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音楽レビュー『Die Kleinen und die Bösen』DAF(1980)荒々しいサウンドと子どもの悪ふざけのような愛らしさ


ノイエ・ドイチェ・ヴェレを
代表するバンド

DAF(Deutsch Amerikanische Freundschaft)
「ドイチュ=アメリカニシェ・
 フロイントシャフト」は、
(通称「ダフ」)

'78年に結成された
ドイツの音楽ユニットです。

ノイエ・ドイチェ・ヴェレを
(ドイツのニュー・ウェイヴ)
代表するバンドの一つでもあります。

'80年代には、
坂本龍一のラジオ番組でも
紹介されましたし、
(『サウンドストリート』)

'90年代以降に日本で台頭した
テクノ系アーティスト、
電気グルーヴやケン・イシイも

お気に入りのアーティストとして、
彼らの名前を挙げています。

その後の DAF とも
異なるサウンド

本盤(邦題『小者・悪者』)は、
DAF の2作目のアルバムで、
前半はコニー・プランクのスタジオで
録音されました。

(コニー・プランクのスタジオでは、
 他にもクラフトワーク、
 ノイ!、ウルトラヴォックス
 といったアーティストが録音)

後半は、ロンドンでの
ライブ音源が収録されています。

のちに、DAF は、
ロベルト・ゲアル、
ガビ・デルガド=ロペスの
デュオとなりますが、

この頃は、
クリス・ハース、
ヴォルフガング・シュペルマンスを
加えた4人体制でした。

サウンド的には
電子楽器が使われてはいるものの、
パンクの名残りが強く、
ギターのサウンドも印象的です。

荒々しいサウンドと
子どもの悪ふざけのような
愛らしさ

本盤に限らず、
プログレ系のジャーマンロック
全般に言えることですが、
(クラウトロックとも言われる)

非常に聴く人を選ぶ、
とっつきにくいサウンドです。

キャッチーな
メロディーは皆無ですし、
荒々しいボーカルも
決して聴きやすくはないでしょう。

私も本盤をはじめて聴いた頃は、
20代の前半で、
その手のものを
聴き漁っていたんですが、

このアルバムには、
それほどハマりませんでした。

しかし、年数が経ってみると、
これと同じような音楽を
聴いた経験がなく、

ふとした時に、
無性に聴き返したくなる
サウンドなんですよね。

この頃の DAF には、
洗練されていない
荒々しい良さがあると思います。

リズムもギクシャクしていて、
乗りやすい感じではないですが、
そのぎこちなさも
また味なんですよね。

特に、後半のライブ音源で
聴こえてくる童謡のような
メロディーライン、

いや、童謡というか、
子どもが悪ふざけで
歌うようなメロディー、

(「おまえの母ちゃん出べそ♪」
 「悪いんだ悪いんだ
  先生に言ってやろう♪」みたいな)

こういう旋律が、
パンクサウンドに乗ること自体が
とてもおもしろく感じます。

まさに唯一無二のサウンドですね。


【作品情報】
リリース:1980年
アーティスト:DAF
レーベル:ミュート・レコード

【アーティストについて】
’78年に結成した
ドイツの音楽ユニット。
'20年、メンバーの
ガビ・デルガド=ロペスが逝去。

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