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歌はなぜ美容に良いか


Chère Musique

エステ

前回は、歌は健康に良いという話題でしたが、今日は歌は美容にも良いのですというお話。

歌い手は、実年齢より若いと言われることが多くて、「いやぁ、そんなでもないですよ~」とか言いながら、そう言われるとまんざらでもないのです。
私はこれは、全身で心の底から音楽しているからだと、常々思っているのです。

私の身近にシャンソン歌手がいらっしゃって、年齢で言うとかなり大先輩なのに、大して変わらなく見えるのです。
表情が豊で、肌がピンと張っていて、見事な銀髪をベリーショートにして。。。。
近い将来、私もあんなふうになりたいなあ、と思っています。

音楽家にとって、舞台は最高のエステのようなもの。

お客様が観ていて濃すぎず薄すぎず、ちょうどよくそのアーティストの魅力が伝わるようなところに、表情や立ち居振る舞いが収まっていくように、コントロールする力が必要。
それに、ライトが当たってお客さまに見つめられると言うことに、責任を感じなくてはならない。

普段の練習もそこに照準を合わせるので、顔に関して言えば、表情筋のストレッチを毎日やっているようなものです。

言葉を伝える顔の動き

舞台の演奏の価値というのは、自分の作り上げてきた音楽を、どれだけお客さまに伝えられるかで決まります。

演奏形態や楽器によって違うでしょうけど、歌に関して言えば、同じ部屋にいる人にやっと伝わるくらいの表現だと、舞台では無表情でただ声を出しているだけのようにしか伝わりません。

歌詞の発音も、会場の広さによりますが、ある程度は、お芝居並みにはっきり発音しないと伝わらないのです。

そのくらい発音して表現すると、顔の筋肉は大きく動きます。
間近でみると、慣れていない人にはちょっとおもしろいくらいかも知れません。

そのレベルの演奏なら、舌も、付け根から動かしているので、もう完全に顔のストレッチです。

響きを伝える頬骨

そして、綺麗に見える一番のポイントは、頬骨。

歌声を本当に上手に響かせるためには、響かせる位置を口ではなく頭蓋骨の上半分に持って行きます。
響きの発射口をそこまで上げなくてはならないのです。

そのためには、にこーっ!と笑った時の高さまで頬骨を上げる、その高さでキープしたままで、楽しい嬉しいだけじゃなく、悲しい辛いなどの様々な表情をも出すのです。
おかしくなくても笑っている時の高さをキープし続けます。

慣れると、歌スイッチが入っただけで、その高さになります。

人によっては演技まで

そして、歌い手が全員そうというわけではないけど、歌の描く世界を、演技してしまうくらいのレベルの表現の人もいます。

主に、目の表情。
そういう人は、もし仮にその声が聴こえなくても顔を、特に目を見ているだけで、どんな内容を歌っているかわかります。

かくいう私がそうで、私の歌い手としてのセールスポイントは、音域の広さと、曲によって別人に成れるところです。
演技が大好きで、学生時代はミュージカルを、その後はプラスティクアニメを長くやってきたので、どんなに抑えても、その歌の表す世界の住人になりますし、その点でいつも嬉しい評価をいただけます。

意識して心の内面が顔に出るようにするので、心の美容にもいいこともしているなぁと感じるのです。

姿勢

人前で歌う時の姿勢についてもそうです。

ちゃんと大切なことを分かっている人は、姿勢、体勢ごと、観られている存在のすべてがその表現になるようにと、考えて練習していきます。
そうすると歌う時はいつも自然と、全身にしっかりと一本筋の通った立ち姿になり、それを元に、自分の姿を歌の役柄に合わせて作り上げていくのです。

我に返ってしまう

生徒さんたちにもこの点を大切に教えているので、皆さん一生懸命がんばるのですが、慣れていない人は、普段の自分との間にギャップを感じてしまって、演奏中に、間奏になると突然スイッチを切ったように普段の顔になってしまい、また戻すのに苦労しているのがわかります。

疲れていたり緊張していたりすると、間奏まですらも保たなくて、ひとフレーズ歌うごとにいちいち頬骨が落ちて目が虚になることも。
観られている間中ずっと何かを伝え続けていることが出来れば、その経験を積むごとに美しくなっていくのですけどね。

舞台がなくても

これを読んでくださっている皆さまの中には、「私は舞台とかそういうのには無縁だから。。。」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。

でも、家でひとりで歌う時でも、本当に心と体と全部使って音楽をしたい!そうすることでフレッシュアップしたい!と思っている方は、ぜひ心がけてみてください。
やるたびに内面から美しくなっていくこと間違いなしです。

心の底から全身で歌を歌うと、顔にも体にもハリが出るので、歌は美容にも良いのです、というお話でした。


Musique, Elle a des ailes.

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