朝刊各紙には被災地からセンバツに挑む日本航空石川のことが大きなスペースを割いて紹介された。涙を流すナインの写真も添えられた。神戸市出身の中村隆監督は小学生の時に阪神淡路大震災を経験した。そして「がんばろう神戸」。オリックスは震災の年、１９９５年からリーグ２連覇、そして96年は日本一になった。しかも地元、神戸で…

２００９年10月、甚大な被害が出た神戸市新長田に鉄人28号の巨人モニュメントがお目見えした。神戸出身の漫画家で新長田にゆかりの深い横山光輝（よこやまみつてる）さんの作品だ。
 
１９５６年から66年まで“活躍”した鉄人28号は瓦礫と化した街中で巨大ロボットを倒し人々を助けた。「鉄人」の中は衣笠祥雄さん、金本知憲さんが引き継いだ。「鉄人レース」の表現もそうだろう。横山光輝さんは２００４年に都内で亡くなったが、鉄人に込められた思いは人々の心に残る。
 
そして故郷を思う気持ちも…
 
そう、ふるさとはいつになっても大切なところだ。
 
瀬戸内海沿いに開けた平地に都市が点在する広島県。東は岡山県、西は山口県、北は島根県、鳥取県と接している。
 
県内14の市の中で内陸部にあり海がないのは、福山市に隣接しており比較的瀬戸内に近い府中市のほか、サンフレッチェ広島の“ホームタウン”の安芸高田市とその北の三次市、さらに北の庄原市の４つ。人口が一番多いのが三次市で約４万５０００人となっている。エディオンピースウイング広島の完成でサンフレッチェ広島のホームスタジアムから“卒業”したエディオンスタジアム広島が満員になれば、これぐらいの数字になる。
 
寒波襲来で島根県境など広島県北地域では積雪量が増えている。今秋のドラフトの目玉、宗山塁の実家がある三次市三良坂にも雪が残る。
 
かつては双三郡三良坂町だった。２００４年の合併で三次市になった。宗山塁が１歳になる前の話だ。
 
三良坂の人口は４０００人弱。位置的には三次市中心部から南東に約10キロ。三次市街地とは国道184号線や中国横断道尾道松江線で結ばれる。高速に乗らなくても20分程度で三次の街中に行くことができる。

JR福塩線も走る。南下すれば府中市経由で福山方面と繋がってはいるが、当然ながら便数は極めて少ない。JR三良坂駅からの料金は福山まで1520円だが芸備線経由で広島もやはり1520円だ。

国道184号線はかつての石見路と呼ばれていた。馬洗川に沿って続き瀬戸内の尾道方面とを結んだ。その中心集落だった三良坂はその宿駅で町が形成され商業の中心になった。年貢米には水運が使われた。

かつて三次市営球場（初代）が河川敷にあった馬洗川がその流域に様々な冨をもたらせてくれた。

宗山塁も馬洗川沿いを三良坂中学に通った。蝉の声がやまかしい夏の盛りも、橋の上の雪がなかなか融けない厳しい冬場も、だ。