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母が叱らなかった不思議さ(1)歯を集める先生

母が他界して21年が経ちます。

母はガンを患い、41歳でこの世を去りました。

私もあと1年で、
その年に追い付いてしまいます。

思えば、私が人と違うのは、
母親の育て方も
影響しているのかもしれません。

今でも、ふと思い出し、
なぜ、母はあの時、
私を叱らなかったのだろう
と思うエピソードがあります。

小さな頃、いたずらが大好きだった私は、
幼稚園のクラスメイトの
抜けた歯(乳歯)を
奪い取り、なくしたことがありました。

なぜか、幼稚園の先生が
園児の乳歯を集めていたのです。

「歯が抜けたら持ってきてね」
みたいな感じで。

ある日、クラスメイトの一人が
自慢げに「歯が抜けたんだ」
と見せびらかしていました。

私はその中身が気になって、
奪ってしまったのです。

クラスメイトから逃げのびて、
人気のない廊下に出た私は、
そのビニール袋を開けて、
ティッシュにくるまれた
歯を確認しました。

ところが、その歯が
あまりにも小さかったため、
落としてどこかにいってしまったのです。

乳歯を集めていた幼稚園の先生は
もちろんカンカンで、
母は呼び出しを受けました。

その辺の記憶はあいまいで、
多分、母にも怒られたのだろうと
勝手に思っていたのです。

大きくなってから
母にその話をすると、
「あの先生、変だったよね。
 なんで歯を集めてたんだろう」
と訝し気な表情を浮かべていました。

結局、母の中では
私が人のものをとって
なくしたことよりも、

「歯を集めている変な先生」
という印象が強かったようで、
たぶん、私は母に
叱られなかったのでしょう。

普通の家だったら、
「先生が言っていることが正しい」
「お前は人のものをとった罪深い人間だ」
と諭したことでしょう。

でも、今となっては、
大人になった私からしても
「悪いことをした」罪悪感よりも
「変な先生だった」という印象が
強く残るエピソードになっています。

もちろん、人のものを取ってはいけません。

*  *  *

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