ある日曜日、平和を祈る。

今、暮らしているマーシャル諸島は太平洋戦争まで日本が30年間統治していた。恥ずかしながらここに来るようになるまでこの事実を知らなかったのだが、調べてみると、マーシャル諸島や隣のミクロネシア、グアムを含めたくさんの日本人が駐留していた。

赴任先のマーシャル諸島、イバイ島には空港がない為、隣のKwajalein島にある米軍基地の滑走路に民間機が着陸し、そこで飛行機を降り、フェリーでイバイまで来る方法しかない。到着ロビーは古いバスターミナルの様なところで、航空会社の地上職員もいない。出迎えるのは米軍関係者で笑顔でWelcomeなんて言われることもない。入管職員のマーシャル人は顔馴染みになったので日本から戻る度に、Welcome backと言ってくれるのだが。

Kwajaleinはマーシャル諸島国内だが、アメリカ軍が全島使用していて、外国人が自由に歩くことはできない。空港からフェリー乗り場までは米軍が用意している車で移動する。毎回同じ道を通るので、島の一部しか見ることができない。

そんなKwajaleinに外国人が行くには、Kwajaleinに住む人からのスポンサーシップが必要だ。ここに住んでもう2年くらい経つがなかなかアメリカ人の友達を作るチャンスがなかったので、Kwajaleinに行くことも出来ずにいた。

2ヶ月ほど前、毎週日曜に行っている無人島に漕いで行った時、珍しく英語で話している声が聞こえた。明らかにマーシャル人の発音ではなかったので、ちょっと話しかけてみるとKwajaleinに住む二人のアメリカ人だった。いろいろ話をしていると日本にも住んでいたことがわかり、その時にすごく良い時間を過ごしたといくつかのエピソードを披露してくれた。ぜひ日本食パーティをしようと盛り上がり連絡先を交換した。

ひょんな出会いから実際に話が具体的になり、昨日ついにKwajaleinに行くことができた。スポンサーになってくれた二人がフェリーターミナルまで迎えにきてくれて、簡単なPaper workをして手配してくれたカートに乗り込んだ。フェリーで20分ほどの距離にある場所なのに、島の中はアメリカだ。道端にゴミも落ちていないし(Ebeyeはゴミだらけ)、最初に入ったカフェも当たり前だがすごく綺麗だった。アップルパイとコーヒーを頼んで$3.5。物価もEbeyeより安い。

まずはシュノーケリングからスタート。干潮だったので島のすぐ近くに沈む日本の軍艦を見に行った。それほど大きな船ではなかったけど、砲台もしっかり残っていた。奇遇にも砲台の近くにウミガメがいて、軍艦を見て少し感傷的になった心を癒してくれた。島の中には、日本軍が使っていた砲撃用の要塞がいくつか残っていたり、ここで亡くなった方たちのご遺族が建てた慰霊碑もあり行くことができた。以前からその存在自体は知っていたのだが、なかなか行けないところなのでようやく手を合わせることができた。慰霊碑には3万4千人の日本人がここで亡くなったと書いてあった。日本から6000km以上離れたこの島で祖国のために戦い、祖国に帰ることなく亡くなっていった日本の若者がこんなにたくさんいたことは、日本人のほとんどの人が知らないと思う。

80年の時が流れ、日本人である自分がアメリカ人の案内で日本の戦跡を巡った。日本を含む太平洋地域の安全保障の為に重要な基地であるここKwajaleinが、この先ずっと戦争に参加しないでいて欲しいと心から思っている。

Imagine all the people
Living life in peace


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