カープダイアリー第8562話「開幕まで一週間、九里vs有原の投げ合い、見応え十分…も課題浮き彫りに…」(2024年3月22日)


3月後半、週末金曜日の福岡PayPayドーム。そこに足を踏み入れたカープナインは、それぞれの立場で毎年、特別な思いを噛み締める。開幕までちょうど一週間。そして福岡で2連戦のあとは日曜日のマツダスタジアムでソフトバンクとオープン戦最終戦。2月1日から続いてきた準備は、そこで一段落となる。

一軍枠当落線上の選手にとっては、このラスト3連戦が徳俵になる。二俣や林が打席数を増やすためにナゴヤ球場のウエスタン・リーグ、中日戦に回った代わりに、このタイミングで合流した羽月や久保修がそうだ。

対象的に余裕の表情を見せるのが主力組。森下もそうだ。試合前には大分商時代、ともに甲子園を目指した同級生の川瀬と話し込んだ。

栗林も山川の下へ足を運び挨拶した。侍ジャパンメンバーのつながりは何があっても大切なもの、のようだ。

さて試合の方は、と言えば、わずか2時間30分でゲームセット。2対2引き分けだった。

先発した九里は3回44球の省エネピッチングで開幕投手に向けて仕上げた。無安打1四球4三振の内容で「前回はスライダーとシュートが良くなかったけど、きょうはスライダーはしっかり投げられた、シュートはもう少し…」と振り返った。

エスコンフィールド北海道で7回1/3、96球を投じた前回登板から中9日。その間にもう一度、多めの負荷をかけ「体が張った状態」を意識的に作ってきた。

キレッキレの状態とは異なる中での下半身の粘りや腕の振れ具合はどうか?指のかかり具合はどうか?などなどを確かめて、長いシーズンを乗り切りための引き出しを増やす。3イニングを投げ終えた時点で心身の状態は整い、課題もクリアされた。

ソフトバンク先発の有原もまた、自身3度目となる開幕投手に向け、5回59球1安打ピッチングだった。

“本気モード”で開幕右腕に挑んだはずのカープ打線の中でヒットゾーンに弾き返したのは菊池(二塁打)だけ。ほかで外野に飛んだのは野間と坂倉の左飛のみで、レイノルズに至ってはわずか7球で連続空振り三振に仕留められた。

この日のオーダー
センター野間
キャッチャー坂倉
ショート小園
サードレイノルズ
レフト秋山
ファーストシャイナー
ライト田村俊介
セカンド菊池


六回以降も打線は低調だった。

野間は3タコで交代となりオープン戦打率は・100。4三振のレイノルズも打率・182で3の0のシャイナーも打率・132…

外国人砲がドツボにはまっている一方で、奮起した右打者がふたり…

六回の守備から出場の堂林は八回、先頭打者として打席に入り、藤井皓哉の第1球目、ストレートをレフトホームランテラスへ運んで見せた。選手会長は、こうでないといけない。

同じく六回、センターの守備から入った久保修は、まず七回の守りでダイビングキャッチを披露、その勢いで九回に回ってきた打席でやはりレフトホームランテラスへ“プロ1号”を叩き込んだ。

だが、チーム安打数にすれば合わせてもわずか3本。2日前のベルーナドームでは10安打と活況を呈していたのに、いい日は続かない。西武の先発候補、ボー・タカハシからオープン戦3号ソロを放った田村俊介も三ゴロ、空振り三振、見逃し三振。有原との2度目の対戦では落ちる球を3度振ってかすりもせず三振、藤井皓哉との対戦では、カーブ2球を見逃して追い込まれるとアウトローの真っ直ぐにまったく反応できなかった。

オープン戦首位を行くソフトバンクはおれで9勝4敗2分け。総得点61は12球団トップだ。チーム本塁打数16も他を圧倒!この試合では七回に投げた矢崎が栗原3号ソロ、ウォーカー4号ソロと2者連続弾を浴びせられた。

さらにその是非が問われつつも、結果的には四番を任されることになった山川が打率・344、3本塁打と打ちまくっている。

「補強」は、それまでの弱みをカバーしてなお余りある数字が出た場合にのみ「成功」となる。投手陣の“奮投”とは対照的に、龍馬が抜け、なかなか点かしないカープ打線は、このままいけば“補強なし”で開幕を迎えることになりそうだ。

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