カープダイアリー第8513話「切れ味鋭いバットスイングで侍ジャパン目指せ!」(2024年2月3日)


午前中のブルペンで興味深いシーンがあった。視察に訪れた松坂大輔さん、そして黒田球団アドバイザーと斉藤優汰、日髙暖己の組み合わせ。即席の“特別講座”はおよそ1時間にも及んだ。

プレートの使い方、股関節の動きなど投球に関するポイント指導から、そもそも論となるピッチングの考え方まで、ふたりの日米での経験をぎっしり詰め込んだその内容…たぶん消化不良を起こすだろう。しかし、まずはそうした基盤となる部分なしには成長はありえない。

なぜ、そうまでするのか?松田元オーナーから、ふたりを何としてでも戦力にして欲しい、と黒田球団アドバイザーが頼み込まれているはずだから、だ。

いかにも松田元オーナーが好みそうなタイプの右腕ふたり。ドラフト、人的補償と獲得の方法は違っても、球団トップの判断でカープのユニホームを着ることになったのは間違いない。

ふたりは午後からもブルペンに入って、見聞きしたことをさっそく試した。ただし、そう簡単にモノにできるような話ではない。

昨季の現役ドラフト入団、戸根についても松田元オーナーは「わしは期待している」と持ち上げていたが、二軍スタートの今回は見る影もない。

一方、そうした特殊な事情と無縁の立場にあり、自らの手で一軍定着を目指しているのが田村俊介だ。

ひと冬超えて、下半身が一段と逞しくなった。高卒プロ3年目。丸と誠也もそうだったが、ふたりよりも体が大きくなる時期が早いかもしれない。「侍ジャパン候補」と報じられており、代表の井端弘和監督も小園との再会以上に楽しみにしているのではないか?

誠也が「神ってる」29発を放ったのは4年目だったが、3年目には97試合で58安打5本塁打、25打点で下準備を整えた。この数字にどこまで近づくか?それとも追い越すか?

「持ってる」モノは丸、誠也にもおそらく匹敵する。ルーキーだった2022年2月12日には、一日限定だった天福球場での紅白戦で遠藤からいきなり左翼フェンス直撃二塁打を放った。

新井監督の目にもすぐに留まった。1年前のこの時期、日南入りして最初の感想を聞かれた際、個人名を挙げるようリクエストされると「田村」と即答、さらに「口で言うのは難しいけど、しっかり自分で考えて取り組んできたのが見えた」と”解説”を加えた。
 
その勢いで開幕一軍入りを果たした田村俊介は「一軍の雰囲気に圧倒されて、ピッチャーと勝負することができなかった」と10日と持たずに二軍調整を続けることになった。そして9月になって待望の一軍“復帰”を果たし、22打数でプロ初安打を含む8安打を放った。打率・364。
 
死球で左手小指を骨折したため2度目の一軍もわずか6日間で終わったが「一軍の流れやリズムを掴めそうだった」という手ごたえを残すことができたのは大きい。
 
侍ジャパンの強化試合、カーネクスト侍ジャパンシリーズ2024は3月6日、7日に京セラドーム大阪で開催される。TBSとテレビ朝日による地上波(途中からBS)中継もある。
 
こうした注目の集まる舞台でその名を知られることになれば、レギュラーシーズンでの気持ちの張りもぜんぜん違ってくる。あと2カ月でどれだけ打撃力を引き上げることができるか、ひと振りひと振りからその気迫が伝わってくる。

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