カープダイアリー第8401話「空に向かって打て!2023年CS編Ⅱ」(2023年10月10日)

午前11時、打撃練習を終えたナインが昼食のためベンチ裏に引き上げるころにはまだグラウンドレベルは涼しかった。しかしJFE西日本の練習が始まると陽射しが強まった。

4日ぶりに25度以上の夏日となる中、午後1時過ぎ、シートノックが始まった。

キャッチャー 坂倉、曾澤、磯村
ファースト 堂林、ライアン、松山
セカンド 菊池、羽月、(曽根)
サード マット、田中広輔、上本
ショート 小園、(矢野)
レフト 龍馬、矢野
センター 秋山、曽根
ライト 野間、末包

スタメンは特別ルールの下…

セカンド菊池
ライト野間
レフト龍馬
ファースト堂林
ショート小園
センター秋山
サードマット
DHライアン
キャッチャー曾澤
DH末包

クライマックス・シリーズを戦う野手18人が揃った。

試合は点数だけ見れば一方的な展開になった。

JFE西日本の主戦、右下手投げの津山裕希から序盤3回で8点を奪い15対3で圧勝した。

別メニュー調整を続けやっとこの日、グラウンドに立った龍馬は遊ゴロ、投ゴロ、中前打、四球と一死満塁での捕邪飛だった。第5打席は特別に用意されたもので、この日はレフトに加えてセンターも守った。実戦感覚をどこまで戻すことができたか?

2打数1安打の菊池と2打数2安打の秋山は早目の交代となり、矢野、曽根、上本、羽月、田中広輔、坂倉、磯村が途中出場した。

松山は六回、一死一、三塁の場面で代打起用され右前に適時打を放った。

堂林、小園、末包はフル出場。この3人は間違いなく4日後、スタメンに名を連ねるはずだ。

中でも小園は津山裕希から初回の第1打席で右越え2ラン、三回の第2打席でも初球を右越えソロ、四回の無死二、三塁では二番手右腕の浜岡拓海(盈進高出身)から中前適時打、その後の2打席もセンター返しで連続安打と5の5、4打点の大当たりだった。

新井監督は小園の打順について一番でもクリーンアップでも行けると本番に向けて含みを持たせた。

横浜スタジアムでは同時刻、DeNAとENEOSの練習試合があり、三浦監督が第1戦東、第2戦今永の先発を明言した。

東から今季柵越えしている菊池、末包、マット、ライアンの右打者と小園が初戦勝利のために大事な打席を託される。

投手陣の方は総じて課題あり、の内容だった。

先発した益田武尚は社会人相手に初回に二盗も許して2失点。3回打者15人に対して3安打3安打2四球3三振だった。

二番手のアンダーソンは1回を投げオール三振だったがボール球が多く17球を要した。

三番手のターリーは1回1安打2三振。

四人目中崎は1安打1死球1三振、一死一、二塁のピンチを遊ゴロ併殺打で切り抜けた。

七、八回を投げたアドゥワはソロホームランを許したがあとの打者6人は抑えた。

九回の大道は2四球1三振だった。

無死四球はアンダーソンとターリーだけ。短期決戦では間違いなく死四球が手痛い失点につながる。東vs床田、今永vs森下。ブルペン陣の出番はそう多くはないかもしれない。だから余計に死四球=ミスは許されない。

ところでこの試合では一塁ベンチが策を講じたケースは一度だけだった。六回、一死から龍馬が四球で歩いたところで堂林にエンドランのサイン。左前打で一、三塁の形を作った。

特別ルールで5打席に立った矢野は、スクイズが考えられる場面でもヒッティングのみだった。

新井監督は入団2年目の2000年シーズンを前に自身のテーマを「空に向かって打て!」に決めた。巨人にFA移籍した四番・江藤智の抜けた穴、イコール右の長距離砲としての四番の座に挑戦する、という意気込みがそうさせた。

その後の紆余曲折、悪戦苦闘ぶりは広く知られたところではあるが、高い志はやがて実を結ぶこととなった。

技術も大切だが、気持ちの持ち方ひとつでも打席ごとの内容は左右される。

おそらくこの日のミーティングでは細かなことより、相手の投球にアジャストして各自がしっかりスイングすることが伝えられたはずだ。

三回には2打席連続となった小園に続いて、マットが左中間スタンドにライナーで、曾澤がレフト二階席の広告壁面に、末包がバックスクリーンに会心の一発を放った。

指揮官の思いは、レギュラーシーズン143試合を戦ったことで確実にナインに浸透したようだ。あとは満員のスタンドの大歓声の中でも広島の空に向かって打つだけ…

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