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【イタリア】バレンタインのお祝いにジェラートを

バレンタインデーをイタリアで、
「San Valentino」聖ヴァレンタインの日と言います。
San は聖人を表す言葉で、宗教にまつわる
歴史ある日だということが分かります。
謂れはいくつもあり定かではありませんが、
恋人たちの日となっています。


イタリアのヴァレンタインデーは

遠い昔は祝日だったようですが、いまは平日。
日本のように女性から男性に
チョコレートを渡す文化はありません。

イタリアでは、恋人にプレゼントを贈ったり、
花を渡したり、一緒に食事をしたりします。

我が家はというと、前日に済ませました。
毎年するわけではなくて、たまたま言い訳というか、出かける理由として
「ヴァレンタインのお祝いに甘いものを食べに行こう!」と
夫が嬉しそうに言い出したのです。

早々に夕飯を済ませて、食洗機に全てを詰め込み、
キッチンを「ゼロ」という、我が家のルール:
シンクやコンロに物一つない状態にしました。

夫は、ワッフルを食べたいらしい。
普段ワッフルはジェラート屋で食べます。
ですが、冬のジェラート店は早く閉まります。
この時点で20時半。

大きな広場へ行っても閉まっているはず。
かと言って、遅くまで営業している少し離れた
友だちのお店へわざわざ行くほどではない。

食べたい欲が高まっている夫。
とりあえず街へ出かけました。


この街では19時頃にお店は閉まります。
ジェラート店も同様にもう閉店していました。
パブなどの酒場は夕方から営業し始めますが、
甘いものは少しだけ。
今の夫を満足するものは扱っていません。

ワッフルはおあずけ。
また今度、友だちのお店へ改めて行こうと約束し、
夜の散歩を楽しむことにしました。

昼間には人が行き交う商店か並ぶ通りも、
夜には閑散としています。

一回部分は商店が入り、二階部分はオフィスや住宅。
ライトアップの仕方が美しいから寂しくは感じない。


ここから先へ行っても、空いているかどうか…
そろそろ引き返そうと言っている時、

私はあるものに気づきました。


コーンが光っている‼︎



イタリアでは、ジェラート店の前に、
巨大なコーンジェラートの模型を置いています。
これは食べ終わったスプーンや紙を入れる
ゴミ箱になっていますが目印でもあります。


夫もそれを見て、

あっ、ほんとだ‼︎

浮かれた足つき。

開いているのかな?

置いてあるだけかも。


店内が暗いような…


電気ついてる?ような…


もっと近づいてみよう。

冷蔵庫の明かりはついているし、


中に店員さんはいるけれど、


半分暗い。。。

しばらく外から眺めて沈黙…

すると店員さんが入り口付近まで来ると


自動ドアがウィーン‼︎

開いている‼︎


勢いよく入りました。



「まだやってる?」

いつも21時前頃に閉めるんだとか。

ギリギリセーフ‼︎


ワッフルはありませんでしたが、

念願のジェラートを手に入れることができました。


待望の夜のジェラートがこちら‼︎



一人前です。
三つの味を選んで、€4.5

後ろに見えるのがコーンのオブジェ。


ワッフルが食べたかった夫は、
それに変わるものとして、
カップ型のものにしました。

私が選んだ味は、
ティラミスと黒い塩キャラメルと
上部にたっぷりの生クリームです。

店内の冷凍庫には、
ヴァレンタイン用のアイスケーキもありました。

二人じゃ食べきれない大きさ。
でっぷりとしたフォルムに真っ赤な色味。
手に入れたい意欲を掻き立てられます。

この時の気温は10度くらい。
劇的に寒くはなかったので、
屋外で食べても全く気になりません。

ベンチが見当たらなかったので、
バス停の椅子に座り食べました。

バスが来たらどうしよう…と夫に言うと、
食べながら乗ろうと笑っていましたが
残念ながら来ませんでした。

ところで、満足したかどうか夫に尋ねると、


「全部同じ味がする」と。

このお店は「ナチュラル」と謳う名店です。
イタリアのジェラートの大会でも
賞を獲得するほど認められた腕前。

ですが、前回食べた時も
同じ反応だったんです。

好みじゃないんですね。

行きつけの友だちのお店は、

頻繁に味の開発をし、素材の活かし方を工夫し
裏でどのように作っているのか隠していない。
ジェラートだけでなくワッフルやコーヒーにまで
至る所にこだわりを感じます。

彼らは日本贔屓なこともあり、
かつて抹茶をプレゼントしたら、
抹茶ジェラートを抹茶キットカットと共に
店頭に出してくれました。

ジェラートへの愛情が深くて、
味の説明を聴いているだけで全部食べたくなる。
夫婦の仲も良くいつも嬉しそうなんです。

改めて気付かされました。
ジェラートの味だけでなく、
彼らの人柄にも惚れ込んで通っているんだと。

やはり、重い腰を上げてでも
わざわざ行くべきだったかな。


でも、光るコーンを見つけた時の喜びや
実際に食べることができたことで、
達成感と幸福感に満たされました。

何よりも、
ヴァレンタインのお祝いとして
二人でお出かけしたことの方が
幸せ度が高かったです。

ヴァレンタインの思い出が一つできました。

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