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【イタリア】退職の日 〜円満に心残りなし〜


2018年から勤めた日本食レストラン。
ついに辞めました。


始まるきっかけ


夫が失業しそうという焦りから、私も働かなければ!と
活動し始めることに。しかし履歴書の作り方が分からないから、
市の職安を利用して作ってもらい、
それをいくつも印刷して回ることにしました。
最初に入ったのが、近くにあった日本食レストラン。
持っていくと一発合格!あっさり決まりました。

これがイタリアで、初めて契約をもらって働いた仕事です。

生活できる言語レベルでしたが、接客や電話対応は不安で、
同僚に教わりながらどんどんと技術を上げました。


メニュー開発

一年経った頃から、メニューの提案や開発に携わり、
ロックダウン以降、紙のメニューから
タブレットやオンライン注文に切り替えるため、
写真撮影やシステムの入力作業、
さらにsnsでの宣伝も担当しました。

特にメニューの追加には思い出があります。


お客さんの大半は、注文するメニューがそれぞれに決まっていて、
知られていない料理に挑戦する人はほぼいません。
「Niku jaga」と堂々と書いても、恐怖心からか
まず頼まないのが当店のお客さん。


しかし特に若い世代は、漫画やsnsで飛び交っている情報を
いち早く捕まえるのが上手く、気になる日本食は
直接私に尋ねてくることもありました。
これまでに「カツ丼」や「コアラのマーチ」など、
質問を受けたことがありました。

メニューを追加する基準は、
多くの人が耳や目にしたであろうものを意識しました。

とは言え、ここは地方の小さな港町。
ミラノやローマのような流行はすぐには入って来ません。



この5年間で追加できたのは、

・お好み焼き
・酢の物
・ラーメン
・どら焼き
・餅 (大福)

これは一部ですが、腰の重いオーナーは
作るとなればこだわりを持って追求していました。

特にラーメンは、麺とスープの研究をくる日もくる日も行い
みんな試食に疲れてしまうほど。
ラーメン屋に変わってしまうかという勢いで没頭していきました。
でもその甲斐あって、今では冬の人気のメニューになっています。

実は以前からラーメンはあったのですが、「ラーメン」とは呼ばず、
「スープ麺」というような言い方でした。
また「どら焼きも」5年以上前に出していたようですが、
まだ早かったようです。
そして今は「大福」ブーム。

これらを加えられたことで、この街の日本文化を
少しは前進させることができたのかなと思います。

ちなみにメニューの画像はこちら


最後の日

仕事の依頼を受けたので、約10日前に辞めることに。
あっさり始まった仕事は、あっさり終わりを迎えるようで、
2023年4月30日(日)までの契約となりました。


イタリアでは5月1日は祝日なので三連休です。
だからいつも以上にお客さんの多い週末となりました。

とにかく穏やかに、丁寧に、失敗しないよう意識。

ですが最後日までにメニューの修正が終わらず、
店内がバタバタしている中パソコン作業。
これで間に合わなければまた来ないといけない…
早く終わらせたいけれど、料理を運んだり下げたりで進まない。

さらに、使っているオンラインの画像編集サイトが
機能変更して、一日に3回しか保存できないようになり、
慎重に何度も確認していたのですが、
随分前に編集しておいたものが間違っていて、
3回じゃ足りない… 考えてもどうしようもない。

ということで、しばらくしたら来ることに…
潔く終われるかと思っていたのに。
ですが、とりあえずメニュー表は完成。
他の作業はまた今度。

掃除、片付け、仕事用の制服も洗濯して返却。
私物は全て持って帰っていたので身軽でした。

すべてを終え、別れの挨拶。

「ありがとうございました」

と笑顔と握手でさようなら。

って、また来て作業があるんだけれど。
今のところ円満だからまた食べに来るし、
メニューの手伝いもするのかな。



本当にこれで終わりか…
と実感はあまりなかったです。

帰宅して、少しの寂しさのような感覚もありました。
昼夜と働き詰めだった鳥籠のようなお店から
やっと羽ばたけるという解放感に満ち溢れるはずなのに。

新しい職場への不安もあるのかもしれません。
どうなるか始まってみないと分からないので、
考えても仕方がないし、最初から軌道に乗るとも思えない。
じっくり歩みを進めるしかできない。
四十路という年齢を活かして、どっしり構えてやっていく。

とりあえず、ここまでよく頑張った!

今日から5月

さて、5月1日はイタリアでは祝日です。
このような画像が飛び交っています。

働く人の祭典
おめでとう5月1日
手と頭と心を使って働く人は芸術家だ

仕事や家庭などあらゆる場所で働いている方々へ
おつかれさまです!あなたはとても素晴らしい!
人を労うように、自分にも労ってください。

嘘だと思って自分自身に声をかけてください。


私、ほんと頑張ってるし、よくここまでやってきた!
ヨッ立派!素晴らしいょ!明日も頑張れ!




自分で言ってひとり照れる…アハ

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