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フルーツジッパーがレコード大賞新人賞を取ったけど

フルーツジッパーがレコード大賞新人賞をとったことでオタク界隈が盛り上がってます。そのコメントには、「フルーツジッパーが今の地下アイドル界の天下をとった」「他の地下アイドルができてないことをやって売れた」みたいな物言いをする人を多くみかけました。

フルーツジッパーが地下アイドルなのかどうかはさておき、スターダムを一気に駆け上ったのは間違いないけど、ひねくれた面倒な人間としては「アイドルの成功ってなにかね?」と返す刀で聞きたくなります。

そもそもこの後もフルーツジッパーがうまく行く保証なんてないし。一気に売れたら売れたでその分反動が大きいのはオタクなら誰でも知ってるでしょ。客層を見てみろ。ハゲのおっさんがいねえ。明後日にはいなくなりそうな女子供ばかりじゃねえか。

もちろんフルーツジッパーが引き続き客を飽きさせない努力を続けたら、うまく行く可能性は十分にあります。でもあえて聞きたいんですよね。アイドルの成功ってなんですか、と。

成功と一口に言っても、アイドル個人としての成功、グループとしての成功、グループを運営する会社としての成功もあるので、一概には言えません。

アイドル個人としての成功は、やはり売れっ子になるということだと思います。あのちゃんみたいな。アイドルとして華々しいキャリアを作った上で誰もが知ってる人になり、その後のキャリアまで作っちゃう。

グループとしての成功。これはグループで出したCDが売れたり、テレビに出たりして、活躍の場を広げることです。そもそもアイドルの場合、グループの活動は個人の活動よりも優先されるため重要です。

そしてグループを運営する会社としての成功。これは所属メンバーがタレントとして活躍し、それらが会社にリターンをもたらしてくれることです。そもそもアイドルは会社の商品であり、会社が投資して作り上げたコンテンツです。個人では成し得ないことをするために、会社が手伝ってる形と言えますが、意外とこの事実は忘れられがちです。

アイドルの成功の定義を考えた時に、自分の場合は会社の持続性や成長性から考えます。まず、会社が継続しなければアイドル及びグループは存在し得ないからです。フルーツジッパーの所属事務所は、きゃりーぱみゅぱみゅや新しい学校のリーダーズが所属するアソビシステムなので、業界ではそこそこ名の通った事務所であり、だからこそ、今回レコード大賞にノミネートできたのだと思います。(レコード大賞は2016年にLDHが1億円で賞買収の記事が文春から出たり、ハロプロに新人グループがいる年はアップフロント枠があるのはハロヲタなら誰でも知ってますし、つまりそういうことです。TikTokでバズったおかげでレコ大を取れたんだ!と言ってる人がいて、そのピュアさに大丈夫かと不安になります)

メジャーデビューして数年で消えるアイドルグループを山ほど見てきた自分としては、レコ大を取ったからと言って、継続するとは限らないことを知っています。日本のアイドルグループに関しては、メンバーが変わっても、そのグループがコンテンツとして継続的にファンを集客できることがビジネス的な成功のポイントではないでしょうか。

ハロプロやAKBなどはその類であり、中身のメンバーが変わってもブランドを比較的維持できてます。韓国アイドルはどうなんだ、という声もありそうですが、そもそも卒業制度をとってるグループが少ないですし、どちらかというとデビュー前から巨額の投資をするかわりに、デビュー後に(日本より)
短期間で回収するモデルとなってます。

また、アイドル個人の成功を考えた場合、個人の主観が入ってしまうので確かなことは言えませんが、挑戦を通じての自己成長だったり、周りに対して影響力を持ちながらアイドルの仕事をできるかどうか。そして、アイドルという職業の性質を考えると、卒業後に幸せを手にできる能力があるかどうかも重要といえます。アイドルは身を粉にしてファンサービスをするため、アイドルじゃなくなった途端何をすればいいかわからず潰れる人を何人も見ました。卒業後に安定した生活を手に入れるには、ファンに対する適度な距離感と、一般社会に馴染むために周囲の助けが必要です。

以上のことから、アイドルの成功と一口に言っても、明確に定義するのは難しく、誰の何の軸で評価するかによって見方は変わってきます。デビューして2年で武道館、レコード大賞新人賞をとったのは成功のモデルケースではあるものの、フルーツジッパーがアイドル業界において盤石な地位を獲得したかどうか判断するにはちょっと早いんじゃないでしょうか。

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