勝手に日本の激流ランキング

これまでたくさんの川を下ってきた中で、自分なりのランキングをつけてみようと思う。と言うのも、「日本でどこが一番激しい川なの」なんて聞かれることがたまにあるので、ここに書いてみる。

第5位 黒部川(富山)
有名な黒部ダムが上流にあり、黒部渓谷はモンベルの辰野さんが昔カヤックで降ったらしいが、僕が降ったのはダム下の河口まで15kmくらいの所からだったが、流速も早く、程よい瀬が続く面白い川だ。何よりここは水量があれば海まで下れると言うのが魅力だ。日本中探しても激流を楽しめて海まで漕げるところはここしか知らない。山と海を繋ぐ水の路である川をしっかり感じる事ができるし、初めて行った時の感動は一生忘れないだろう。

第4位 吾妻川(群馬)
ここは一度しか行ったことがないが、深い渓谷の中、2−3mのドロップがたくさんあったり、ラフティングボートが1艇ギリギリ通れるくらいの狭いところがあったり、とにかく面白い川だった。残念ながらダムが出来て今は下れないんじゃないかと思う。秋の紅葉も素晴らしく、みなかみから長野の実家に帰る時、あまりの綺麗さに何度も立ち止まり、なかなか家に着かなかった。

第3位 吉野川(四国)
高知県と徳島県の境あたり、大歩危小歩危と呼ばれる渓谷は美しい山々に囲まれた水量豊富な川だ。上流の早明浦ダムの放水量によって水量の変化はあるが、1年中川下りを楽しむことができる。この川は流れが早い瀬と瀬の間隔が広く、例えると階段のようになっているので、瀬でボートがフリップしたり落ちたりしても比較的レスキューも容易にできる。水温が高いので低体温症のリスクも低い。とは言え、波も大きく思い切り激流を楽しめる大好きな川だ。ここは2017年にラフティング世界選手権も開催され、世界中から集まったラフターたちも大絶賛していた。


第2位 利根川(群馬)
僕がラフティングのキャリアを始めたのが利根川。春は雪解け水が入り、すごい激流になる。しかも水が冷たいので、ガイドとしてはかなりスキルを要求される。春の利根川は激流が30km以上続く。流速も早く景色がどんどん飛んでいくのも楽しい。コマーシャルツアーのガイドとしてもたくさん下ったし、トレーニングやレースでもたくさん下った。ツアーがいけない水量の一番激しいセクション「諏訪峡」は一歩間違えるとフリップする場所だらけで、いつも緊張感が必要だ。もちろん何度もひっくり返り、何度も流されたことがある。


第1位 宮川(富山)
ここはコマーシャルツアーを行っていないのでごく一部の人しか下ったことがない川だ。ここも春の雪解けのシーズンしか水がないが、非常に落差があり水量も豊富だ。初めて下った時は、オリンピアンの太郎くんが先導してくれたが、瀬のたびにしっかりスカウティングをして、物凄い緊張感の中で下った。と言うのもシーブ(岩と岩の隙間に水が流れ込んでいる)やアンダーカット(岩の下に水が流れ込んでいる)があちこちにあり、携帯の電波も届かない、陸上からのアクセスも非常に悪い恐らく、利根川上流の藤原峡と同じくらいリスクが高い川だ。初めて行った後は練習で何度も訪れた。特に2011年のコスタリカでの世界選手権の川にタイプが似ていたので、合宿を組んで何度も下った。そのおかげでコスタリカのダウンリバーレースは2位のブラジルに45秒の大差をつける事ができた。
とにかくここはリスクマネジメントができる人、チームしか行くことをお勧めしない。

と言う事で、超個人的なランキングを書いてみたが一般の人には全く役立たない情報だ。誰でも行けるところと言う意味では、黒部川、利根川、吉野川であれば存分に自然の素晴らしさを感じる事が出来る。




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