返せば、誰にも教えられなくても、「食べログ経済圏の中での点数感」がわかってきます。

それを、@cosme、価格コム、Amazon、その他レビューサイトごとに、僕たちは感覚を掴んでいくわけです(Google Mapは食べログ評価よりも平均点が高いなど)

※見ず知らずの人の評価はズレるかもしれないけど、大多数の人のレビュー平均点はだいたい当たっていることを知ったということです。

※また、多くの一般人がレビューを書き込むようになったことで、レビューそのもののハードルが下がり、さらなるカキコミ数の増加による平均点の精度向上、というサイクルが回ったとも言えます。

ここで我々が享受している価値は、クチコミという名の「レビュー」(経験者による評価)です。

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クチコミは、いわずもがな「クチによるコミュニケーション」。略して「クチコミ」です。

クチコミを構成している要素は、内容そのものと、伝えること(伝わること)の2つ。ここ重要ですよ。2つの構成要素があるんです。

クチコミの影響力はどうか。

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構成要素は同じですが、今度は足し算ではなく掛け算になります。つまり、どちらかがゼロになると総和がゼロになります。

話を戻します。

では、我々がクチコミ(レビュー)サイトで享受している価値の正体はなんでしょうか。

そうです。個人(経験者)が投稿してくれているコンテンツです。

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多くのレビュワーは、私たちと同じ市井(しせい)に生きる一般人であり、多数のフォロワーを抱えるインフルエンサーではありません。つまり、個人で発信する力は無いのです。

でも、特定の家電のクチコミを知りたい、特定のお店の評価が見たい、買おうと思っている本の評判が気になる人たちに、経験者としての一票(と感想コメント)を入れることができます。そして、その場所(メディア)に大量の人通りがあるため、多くの人の目に触れるチャンスを得るのです。

レビュー(評価)経済圏は、人をコンテンツにし、伝達力をメディアが補うという相互補完関係によって成り立っているわけです。

第二段階:人がメディアになった(2004年~)

2004年頃から日本でも徐々にブログが普及し始め、アメブロによって、芸能人ブログが大人気になりました。

その影響力の構造はこうです。

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芸能人ブログの多くは(誤解を恐れずに言うならば)内容は…特に…ありませんよね。

「ワンちゃんのお散歩に行ったよ~」「今日のランチはXXちゃんと一緒だったよ~」「今日は撮影☆」など、近況報告がほとんどです。

WHATそのものに価値はありませんが、絶大なWHO力と集客力(PV)があるため、成立するわけです(WHOの力によって情報に”意味”が発生する)。

第二段階の功績は、WHO力がある人間が個人でMediaを持つことができるようになったことでしょう。

※言い換えれば、個人がメディアを持ったのではなく、「(有名な)個人がメディアになった」とも言えます

第三段階:コンプリート時代(2014年頃~)

第一段階と第二段階を経て、すべてをコンプったインフルエンサー全盛の時代が到来しました。古くはアルファブロガーと言われた人たちです。

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芸能人やセレブリティも「インフルエンサー」と呼ばれますが、その人たちの影響力はWHO力と伝達力に偏っているため、ここでは除外します。

ホリエモンのTwitter、ゆうこすのInstagram、ヒカキンのYouTube。

すべて、日常的に投稿する内容(WHAT)✕ 投稿者(WHO)✕ 伝達力(Followerやチャンネル登録者数)の3つの総和として巨大であることがわかります。

ブログよりもTwitterやInstagramが強くなった理由は、わざわざ読みに行かなくても(Pullしなくても)、向こうから勝手に情報がやってくるからです(いつも眺めているフィードに勝手に流れてくる)。YouTubeはアプリを開く頻度が多く、チャンネル登録さえしてくれていれば通知がプッシュで届くため、同様の影響力があります。

これがインフルエンサーの影響力が大きい理由です。

さて、ではその影響力が大きなインフルエンサーにマーケティングを手伝ってもらおうとしたらどうでしょう。インフルエンサーマーケティングです。

お金を支払い、相手が受けてくれれば、ビジネスは成立するでしょう。#PRや #SPONSORED などのタグをつけて(有名人であれば一投稿数十万円~数百万円で)投稿してくれます。

でも、そのやり方は、このnoteでも書いてきた通り、限界を迎えつつあります。

じゃあどうしたらいいのか。

何度も言いますが、インフルエンサーの影響力を「買う」のではなく、ファンの愛情に感謝し、影響力を「一緒に育てる」のです。

短期的なInfluencer Impression Buyingから中長期的なFanfluencer Relationsにシフトするんです。

広告・宣伝的アプローチから卒業して、広報的視座で取り組む。それが成功の決め手です。

ファンフルエンサーリレーションズの方程式

まず大事なのが、自社の商品やサービスを愛してくれていること。

その愛情や情熱がWHAT力をさらに強めてくれます。

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フォロワーの数は、多ければ多いほど良いですが、優先順位は高くありません。自然に愛情・情熱あふれる投稿をしてくれ、周囲の人から信頼されていれば立派なファンフルエンサーです。

ファンフルエンサーは、ファンですから、その商品やサービスについてとても詳しい知識と豊富な情報を持っています。

ファンフルエンサーというと、とかく愛情や情熱がフィーチャーされがちですが、彼ら・彼女たちの影響力の根源は、その道の詳しさにあります。

なので、ファンフルエンサーとは、特定の商品・サービス・領域における身近な権威者(オーソリティー)とも呼べるかもしれません。

ポジショニングで見るとこんな整理ですかね。

ファンフルエンサーのポジショニングマップ

キモは「フルエンス」の見える化にあり

と、ここまでのことは、いままでのファンマーケティングで言われていることとさほど変わりません。

これから重要になるのは、自社の商品やサービスを好いてくれているファンの投稿が効いているのかどうかという証明です。

ファンは大事です。誰も否定しません。ロイヤルティや熱狂度を上げ、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を向上し、できれば新規顧客を連れてきてほしい。

でも、効果測定ができない。

ファンのSNS投稿が、どのくらいの人の意識や態度や行動に影響を与え、売上に寄与しているのか。

それが(インプレッションやエンゲージメントという表面的なものしか)サッパリわからないわけです。

2020年。

ファンマーケティングは、「ファン本人の熱量向上によるLTVの最大化」から、「ファンのNPS(Net Promoter Score:推奨者正味比率=推奨”意向”)の向上」を経て、いよいよ「ファンによる推奨”行動”の促進」と「売上獲得に対する貢献度の見える化」フェーズに入ります。

愛を科学することで、マーケティングに愛を取り戻す。

この業界、おもしろくなりますよ。

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