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創業69周年。“タオルと過ごす人生”に、より深く向き合う会社を目指して

代表の池内です。

IKEUCHI ORGANICは、皆様に支えられ、2022年2月11日(金)で1953年の創業から69周年を迎えることになりました。

創業60周年の2014年の3月1日に「池内タオル」から「IKEUCHI ORGANIC」へと社名を変更し、この約10年間、会社として様々な新しい取り組みをしてきました。東京や京都にストアをオープンしたこともそうですし、今治の本社工場にお客様をお迎えする「今治オープンハウス」もそうです。

ぼくは「我々がつくっているのはタオルではなく、物語である」とイケウチの社員のみんなによく言っています。語れる物と書いて物語。こだわりをもってものづくりを行い、お客様に語られるものを届けていこうということです。

ストアをオープンしたり、お客様と交流させていただくイベントを開催するのも、ぼくらのこだわりをお客様に直に伝えていきたいから。その先には、お客様の人生のなかでぼくらの商品と過ごす時間を、より豊かなものにしていきたいという想いがあります。

そして、創業69年目となる今年。“ものと過ごす人生”に、より深く向き合う会社を目指して、新しい取り組みをはじめます。

それは、タオルの「メンテナンスサービス」です。

お客様が使用されているイケウチのタオルやタオルケットをお預かりし、今治の本社工場でメンテナンスを行い、ご購入いただいた時の状態に近づけてお戻しします。サービスの開始は4月頃を予定しています。

メンテナンスをきっちりと行うために、業務用洗濯乾燥機の世界でトップランナーでもある「エレクトロラックス(Electrolux )」のマシーンを導入しました。試運転をすると、「さすが、エレクトロラックス」という感じで、性能の高さに驚いています。

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とはいえ、タオルメンテナンスに関しては一切の妥協ができないので、ただでさえ性能が高いマシーンで、さらに時間をかけて入念に洗濯をしていきます。現状、一回の洗濯につき、140分くらいの時間をかけてます。コインランドリーでの一回あたりの洗濯時間が30分くらいであることを考えると、どれだけ入念にやっているかをご理解いただけるかと思います。

洗濯や乾燥によって風合いを新品に近い状態に戻したら、検品も行います。系のほつれの直しなど、工場スタッフで対応できるものに関しては、その場でケアも行っていきます。

実は、このメンテナンスサービスは、4年くらい前から構想していたものでした。

というのも、お客様からご相談いただく内容の多くが、「タオルケア」に関することだったからです。

イケウチのストアでは洗濯機とシンクを設置し、店舗内で洗濯と乾燥を繰り返したハンドタオルを用意し、実際の使い心地を体験していただいています。一方で、お客様から、「自宅で洗濯をしても、ストアで体験したような使い心地が再現できない」という相談をいただくことが少なくありませんでした。

詳しく話を聞くと、そうなるのは当然で、ストアとお客様ご自身で行っている洗濯と乾燥のやり方に相当な違いがありました。

イケウチのストアではドイツの家電メーカー「ミーレ(Miele)」の洗濯乾燥機を使用しています。ミーレを採用した一番の理由は、設定が細かくできることです。洗濯水量をコントロールできる他、ドラム回転の強弱や反転、脱水回転数などを意図的に設定できます。特に、ぼくらにとって重要なのは洗濯水量のコントロールで、タオルの風合いをよくするには、タオルを水のなかで泳がすことが必要なのです。

一方、最近の家庭用洗濯の流行を見ると、「節水」「省エネ」「洗濯機の自動掃除機能」など、より良い洗濯を実現するというより、洗濯機そのものの機能を重視する傾向にあるように思います。そのなかで、節水式の洗濯機の標準設定では、タオルを泳がすには水量が足りていないケースをよく見かけます。

加えて、ストアではタオルだけで洗濯するのに対して、お客様のご自宅だと衣服などと一緒に洗われ、その際に柔軟剤が使用されることがほとんどです。「柔軟剤のタオルへの使用を、なぜ私たちはおすすめしないのか。」というnoteを公開しましたが、柔軟剤はタオルのもつ吸水性を損なわせ、生乾きや劣化の原因にもつながります。柔軟剤の使用の有無でも、仕上がりに大きな差がでてしまいます。

次に乾燥です。現在、多くの家庭用のドラム式洗濯乾燥機では、濡れたものを回転させながら温風を当てて乾燥させるタンブラー乾燥が採用されています。このタンブラー乾燥はタオルの風合いをよくするのに重要で、イケウチのものづくりにおける最終工程を担う「インターワークス」という染色工場でも、「​​アングラダ」というヨーロッパ製の工場用乾燥マシーンを使い、タンブラー効果で生地に弾力を与えながら乾燥させています。

タンブラー効果を発揮するためには、乾燥機の中でタオルが回転したり、前後左右に動くようなスペースをつくってあげないといけません。ところが、多くのご家庭では他の洗濯物と一緒にタオルを乾燥させることが多く、十分なスペースが確保できずに、タンブラー効果が発揮できていないことが多々あります。

このように、タオルの洗濯や乾燥において「タオルだけで洗う、乾燥させる」「水量は多めに設定する」などは当たり前だと思っていたのですが、世間の認識はそうではないことを知りました。ぼくらの常識は世間の非常識だったのです。

そこで、ぼくらが考えるタオルケアのやり方をお客様に伝えようと、IKEUCHI ORGANICでは様々な試みを行ってきました。noteやYoutubeで、洗濯に関する情報を発信しているのも、その一環です。

そのなかでも、ぼくは「体験に勝る学びはない」と思っていて、ぼくらのタオルメンテナンスを一度体験いただくことが、お客様にタオルケアについて考えていただくための一番の近道ではないかと考えています。

2018年に開催した今治オープンハウスでは、参加者の方々にメンテナンスを体験いただきました。事前にご自宅で使われているイケウチのタオルを送っていただき、当日にメンテナンスしたタオルをお戻しする企画です。「長年使ってきたタオルの風合いが回復して驚いた」といった声を、参加者のみなさんからいただきました。

ただ、タオルメンテナンスを多くのお客様に体験していただくために、正式なサービスとして立ち上げようとすると、準備が欠かせません。クリーニング業法にのっとり、クリーニング師の資格をもつ社員だったり、クリーニング所を設置したりする必要があります。

その準備がようやく整い、タオルメンテナンスを正式なサービスとしてリリースできるようになったのが現在なのです。

タオルは消耗品ではありません。適切にケアをすることで、お客様の暮らしに長く寄り添えるものになります。ぼくらのタオルメンテナンスサービスが、そうしたことを実感いただく機会になればいいと思っています。

ぼくらは「最大限の安全と最小限の環境負荷」を理念に掲げ、お客様に喜んでもらうことを第一に考え、「ものづくり」に向き合ってきました。

ただ、「つくり手の責任」がさらに問われるこれからの時代において、「ものづくり」だけにとどまらず、お客様がものと過ごす時間にも深く向き合い、より豊かな関係をお客様とぼくらの商品が築けるように動いていきたいと考えています。

創業69年目のIKEUCHI ORGANICの新しい取り組みに、どうぞご期待ください。


<編集協力:井手桂司>

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