見出し画像

宅のONODAが申すには

昨年、映画「ONODA 一万夜を超えて」が公開になった。

それを機にか、YouTubeで予告編や、当時のニュース映像がアップされていた。

小野田寛郎
フィリピンルバング島に29年間、終戦を知らず残置諜者として任務を遂行していた男。

ニュース映像は何回か見たことがあったので、戦後ずっとジャングルに潜んでいた人という認識はあったが、それ以上詳しくは知らなかった。(正確にはヨッコイショウイチさんと混同していた)

一体どうして30年近くも終戦を知らずにジャングルに居続けることになったのか?

一本くらい動画を見ればわかるかな〜くらいの興味本位で、発見された当時のインタビューニュースを見た。

軽い興味から見たはずだったが、その日から私はONODAの語り部になれるくらい傾倒した。

動画を見漁り、図書館で借りた数冊の自伝を読みONODAイズムに感化された。(映画はまだ見れてないが…)

先にお断りをしておくが、私はONODAについて評されている政治的なことをここに書くつもりはない。

時代の生き証人として右からも左からも色々論ぜられてきたようだが、私がONODAにのめり込む理由はそこではなく、その類まれなるサバイバル能力だ。

純粋にジャングルで30年も暮らしていく能力を尊敬しているのだ。

例えば、地元には縄文時代の遺跡があって、折に触れ遠い太古の昔の人の生活に思いを馳せる。

ただ、

ここまで命のバトンが繋がっているのであるから子孫は残せたにしろ、現代のテクノロジーで弱体化した我々では無理な話だろうと思っている自分がいる。

生きることにおいて文明がなければ無理だろうなあとハナから諦めている状態はもしかして、

「生きていながら死んでいる」のではないか?

決して文明は無くならない前提で、軟弱で傲慢現代人の私は雷に打たれたように眼が開いたのだ。

「やっぱり人間の生きる能力って凄いんだ‼︎

温室育ちの単純人間は、自然と共存して火を起こせる男、チャールズインガルス、黒板五郎に並んで小野田寛郎が心のオットとなった。

いくつもエピソードはあるが、なかでも

「銃で撃たれた傷を牛の脂を塗って治す。」

えーー?ワセリンみたいな?

まあ薬がないのだからしょうがなかっただろうし、
高熱も出たと言うのだから本人の生命力あってのことだろうが(治癒には数ヶ月かかっている)、何かあれば抗生剤抗生剤と薬が当たり前で、自己治癒力を疎かにしていた事を思い出させてくれた。
そして、薬を飲めば良いか!と不摂生を繰り返す馬鹿野郎な自分を恥じた。

この牛は島民から盗んでくるのだが(それはとても迷惑だと思う汗)、これは貴重なタンパク源で(普段は青いバナナの
皮をぐつぐつ煮たものを食べるそう)スモークにして保存もするが、最初は焼いて食べる。

すると足の裏まで熱を持ち、眠れないほどだと言う。

薬膳でも肉は陽のパワーがあると読んで知っていた。
しかし豊食の時代の私は、食べたものが自分を作ると言われているが、感覚が鈍麻して体に良いものでも悪いものであっても体の変化を感じたことがなかった。
土用の鰻も迷信かと思っていたくらいだ。

しかし、
やっぱりそうなのか!と目から鱗だった。

3年経つと島の気候を把握して、任務を遂行し(彼らはずっと戦闘中だった)3日おきに寝床を変え、証拠を消し移動して30年近く生きた。

雨季には雨季の、乾季には乾季の生き方がある。
体一つ、銃一丁、
どちらも丁寧に手入れしながら錆びる事なく使いこなしていた。

このマインドを子供に伝えたい!
母は事あるごとに「こんなんじゃジャングルでは生き延びれないよ!」と諭す。
「どこでも生きていける強い男になって欲しい」
母の思いは強かった。

そして今、息子は親元を離れ初めての宿泊研修へ向かう。
除菌のティッシュ、アルコール、虫除けスプレー、湿布

大きな荷物を抱えさせ、逞しく育てと送り出した。

はい
母は今からジャングルへ修行に行って参ります。



この記事が参加している募集

ノンフィクションが好き

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?