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【イタリア】トイレの後、素手でアソコを洗う

※タイトル通りトイレの話。食事中の方やその気じゃない方はご注意を。
それと長文になってしまいました。悪しからず。




世界と日本のトイレ事情


日本のトイレは、世界でもたぐいまれな快適度を誇っている。
家だけでなく外出先でも心地いい空間に出会える。

ホテルやデパートなどの高級店に限った話ではない。
ショッピングモールでは、ゆとりあるデザインで
万人が使いやすいように動線まで計算されている。
オシャレな飲食店では、”お手洗い” にこだわりを持っていて、
清潔さの維持はもちろん、落ち着く色合いとフレグランス、
中には、ホテル並のアメニティを揃え至れり尽くせりなおもてなし。
同席者にも必ず行くように強く勧めるほどだ。



一方、海外へ行けばどうだろう。

アメリカで出会ったものは、下から覗かれそう、水が流れない、壊れている
といったことはもはや常套。紙が荒く硬いけど拭えれば良いというもの。
世界でも有数の背の高い国オランダでは、便器や洗面台が高くて困った。
ドイツやフランスで使った公共トイレは、特に何も印象に残っていない。



海外から日本に帰国した時に毎回思うことがある。
空港に足を踏み入れて真っ先に向かったトイレで、
しばらく忘れいた日本文化の優さが私を包む。
それは、


「暖房便座」


座った瞬間に、「嗚呼、染みるねぇ〜」と
出そうになる声をグッと堪えながら、
しばらく白目であちらの世界へ行ってしまう。


と同時に、かつて第一生命が運営するサラリーマン川柳で
上位に輝いたこの句が頭を過ぎる…

「このオレに あたたかいのは 便座だけ」


長旅をいのいちばんに癒してくれるあったかい便座は、
全世界の人類を魅了する。


よくよく考えると、空港内の至る所にトイレは設置されている。
その全てが「暖房便座」なのだろうか。
多く利用する成田空港が特別なのかもしれない。



イタリアのトイレ=「バーニョ」


私は高校生の頃に、イタリア語に恋に落ちた。
響きが好きで、ジローラモとダリオによる
NHKのイタリア語会話にも釘付け。
当時、中田英寿がセリエAにいたこともあり、
流暢に姿を見てはクラクラした。

独学で勉強する中で、必ず使うであろうフレーズを覚えていった。
" Dove il bagno?" ドヴェ・イル・バーニョ? トイレはどこですか?

この時から十数年後、まさか本当にこの言葉を日常的に使うとは。



イタリアで出会った数々のトイレはこのようなタイプに分かれる。

・鍵が壊れていますが、どうぞご自由に
・トイレ使うなら鍵を渡すので言ってね
・トイレを使いたいなら、何か注文して
・開け閉めにコツがあるけど挑戦してみて
・紙がなかったですか。それは残念でしたね。
・ここは普通に使えて可もなく不可もなく


イタリアのカフェに当たる「Bar=バール」での休憩に
トイレを利用することが多く、またその逆もある。
なのでトイレを使いたい時には必ず一声かける。
鍵を渡される店もあるし、勝手に利用することを嫌がる所もある。

かつて、語学学校のクラスメイトといつものバールで昼食を摂った時、
食後にトイレに行った彼女はしばらく戻ってこなかった。
少し長いなとは思ったが、お腹でも壊しているのかな?
くらいであまり気にしていなかった。
ところが実は、トイレの鍵がうまく開かず20分も閉じ込められて
誰かに助けを求めて開けてもらったようだ。
いつも行っているトイレなのに!とは言え、
一日に約50人利用するとした場合、トイレという空間事態も
刻々と劣化することに違いないと改めて考えさせられた。
さらに、そんなにキレイでもないなら、雑に扱われても仕方がない。


やはり日本のトイレは、一日に何度も手入れされ清潔さを維持している。

突然 話を現在へと時空を移すが、
私が勤めているSushiレストランでは、営業中にトイレ掃除はしない。
当初なんで?と思ったがそんなものらしい。
だから、私が利用する度にキレイにしている。
店側も、どうせ雑に使われるんだから…という考えがあるのだろうか。
何ともはや


用の足し方のコツ

イタリアのガイドブックにもよく掲載されることだが、
「トイレは行きたくなくても休憩中に済ませておくこと」
お決まりの注意喚起。


街ゆく人数に比べてトイレは少ないと思う。
人口約40万人の街であるフィレンツェで暮らしていた時、
トイレの場所と言えば、
学校、行きつけのBar、図書館、デパートの4階、マクドナルド、
もしくは、有料の駅中やDuomo近くの公衆トイレだった。

