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「#週1映画館運動」を3年間続けてわかったこと

前置き

2020年にコロナパンデミックが発生し、4月7日には日本国内で緊急事態宣言が発令され、外出の自粛や施設の使用制限などがなされる事態に。

コロナ禍による映画鑑賞への打撃は計り知れず、ミニシアターや映画館から人がいなくなりました。

それから3年間、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が繰り返し発令され、自粛や制限によって多くのエンターテイメントが盛り上がらない世界が延々と続いていたようにも思えます。

実際にコロナ禍では映画館の利用意識が変動し、映画館利用経験者の半数近くが映画館に行く頻度が下がっているデータもあります。

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000041.000060722.html

しかし、2023年からコロナ禍への対応方法も徐々に変わり始め、2月10日に政府は「マスク着用の考え方の見直し」を発表。3月13日から正式に屋内でのマスクの原則着用から個人の判断に委ねるということに。

エンタメ業界も変化を見せ始め、1月27日に政府は「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」を一部変更。それに伴い、東京ドームで2月11日、12日に開催された合同ライブ「THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!!!! 2023」では声出しが解禁。東京ドームとその周辺では観客の応援が鳴り響きました。

出典:https://idolmaster-official.jp/news/01_7854

ライブやイベントなど、人が集まるお祭りに熱気と活気が戻っているのを実感しました。

3年間に及ぶ自主的な #週1映画館運動

2020年、東京がゴーストタウン化し、映画館も自粛を余儀なくされていた頃、私は大切な「映画館で映画を鑑賞する文化」を少しでも助けるために自主的に #週1映画館運動 を敢行。

自分にとって映画は映画館で観るために作られた作品なので、基本的に自宅などでは鑑賞しません。ですので、池袋グランドシネマサンシャインを中心に、2020年当時に新しくできた池袋TOHOシネマズや、老舗の目黒シネマなど、可能な限り映画館に通い、お金を落とすことを目的としました。

2020年のインスタストーリーの抜粋

当時の映画館は基本的な感染対策に加えて、座席を前後左右1席ずつ開ける間引き販売など、独自の対策を取っていました。そのおかげ(?)で広々として席で、都内の映画館を独占した気分に浸りながら映画を鑑賞する、振り返るとなんとも不思議な体験でした。

2020年7月3日、コロナ禍真っ只中にオープンした池袋TOHOシネマズ。
『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を観たのが初来訪だったかも。

結果として、まだ観ていなかった古い名作や、IMAX級の新作をジャブジャブと鑑賞することができました。

  • 2020年 - 劇場へ行った回数:39回、劇場で観た映画数:39本

  • 2021年 - 劇場へ行った回数:35回、劇場で観た映画数:37本

  • 2022年 - 劇場へ行った回数:60回、劇場で観た映画数:65本
    ※2本上映などを含む

この三年間で合計134回も映画館へ通っているという結果に。2022年は恐らく自分の人生で最も映画館に通った1年だったと思います。

私は映画が好きで、映画館という音響もしっかりした閉鎖空間で観るからこそ映画に価値があると信じています。

しかし、3年間で映画館に100回以上通ったからこそ、映画館の終焉をひしひしと肌で感じました。客層の偏り、少なさ、そして特定のアニメ映画にのみ集客が見込める現状など。

映画鑑賞はオワコン?

以前のnoteにも書きましたが、約60%の人が年に0~1回程度しか映画館で映画を観ていないというのが現状です。つまり私のように観る人は猛烈に見るけど大多数の人はそもそもほとんど映画を観てない状況に陥っていることが伺えます。

コロナ禍による打撃、巣ごもり需要の拡大、映画館の値上げ、若者を中心とした貧困、娯楽の多様化・・・様々な要因があると思います。特にコロナになってから映画劇場鑑賞者の割合は2021年も減少し、約20%に。

査対象者の15歳から69歳に占める映画劇場鑑賞者(1年間に映画館で1本以上映画を観た人)の割合。詳細はこちら

しかし、売上は若干回復の兆しを見せているデータも。背景には値上がりや「映画館顕在層」によるリピート鑑賞や、アニメ映画のヒット、2020年がそもそも低かったという事情も絡んでいると思います。

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000506.000043465.html

2022年の映画興収ランキングを見ても、上位は基本的に原作やTVアニメの人気が既にあるアニメ映画が占め、実写の邦画や洋画は低迷。

アニメ映画は好調な一方、実写の邦画や中堅クラスの映画は鳴かず飛ばずとなっており、2020年の『鬼滅の刃 無限列車編』以来予兆はあったものの、ヒット格差がより顕著になっている事態となっています。

海外でも『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』やMCUの『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』などのアクション映画は好調な一方で、そうじゃない大作映画の売上も微妙な様子。『タイタニック』の再上映が好調だったり、アニメ映画『長ぐつをはいたネコと9つの命』も人気なのは日本と似たような傾向ですね。

出典:https://www.boxofficemojo.com/?ref_=bo_nb_rl_mojologo

もはや「映画館で映画を観る」という行為は遊園地やライブイベントのように、熱く盛り上がる特殊な行事になってきているのかもしれません。だからこそ、多くの日本国民が一年に一度、映画館へ行くか行かないかという状況に陥っていると思います。

料金は高い、変な客はいる、映画館に行くのがダルイ、そもそも映画館に行かなくても映画は観れる。

僕も3年間、映画館に通いつづけてますが、そこまでして映画館に行く価値って本当にあるの?とふと思うことがあります。

映画に熱心じゃない一般人たちが気軽に映画館へ行く時代が、あと数年で終わるのかも。

オペラやクラシック、舞台、落語のように縮小していくのでしょうか?

映画鑑賞の文化をちょっとでも存続させるためにできること

映画は映画館で鑑賞されるために作られたもの。

『シン・ゴジラ』をスマホで観たら、その災害級の巨大さは実感できません。
『ダンケルク』をTVで観たら、空襲の恐ろしさに涙することはできません。
『イレイザーヘッド』をパソコンで観たら、最初の10秒で離脱します。

映画館では自宅でネットフリックスのドラマやアマゾンプライムで配信されている作品を観る、とは全く違う体験ができます。

大きなスクリーン、真っ暗な空間、音楽と轟音を奏でるサウンドシステム、スマホとかに邪魔されない環境、塩とバターたっぷりのポップコーン、そしてたくさんのお客さんと感覚を共有する瞬間。

一人一人にとって映画館での映画鑑賞への価値は違ってくるかと思います。

僕は多くの人に映画館へ足を運んでもらいたい。
映画館で色々な物語を体験し、学び、それを日々の糧にしてもらいたい。

だからこそ、僕は今まで映画館で観てきた映画をnoteに綴ろうと思います。
一人や二人しか読まなくても、その人たちがそれをキッカケに映画を映画館で観てくれれば本望です。

昔書いたTENETのスクリーンサイズに関するnoteも、結構いろんな人から読まれてるみたいなので。


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映画館の思い出

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