カープダイアリー第8331話「自慢のディフェンス初戦でほつれ、連勝ストップのコイが挑むウル虎の夏」(2023年7月28日)

坂倉へのトランペット演奏応援歌は「あと1球」コールにほとんどかき消された。

先の巨人3連戦に続いて“首位攻防”の甲子園3連戦でも開催される阪神イベント企画、毎年恒例の「ウル虎の夏2023」。グラウンドで戦う選手と同じデザインの限定ジャージが入場者にプレゼントされることもあり、チケットは6戦とも完売、この日の入場者数は4万2637人。

「あと1球」に仕留められた打球が力なく一塁に転がって、一日で首位陥落となった。
 
「10連勝中のカープを迎えた首位攻防戦、第1ラウンドはタイガース、7対2で勝利…そしてカープを破って再び首位になりましたタイガース…」
 
実況アナウンスの声とともに、中継カメラが三塁ベンチ前列にいた無表情の野村祐輔をワンショットで抜いた。
 
続いて、新井監督も抜いた。誰かを探しているような仕草を見せたあと指揮官はベンチ裏へ。久しぶりに見る、笑顔なしのエンディングだった。
 
この日のデイリースポーツ紙面上で同紙評論家の谷佳知さんが、投手力も含めて阪神に利があること、初戦の村上がカギを握ることを挙げ、カープの勢いを止めるのは阪神と言い切っていた。スタンドを埋めた虎ファンも一塁側ベンチも思いはいっしょ。
 
カープ打線は今季2度目の対戦となった村上の前に7回5安打で2得点。ただし1点を追いかける三回、下位で築いた二死二塁のチャンスに園、野間の一、二番に連続タイムリーが飛び出して逆転するという理想的な展開になった。
 
ところが打のヒーローはふたり揃ってその裏エラー。一死から一番近本のイレギュラー気味のゴロを小園が後逸。中野への四球で一、二塁となって、森下翔太の打球はライトへ。今度は野間が後ろに大きく逸らした。どんな言い訳も通用しないとほほ…なプレー。“まんま”2点を取り返された。
 
足を引っ張られたかっこうの野村祐輔ではあるが、初回、いきなり森下翔太に先制タイムリーを許したのも敗因のひとつ。今季ここまで3試合に投げて17イニング無失点、無四球だったから、厳しく“評価”されることになる。第1打席は外スラを打たれ、第2打席も粘られた末アウトローいっぱい、いっぱいのカットボールを捉えられた。
 
この話には続きがあり五回のケムナも森下翔太に左前打され、六回にはケムナを救援した戸根もファースト強襲ヒットを許して打点2を稼がれた。締めて5の4。ドラフト1位指名できた右のスラッガーをスルーしたツケは大きい。 
 
これまで僅少差ゲーム続きの10連勝だったことで、メディアは様々な”いい話”を報じてきた。1イニング当たりの失点が1であり続けているディフェンス力をクローズアップしたものもあった。

2日前のマツダスタジアムで、森がオスナに3ランを打たれたため快記録は10試合、93イニングでストップ。続いてこの日は連勝中には出番なしだったケムナに失点4がついた。
 
さあ、あす試合前のミーティングで新井監督がみんなにどんな話をするか?谷桂知さんの見立てでは、初戦を取った阪神は一気に優勝に向け加速しそうな未来予想になっていたが…


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?