カープダイアリー第8457話「現役ドラフト、夢と現実と…正隨優弥は1年で戦力外に…」(2023年12月8日)

オンラインによる2度目の現役ドラフトが開催され、カープ球団は楽天から内間拓馬投手を獲得した。同時にカープのユニホームに袖を通して10年目を終えたばかりの中村祐太が西武に移籍することが決まった。

現役ドラフトは現チーム内で出場機会に恵まれないが、環境を変えることで飛躍が期待できる選手への救済策として前年に始まった。

結果、今季はふたりの“大成功例”がスポットライトを浴びた。

阪神日本一に貢献した大竹と、“弱竜打線”の三番、四番を任された細川。一方で戦力通告を受けた選手が6人もいた。そのうちふたりは一軍出場がわずか1試合だった。

最後の夢と希望を持って新天地で勝負をかけてもわずか1試合。おそらくそれは“お情け”のようなもので、戦力にはならなかった、ということだろう。

2月のキャンプでの内容や、二軍戦での出来栄えを見ていれば「一軍では通用しない」ことはすぐに分かる。

そのうちのひとりがカープファンにも期待されていた正隨優弥だ。

大阪生まれ、広島育ち。しかもマツダスタジアムから徒歩圏内に自宅があり、張本勲さんや高津臣吾監督も通った段原中学時代には、中田翔(7年先輩にあたる)が四番を打っていた広島鯉城シニアに所属した。祖父三原卓三さんもカープに所属した元プロ野球選手。正にカープの申し子…

当時は広陵への進学を目指していたが、途中で大阪桐蔭に変更。高校3年夏の甲子園出場の看板を背負って亜細亜大学に進んだ。

3年の秋にはベストナイン。同期生には、今季パ・リーグ首位打者になり、ベストナインに選出された頓宮(オリックス)がいる。
 
高校、大学と王道を歩んできた正隨は今季がまだプロ5年目。頓宮の他にも多くの仲間たちがプロ野球の世界で活躍している。
 
前年秋の秋季キャンプ。就任後、間もない新井監督はジャージ姿で天福球場グラウンドに登場した。その時、正隨もその場にいた。よって「ともに同じドラフト6位、新井新監督の下で正隨飛躍へ…」という記事を書いたスポーツ紙があった。
 
だが現役ドラフトにより、そのストーリーはすぐに“打ち切り”になった。
 
ただし仮に正隨が広島に残っていたとしても、やはり同じような結末を迎えた可能性は極めて高い。
 
中・高・大と長らくチームの「主砲」として打席に立ち続けてきた正隨の打撃スタイルは「緩急をつけた投球」の前にはモロさを曝け出すものになっており、根本から直さなければならないところまで来ていた。
 
楽天はどうやらそこらあたりのことを見誤ったようだ。「イースタン」から見た「ウエスタン」。スカウティングもなかなか十分に、とはいかない。
 
1年前、新天地での活躍を誓った正隨は残念な結果に終わった。現役ドラフトにより二人目の移籍となった中村祐太にはどんな未来が待っているだろうか。

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