カープダイアリー第8477話「限りなく透明に近いドジャーブルー、広島育ちの”赤の魂”で1年目からポストシーズン2勝」(2023年12月29日)

データ解析ツールのスタットキャスト。2015年以降、メジャーリーグの全スタジアムに設置されたことによって、従来の投げて、打って、走って、守るそれぞれの動きのスピードなどが数値化されるようになった。

現地時間(以下同)の28日にMLB.comが発表した「2023年スタットキャストによるトッププレー」が、さっそくファンの間で今年も話題になっている。

もちろんそこには大谷翔平の名前がある。本塁打の最長不倒は6月30日にエンジェルススタジアムで飛び出した493フィート弾。150メートル超えのリアル二刀流、最高の切れ味となった。

剛腕の証明。

2008年、ドジャーブルーを身にまとった黒田博樹さん。現在のような数値化された環境とはまったく別次元の戦いに身を置き、広島時代に培った経験とスキルでのみメジャーの打者に向かって行った。

4月4日のサンディエゴ・パドレス戦で初先発初勝利をあげたあとも、確実にキャリアを重ね、6月6日のシカゴ・カブス戦では9回4安打11三振の快投でメジャー初完封を記録した。

ところが、その二週間後には右肩に違和感が生じて故障者リスト入りとなった。

だが、そこから剛腕の本領発揮、となる。

7月2日のニューストン・アストロズ戦で7回無失点ピッチング。上々の復帰を果たすと、続く7日のアトランタ・ブレーブス戦では七回終了まで完全試合を演じ、八回に唯一の走者となるヒットを許しただけで9回完封勝利をマークした。

当時のロサンゼルス・タイムズ・スポーツの一面には全力投球する黒田博樹さんの雄姿が掲載されている。チームが地区リーグ優勝争いを演じている最中のことであり、その1球1球は正に魂のこもったものになっていたに違いない。

けっきょく2008年のドジャースは84勝78敗の勝率・519で地区優勝を飾り、ポストシーズンへ。デビジョンシリーズ第3戦の先発を任された黒田博樹さんはここでもシカゴ・カブス打線を相手に6回1/3を投げて無失点で勝利投手になった。

さらにリーグチャンピオンシップシリーズ第3戦にも先発してフィラデルフィア・フィリーズ相手に6回0/3、5安打2失点でここでも勝利投手になった。残念ながらチームは第5戦で敗退したが広島育ちの、どんな逆境も跳ね返す“赤の魂”がドジャーブルーに染まるステージでも通用することを見事に証明したのである。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?