確固たる技量を持った俳優であると証明するために修行をしている——外桂士朗(無隣館)

「なんで演劇に関わっているの?」「どうして演劇づくりに携わっているの?」 そう聞かれると、少し緊張します。

 その理由を伝えることで自身をさらけ出すことになるかもしれない。うまく伝えられないもどかしさから、説明しやすい理由をでっちあげてしまうかもしれない。

 私以外の演劇づくりに携わっている人はどう考えているのだろう。

そんな疑問から「なんで演劇づくりに携わっているの?」というテーマで色々な人にインタビューすることにしました。 今回は、無隣館3期俳優部に所属する外桂士朗(そで・けいしろう)さんに話を伺います。

「自分ではないなにか」になることが楽しかった

ーー早速なんですけど、演劇づくりに携わるきっかけはなんだったのでしょうか?

外:高校のときに、創作舞踊部に入っていて、そこではじめて舞台に立ったのがきっかけですね。

ーー創作舞踊部では、どんなことをやっていたんですか?

外:ある一つの題材、たとえば絵画やことわざ、言葉から生まれるイメージをダンスで表現してました。部員は30人ぐらいいましたね。

自分の身体でなにかを表現するのが楽しくて、身体や表情、声とかいろんなものを使って表現を考えていました。

ーー創作舞踊ではなく、演劇をはじめようと思ったのはどうして?

外:創作舞踊部で活動するなかで、「自分ではないなにか」になる事が楽しいと気づいたんです。そういうことに取り組める表現、自分とは違う役になりきれるものってなんだろうと考えた時に演劇だなと思って。

それに、僕はダンスがそこまでうまくなくて。

ーーそうなんですね(笑)。

ただ、周りからは「表現力があるね」と言ってもらえていたので、自分もその気になっちゃって(笑)。

ダンスの身体的な技術はないけど、表現力は伸ばせるんじゃないか、そういう技術を伸ばしたいと思って、演劇をはじめました。

自分より演技のうまい人はたくさんいる。でもうまさの基準は計り知れない

ーー演劇作品にはじめて出演したのは大学に入ってからですか?

外:そうですね。在学中に演劇サークルを探し、自分で学生劇団を立ち上げていました。

ーーそこから、今まで俳優として演劇づくりに携わり続けている。どうしてなのでしょうか?

外:自分の技術が全然足りないと思っているからですね。

——自分の技術?

外:なんか、なんでしょう。

やっぱり人の目の前で直接的に演劇はやる、どうしたって人の目が気になるしそういった環境で自分がどういう風に演技ができるのか、自分の技術を上げられるのかを考えながらやってて・・・


(しばらく沈黙)


修行。そうですね修行ですね。修行。

演劇に携わっていて、いつまでたっても自分に自信が持てない。自分が確固たる技量を持った俳優であると証明したい。そのためにずっと修行をしている感じです。

ーー修行から逃げたくなることはありませんか?

外:逃げたら格好悪いじゃないですか。自分でやると決めたからには、突き進むしかないなと。

ーー舞踊のときは、そういったことは思わなかった?

外:自分の土俵はここじゃないなって(笑)。いやただ単に自分よりうまい人たちがたくさんいて、僕がここに立つ必要はないと。

もちろん演劇だって自分より演技がうまい人はたくさんいます。でもそのうまさって計り知れないじゃないですか。

舞踊だと、小さい頃からやっていて、体がどこまで柔らかくて、どこまで動けるかなど明確な技術がある。

それと比べると演技って明確なものがない。演劇を観ていて自分が下手だなと思っている俳優さんが他の人から観たらうまいと言われていたり、すごい曖昧じゃないですか?

だからそんな領域で自分がどこまで伸びるか考えながら続けてます。

演じる役や共演者、演出家と自分の違いを考えた末に一つの答えにたどり着くことがある

——外さんが感じている演劇づくりの魅力ってなんですか?

外:単純に自分の好きなことができていることですかね。

——「自分ではないなにか」になること?

外:はい。それに考え方の違う人たちと一つの作品を一緒につくって、第三者にみてもらうのが魅力かな。創作舞踊部のときから、それは共通してます。

ーー演劇作品をつくるプロセスでどこが好きですか?

外:割とすべての過程でワクワクしています。

強いてあげるのならば、演じる役や共演者、演出家と自分の違いを考えた末に一つの答えにたどり着くことがあります。その瞬間がいいですね。腑に落ちた瞬間というか。

ーー腑に落ちないままのときもありますか?

ずるずるいくときもあるんですけど、そういう時はうまくいかないことが多いです。自分も相手も納得するっていうのが大事だと思ってます。

ーー納得いかないもどかしさは、どうしていくんですか?

外:もどかしさはありつつ、そういうのも受け入れていこうと思ってます。受け入れないとせっかくの作品も成り立たなくなっちゃうかもしれない。それにオファーの時点で、「これをやりたい」と思ったから創作に参加しているし。

ーー作品をつくっていく上で、稽古場に求めるものは?

外:「全員がおもしろいものをつくっていく」と自覚を持っていること。

あと求めることじゃなく、嫌なことがあるんです。

稽古に参加してる俳優が、裏で、たとえば居酒屋で「この作品はあんまりよくないよね」みたいな話は、苦手です。演出家から隠れて、 陰口みたいな感じを聞くと「じゃあ本人に伝えようよ」「やるならそういうことを口に出さずに結果出してよ」と思ってしまう。

また、陰口の場に自分がいて、賛同せざるを得ないとき、「あーそうですね。」としか言えない自分もむかつくし。

ーーちなみに僕は、陰口を言われてもいいです。へこむけど(笑)。陰口を言うことがその人のバランスの取り方ならばそれでいいかなと。

外:そうなんですね。

ーーインタビュー受けてみてどうですか?

外:常に頭がぐるぐるしてる感じですね。

ーー何でぐるぐるするんですかね。問いが多い?

外:それもあるし、自分がどういうふうに発言すれば、問いに応答できるのか、言葉の取捨選択がぐるぐるしてて、スムーズに選択出来ずに詰まりました。自分の中では答えが決まっているんだけど、口にするにはどうすればいいんだろうか、口にしてもいいものなのかというのが常にある感じで。

——そうなんですね。今回お話を伺って、外さんは、自分で考えて選択したものに対して、前のめりに責任を背負える方なんだと感じました。これから『いっぱいいっぱい讃歌』の稽古よろしくお願いいたします。

文責:木村和博


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