どのトイレも用を足せるためなら、狭い・汚いことは気にしない。
前述したように不調であって当たり前。
一日の運勢をトイレで占うとするなら、毎回楽しめるかもしれない。


イタリアに来て、トイレについて覚えた技術がある。
暖房便座で育った日本では必要のないものだ。

それは、忍法「用宙浮かしの術」と言えよう。
汚れた便座にお尻を触れないように、
浮かせたまま用を足すという方法。
つまり、お辞儀をした状態でお尻を突き出す。
両肘を膝の上あたりに乗せると体重が分散されて少し楽になる。
ほんの数十秒の間だけだから我慢できる。

「えっ、足に伝って濡れないの?」
「足がブルブルしそう」
「そこまでしないといけないの?」
なんて、いろんな声が聴こえてくるが、
意外にも身体はよくできていて大丈夫。
勢いよく出るものは、伝ってくることはないし、
何より、そうせざる得ないトイレがそこにあるから…


あと、イタリアで過ごすにおいて、必ず持つべきものがある。
「仲間」…もそうだが、今回のテーマはトイレ事情。
一にも二にも「ティッシュ」だ。
トイレに紙がないことは日常茶飯事。
確認せずにうっかり用を足したなら…と
考えただけでゾッとする。


なので、
海外でトイレを利用する時の心得をお伝えしよう。
用を足す前に、

「第一に便座をキレイにする!」

えぇ!? もうやってる?そうでしょうね。
だから日本のトイレは清潔な状態を保たれている。
それが当たり前だから、イタリアの便座には座ることは躊躇するだろう。
兎にも角にも、いの一番に便座を拭くことから始める。
トイレットペーパーを利用することで、紙の有無や残量を把握できる。
なければ他の場所から取ってくるか、自前のものを取り出す余裕ができる。


これで完璧だ!


もっと細心の注意を払うなら、
誰かと一緒にトイレに行くこと。
鍵が壊れていても、紙がなくても、ドアが閉まらなくても
これでどうにでも対応できる。

ちなみに、イタリアの女子たちは ”連れション”をよくする。
友だちカップルらとのレストランに行った時、
食後に一人の女性がみんなを誘う。それに付き合いとして行く。
喋り続けながら用を足す。出たらメイクや身嗜みを整えて、
みんな揃ってさあ出よう!という感じ。
お察しの通り、用を足す音はありのまま。
日本の「洗浄音」なんてないし、そもそもそれを気にしない。
彼らの中には、そんな ”画期的” ものが存在することは知っている。
が、欲しいとまでは思っていない。




イタリアの家庭用トイレ


ここまで読んできて、さぞお疲れとは思うが
ここからが本題!


イタリアの一般的な家庭にあるトイレはこれだ!


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便座と似ているけど、変わった便器?がある。




そう、これがなくてなならない生活必需品。


日本で言うウォシュレット=温水洗浄便座


イタリアでは「ビデ」。


”デ”にアクセントが付く。
フランス語が元とになっている。
つまり、フランスの文化が広まったのだろう。

手元の辞書によると、

その歴史は中世ヨーロッパの13世紀にさかのぼる 云々





もちろん、ビデがない家もある。
というのも、多くの家庭はトイレとお風呂場は同じ空間にある。
用を足した後、そのままシャワーを浴びることができる。
ある程度広さがないと実現しないものなのだ。


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ではこの「ビデ」をどのように使うのかを説明しよう。

【ビデの使い方】
1、便器で用を足して、トイレットペーパーでキレイに拭う
2、ズボンを下ろしたままビデに移動
3、お湯を出す
4、たっぷりのお湯を使い、素手で局部を洗う
5、専用のソープでやさしく汚れを落とす
6、ソープを洗い流す
7、ビデ用のタオルで拭いて完了!


日本ではボタンを押して行っている洗浄や乾燥を
素手で行う


当然のことながら、女性だけでなく、男性も子どもみんな行う。



まず最初に感じる不思議な感情は、
「自分のアソコを素手で触るのー??えぇー??」だろう。

私も当初戸惑った。
しっかり触れたこともなければ、
どうなっているのか未知の世界。


ビデの使い方を教えてもらったのは、
当時、間借りをしていた日本人の女性。
私一人で使える部屋とバスルームを提供してくれた。
でも初めて見るビデに、遠慮したかったが、彼女曰く、


生理の時に大活躍するから試してみてね!
使い方は、壁に向かって座り、専用ソープで洗うだけ!
タオルは、ビデとそれ以外で分けるといいよ!


恐る恐る試す。

ううーん。
しばらく不思議な感覚だった。
でもまぁ、清潔に保てるならばいっか。


そうこうして、月に一度のアレが来た。
確かに快適!!

