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芸術的なゲーム『巨人のドシン』

二つ前の記事では
「芸術的なゲーム」
と題して、

『アクアノートの休日』
『太陽のしっぽ』を
紹介しました。

前回の記事では、
この二つのゲームを手掛けた
飯田和敏さんについて
書きました。

今回の記事では、
飯田和敏さんがアートディンクを
退社したあとに手掛けた

3作目の作品を
紹介します。

そのゲームとは、
'99年にニンテンドウ64、
'02年にゲームキューブで
発売された『巨人のドシン』です。

このゲームでは、
プレイヤーが巨人を操作し、

地面を上げ下げしたり、
モノや人を運んだり
することによって、
ゲームが進行します。

巨人には島民から
喜びや怒り
といった感情が集まり、

それらがハートや
ドクロマークで
示されるのです。

それらが集まると、
巨人はどんどん多くなります。
(最終的には画面からはみ出す)

ハートが集まったか、
ドクロが集まったかで、
巨人は神にも悪魔にもなるのです。

これまでに飯田さんが
手掛けてきた作品とは違って、
任天堂からの発売
というのもあって、

文字や言葉による
説明も増えましたし、
ゲームらしい要素も
多くなりましたが、

これもまさしく
芸術的なゲームでした。

巨人と島民は、
言葉でコミュニケーションは
できないので、

お互いに行動でそれを
示すしかできません。

このやりとりが、
「言葉では表現できないもの」
「哲学的な題材」
という感じがします。

思えば、飯田さんの
手掛けるゲームは、
「言葉」が出てくることが
極端に少ないのが特徴でした。

『アクアノートの休日』では、
言語が通じない海洋生物たちと
ソナーでコミュニケーションを
とることができましたし、

原始人が主人公の
『太陽のしっぽ』も
もちろん言語そのものが
ありません。

おそらく、飯田さんの中では、
「言語で表現できないもの」を
表わすものこそが「ゲーム」
なんでしょうね。

このように、
一人のクリエイターを
追っていくと、

その作り手が
こだわっている部分が
見えてくることがあるので、
おもしろいんですよね。

ゲームに限らず、
映画、音楽、文学でも
あることですね。

それにしても、
ゲーム業界にもさまざまな
クリエイターがいますが、

飯田さんのような
ゲームを作る方は
あまり見かけないので、

また新しいゲームを
作ってくれると嬉しいです。

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