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日本語と英語、文字の発展の違い

だいぶ前の記事で、
「行頭禁則文字」
「行末禁則文字」について
書きました。

少しおさらいすると、

行頭禁則文字は
行頭に置いてはいけない文字です。

、。)」』
ゃゅょっ

句読点(、。)
閉じのカッコ類は、
後ろの文字と
「区切る」役割があります。

ベーコンレタス」トマト

▲起こしのカッコが「ベーコン」と「レタス」の間を区切っている

直前の文字と分断してしまうと、
その役割が
果たせなくなってしまうので、
行頭に置くのは相応しくありません。

拗促音(ゃゅょっ)は、
直前の文字とセットで
発音するものなので、

基本的には、
行頭禁則文字になります。

※拗促音に関しては、
 誌面の設計上、
 行頭禁則が許容される場合もある


行末禁則文字は、
行末に置いてはいけない文字です。

(「『

おもに起こしのカッコ類が
行末禁則文字に該当します。

起こしのカッコ類は、
前の文字と
「区切る」役割があります。

ベーコン「レタストマト

▲閉じのカッコが「レタス」と「トマト」の間を区切っている

直後の文字と分断してしまうと、
その役割が
果たせなくなってしまうので、
行末に置くのは相応しくありません。

かつて、金属活字が
使われていた時代は、

職人さんが
このようなルールに従って、
一つずつ、活字を組んでいました。

今はパソコンを使って
文字を組むのが主流なので、

こういったルールは、
プログラムで自動的に
制御しています。

しかし、日本語は、
複雑なルールが多いので、

文字を組む場合には、
未だにこういった知識が
必要になります。

なぜ、日本語の文字組みに、
複雑なルールが
多いのかと言えば、

文字・記号の種類の多さが
原因の一つとして
あると思います。

日本語が扱う文字の種類は、
世界的に見ても、膨大です。
(常用漢字だけでも2,136字)

漢字、ひらがな、カタカナ、
数字、アルファベット

そして、カッコなどの記号類、

日本は中国から漢字を輸入し、
それをアレンジして、
独自の表記を作り上げてきました。

カッコ類一つをとってみても、
日本語には、

()「」『』【】
[]〈〉〔〕《》

このようにたくさんの
種類があるので、
覚えるだけでも一苦労ですよね。

なぜ、日本語はこのように
文字の種類を増やす方向で
発展していったのでしょうか。

例えば、英語だと、
アルファベットは
「A」~「Z」で26種類です。

大文字と小文字があるので、
「26×2」で52種類、

これに数字を加えても、
「52+10」で62種類、

カッコなどの記号類の
種類もそう多くありません。

. , ( ) ! ?

ですから、アルファベットを使う
文化圏では、金属活字の時代から
おもに「書体」を増やす方向で、
文字の体系が発展していきました。

例えば、日本語では、
文中に外来語を入れる時、
カタカナを使いますよね。

太郎はパソコンを使う

カタカナが出てくることによって、
それを読む人は「外来語だ」と、
ピンとくるわけです。

一方、英語では、外来語や固有名詞を
イタリックにするのが一般的です。

I eat sushi

▲note ではイタリックがないのでボールドで応用

※イタリック:
 イタリック体。筆記体に似た文字

アルファベットは、
日本語に比べると、
文字の種類が少ないので、

このように書体を増やす方向で
文字が発展していったのですね。

日本語は文字の種類が多いので、
特に、金属活字の時代は、
書体が多くありませんでした。

書体を増やそうとすると、
何百もの活字を
作らなくてはならないので、

安易に書体が増やせなかったのです。

その代わり、日本語は、
英語とは違って、

文字・記号類の種類を
増やす方向で
発展していきました。

(そのおかげで、
 文字を組むうえでの
 複雑さは増してしまったが)

英語のイタリックにしても、
日本語のカタカナにしても、

どちらも文中で、
特定の単語を浮き立たせるために
使われるものです。

単語を浮き立たせて、
「読みやすくする」のが
本来の目的ですが、

現代では、
カタカナも一般的になり、

その文字が持つ、
独特な風合いを生かす意味で、
敢えてカタカナを使う
といった場合もありますね。

このように、
文字の使い方は時代とともに
変化するものでもあります。

栗英田テツヲさんの記事は、
私がこの記事を書く
きっかけとなった記事です。

テツヲさんの記事では、行頭で
「、、、」
「。。。」
といった独自の表記で、
「間」を表現しています。

、、、にしても
。。。にしても、

これが紙媒体の表現だったら、
NG な使い方で、
きっと違和感がある
と思うんですが、

なぜか、これが
スマホやパソコンの
画面で見ると、

妙にしっくりくる
表現になっています。

先ほども述べたように、
文字も表現の仕方も、

時代の流れ、
道具の変化によって、
変わっていくものです。

そういった意味では、
、、、
。。。

この斬新な表現も
今後、新たなスタンダードになる
可能性を秘めていると、
個人的には思います。

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