ティッシュだけでは拭えないものが、
お湯でキレイさっぱり流せることで、
毎回、気持ちの面でも明るくなった。

そして、一番大きいのが、
次回、トイレへ行った時の不快な臭いがしない!
これは大発見!あのナプキンの独特な臭いは
あらゆるものが混じっていたんだな。と

また、下着の汚れ方も全然違う。
下物のチェックも容易だ。
こうして、私はまんまとビデに魅了された。


今となっては手放すことができない。
外出先でトイレを使う気にならず、
我慢してでも家でキレイに洗い流したい!



サポーネ・インティモ
ビデと同時にぜひおすすめしたいのが、
デリケートゾーン専用のソープ。
これは、日本の親友からも買ってくるよう頼まれるアイテム。

洗剤で洗うだなんて抵抗がある。と思っただろう。
しかし、ボディソープとは違い、
肌に優しい成分で作られているから安心。
これを使うことで、清潔さを保つだけでなく、
”いざ” という時に良い香りを漂わせることができる!


それと、VIOの手入れもこのソープがあれば問題ない。
ビデがなくとも、お風呂場で一日の汚れ落としに必ず重宝する。


シチリア産の専用ソープがどんなものか
お見せしたかったがつい先日まであったのに、
急に人気が出たのか在庫切れ。
もしかしたら、
私が敬愛するラジオパーソナリティでコラムニストの
ジェーン・スーさんとTBSアナウンサー堀井美香さんによる
ポッドキャスト番組の影響で商品がなくなったのかもしれない。
気になる方は21年1月29日付けの「Over the sun」をチェックしてほしい。
地上波ではないからできる、ギリオフレコトークが聴ける。


日本の女性のために作られた商品があった。
原材料やデザインにもこだわりを感じられる。
アルジタル デリケートハイジーンソープ

INTIMO VEGETALEインティモ・ヴェジェターレ
植物由来の安全な商品だということがわかる。




話をビデに戻そう。

イタリアでビデに出会って感じたのは、
素手で陰部を洗うことは、決して恥ずかしいことでもなければ、
ヘンな気持ちになることもない。

自分の大事な部分を把握することにもなる。
みんなのソレがどうなのかは知らないが、
自分のはこうなっているんだな。と

そして、何らかのアクシデントで
傷がついたのなら、ココが痛むな。
かぶれたりしたら、コノ部分が弱いのね。と気付ける。


また、年頃の子どもたちも自分のアソコに触れることで
学ぶ機会は日常的にあり、より現実的なものとして
受け入れることができるのではないだろうか。
これは、一種の性教育になるのかもしれない。


一方で、
近年、「日本のウォシュレットがイタリアの便器にも装着できる!」
とテレビショッピングで販売されるようになった。
主に、高齢者や介護が必要な人々の喜びの声を紹介している。
便器を移動することなく、自動で洗浄乾燥するなら重宝する!と。

そもそも、どうして日本のようなウォシュレットが
ヨーロッパで広まらないのかと言うと、いくつかの理由がる。

一番の問題は水質だと聞いた。
イタリアを含む欧州では、水道水の中に多くのカルキが含まれている。
水を使って放置した洗面台は、時間が経つと水は蒸発しても、
白いカルキが目立つ。
だから、水を使った後に、すぐ水気を拭う人は少なくない。
我が家でも、シンクはもちろん、蛇口、鏡、床など頻繁に拭き取る。

というように、便座からチューブで水を出したとしても、
経年と共にカルキが溜まり水の出が悪くなるという。
そのためには、便座に浄水器を搭載させないといけないとか。

そして、もう一つの理由として便器の近くにコンセントがない。
そもそも水分が多い付近に電源は危ないとも考えられる。
一つの便器を装着するにも工事が必要となると二の足を踏むだろう。


私としては、温かい便座は欲しいけれど、
ビデはこちらの素手で洗うものを使いたい。
両方の良さを足して二で割った商品は開発されないだろうか。
まだ10年くらい先の話になりそうだ。


最後に、一つだけ日本の公共トイレに物申したい!
それは、多くの場所で使われている緑色のハンドソープのこと。


どうしてあんなに独特な臭いがするの?
私にとっては臭くて、それが香ると
「トイレ行きました」と気づかれる。
思われてもいいんだけれど、どうもテンションが下がる。
消毒作用のあるものなのかもしれないが、臭い。

実は、イタリア人の夫が日本でトイレを利用した際にも
ソープが変な臭いがすると言っていた。

ほら、外国人も感じる。もしくは夫が匂いに敏感なのか。
その点、イタリアはどこでも大体いい匂いがする。
洗浄力より消毒効果より香りが良いと、また使いたくなる。
なんて自分勝手なんだ。


イタリアならティッシュを、
日本ならハンドソープを常に持ち歩いて、
いざという時のトイレに備えることにする。

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