ランニングとラジオ
「ランニング」と「ラジオ」が僕の趣味になってからかなり長いですが、この2つ趣味がセットとして優れているのはそれが同時にできるという点につきます。つまり「ラジオを録音しておいて、それをランニング中に聞く」ということが可能だということ。これを習慣にしておくと、ランニングすることがラジオを聞く動機付けになり、逆にラジオを聞くことがランニングすることの動機付けになります。一方が滞りそうになったときに、もう一方がそれを再稼働する動力源になってくれるというのが長続きの秘密なのかもしれません。
さて、録音したラジオを聞きながら散歩やランニング、あるいはドライブをしたことがある人であれば間違いなく共有できる感覚だと思うのですが、同じ放送を再度別の機会に聞き直したときに、以前それを聞いた時の記憶がかなり鮮明に頭によみがえってくるというものがあります。
放送が進むにつれて、「いま自分はここ交差点まできた」とか「このコンビニで何を買おうか選んでいる」といった到底覚えているとは思えなかった記憶のディテイルが呼び起こされる。あたかも音声にヒモ付けされて冷凍保存されていた記憶が次々に解凍されていくようなそれはそれは不思議な感覚なのです。たまにこれを味わいたいというだけの理由で、何年も前の放送を聞き直すことがあります。
先日ドイツのシュトゥットガルトでランニングをしていたとき、とても面白い偶然が起こりました。そのときも数ヶ月前の放送を聞き直していたのですが、そのとき呼び起こされた記憶はまさに数ヶ月前下見のためにシュトゥットガルトを訪れて、その場所をランニングしていたときのものだったのです。しかも記憶の中の自分は今自分がいる場所の100メートル先を自分の方向に向かって走ってきています。マリオカートで過去の自分が薄ぼんやりとしたゴーストとして表示されるモードがあるでしょ。まさにあの感じ。向こうから僕のゴーストが走ってきている。
その数十秒後に僕は過去の自分とすれ違うというとても奇妙な体験をしました。
振り返って過去の自分の背中を見送りながら
「今は辛いかもしれない、でも頑張って走り続けろ。これから楽しいことがたくさん待っているから」
とアンジェラアキばりのエールを送ることができていれば、この話はとてもきれいにまとまったのですが、
まあ3ヶ月前だからねぇ。さほど感慨も沸かず。
なんにせよ、面白い体験でした。
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