小説 | 埋め尽くされた文字
一冊の本を埋める。埋め尽くすようにびっちりと書かれた文字。
ママごめんなさい ママごめんなさい ママごめんなさい ママごめんなさい……
「まったく。知らないひとが見たらホラーだわ」
この頁なんてそれか、私が虐待をしているみたいじゃない。そうつぶやき洋子は、仕方がなさそうに閉じた本をしまう。
「まっさらなノート渡しても、宗助にいちゃんなんも書かんのにな」地震がおきた後のような部屋を片付けるには、あとどれくらいかかるだろう。真紀は思った。
「ママただいまー。姉ちゃんただい