ペルーでの日々の記録

彼にもう一度ありがとうと伝えたい

任地158日目。土曜日。

首都リマでのフェアを終えて今日は任地のタンボグランデまで帰ってきました。

リマからタンボグランデに移動するのは少しばかり勇気がいる。もう慣れたのだけれど。

(経済的に発展した大都市リマと貧富の差が大きい州都を1日で体感するのになかなか心理的に激重案件というのもあるが、今回はその話は置いておこう。)

大渋滞のあるリマ、空港まで30分でも多めに見積もって早く出る必要がある。そして空港付近の治安は悪いため車内での携帯使用も注意が必要だからだ。

多くの場合首都での公務から任地への帰宅などはバスなどで行けるのだと思うけれど、私の場合1200キロの移動となり飛行機を要する。そういう意味でもちょっとした旅行なのだ。

無事時間内に到着したかと思いきや次は名物チェックイン大行列に直面する。まあこれも慣れた。

そして荷物検査大行列にも直面し無事ゲートを抜けて1時間半の空の旅が始まるのだ。

その空の旅にたどり着くまでも、いやな思いをすることは多い。ペルーでよく思うのは日本ではマナー違反はこっちではマナー違反でないこと。それは国も違うし当たり前なのだけれど、どうしてそうもリスペクトが足りないのかと思うくらい毎度イラつく。

長蛇の列を抜けていよいよ自分の番と思っても大体割り込まれるし、ペルミソ(失礼)のひとこともないし(あったら割り込まないか、、)わが物顔で人を平気で追い抜く人たち、これは全然珍しくない。

トイレに並んでいてもめっちゃ押されるしずっと常に押されていて、前に詰めるとその分だけ詰めてきてずっと押されている状態。いや、普通にストレスなのだ。笑 空くまで入れないんだから待ってくれと思うが、せっかちなのだろうか?触れないでほしい。

今日はこれらに加えて少しイレギュラーなことが起きた。飛行機の遅延だ。まあ1時間程度なので逆に時間できてラッキー☆くらいで過ごしていた。そしてようやく飛行機に乗って席に着くと、大人たちが後ろでもめている。

ううう。なんかトラブルだぜ~~と思ってとりあえずお気に入りの桃を食べながら音楽を聴いて無視していると人がみんなイラつきの表情で立ちながらその現場を伺い始めた。

いよいよ面倒な事態になってきたぞと後ろを見ると、ぞくぞくとポリスもやってくる。彼らに向かって乗客は、彼をおろせ!もう出発しろ!!と非難の嵐。一人の乗客が何かを航空会社に求めて譲らなかったらしい。内容は知らぬ。

そのうち全然収集付かない事態にえええ、、、となりつつも様子をうかがいながら面倒なことにならないといいなと思っていた。

みんな彼を下ろせ!お前降りろ!もう出発するぞ!と豪語しながら事態は一切おさまらず、、途中ポリスが無理やり彼の身体を触って誘導しようとしたとき、ぎゃーーーーー!!!と叫び声も聞こえて本当に怖い笑。警察って拳銃持っているから、あんまり相手が感触起こしたりすると取られて拳銃使って暴れださないかなとかいらぬ心配をする私。平和的な解決を望んだ。

彼の怒りはたぶんおさまらなかったと思うけれど、たぶんその場にいずらかったのか彼も飛行機を降りて、出発予定時刻の2時間後に出発となった。

無事任地のある州都の空港についてタクシーを呼び、乗り合いタクシー(コンビ)乗り場まで。私の任地までの旅はまだ終わらない。

コンビ乗り場まで到着もまたもや長蛇の列。そんなこともあろうかとリマを朝に出ているので別に問題はないのだが、到着したのは乗り合いタクシーではなくバス。それも問題なく乗車しようとすると相変わらず後ろの人たち十数人が勝手に後ろのドアを開けて乗車。もう私の席ないかも――と思いながら荷物をバスの下に入れてもらって乗車すると一つだけ席が空いているのが見えて、隣に若い男の子が座っていて、ここ座りなよ、と。

任地の人には珍しく髪を染めている彼、優しい口調に少し安心した。「スーツケース、預けられた?」と聞くので、ああ並んでいるときから私が大きい荷物持っているの知っていたんだーと思いながら、うなずく。

その後も少しお互いのことを自己紹介した。私からするとペルー人は大体老けて見えるので見た目のマイナス4歳すると大体歳を当てられる。でも彼は若く見えたけれど29歳だった。

私が首都リマから家までの帰途に勇気を要する理由はまだある。JICAの公務の時はレシートを全部もらわないといけないのだ。タクシーやバスは通常レシートみたいなのをくれるのでそれでいいのだが、三輪バイクやコレクティーボという乗り合いタクシーはJICA指定の紙に詳細を書いてもらわないといけない。

そして今回のバスもレシートが出ないタイプとのことでJICA指定の用紙を見せて、これレシートだから書いてというと、バスの人はめちゃめんどくさそうな顔。まあ仕方ないのだけれど。

あとでね、というから、あとでを待っていたのだが一向に書いてくれる気配なし。こういう場合は降りたときにお願いするのだが、書き慣れないレシートに、彼らは大抵降りたときに少し時間を要する。基本州都から帰る場合ターミナルまでは遠いので行かず、途中の中心地でおろしてもらう。しかしいつもやるそのやり方を今回はやらずターミナルまで行った。

バスの兄ちゃんを説得するのに時間がかかりそうで、それをやっている間他のバスの乗客を待たせることになり、その早くしろよ、という目線を浴びるほどの元気が私には残されていなかったのだ。笑

バスの中で書いてくれれば解決するのにーと思いながら遠くに座るバスの兄ちゃんを叫んで呼び戻す気にもなれず、ターミナルまで行くことにした。

隣の彼は途中の中心地付近で乗客がたくさん降りるのを目にしながら、「どこまでいくの?」と聞いてきて

「本当はここ(中心地)でおりたかったけれど彼(バスの兄ちゃん)がレシート書いてくれなかったからもう終点のターミナルまで行くことにした。君は?」と聞くと

「まあ、ターミナルかな」と曖昧な返事。

ターミナルに無事到着して荷物を降ろしてもらって、バスの兄ちゃんを逃さないようにレシートを強めにお願いして書いてもらった。ほんと一苦労。笑

話それるけれど、この町は識字率も都市ほど高くないし、たまに文字を書くのめちゃ苦手な人いるから、このレシートもらう制度めちゃ困難よなあ、と思う。まあ仕方ないのだけれど。

無事手書きのレシートをゲット。周りに乗客は誰も残っていなかったけれど、彼が私の荷物の近くにいてくれた。

「レシート、もらえた?どこ向かう?荷物持つよ」と彼。

それはいいよー、、と言いながら、三輪バイクに乗って家に向かうと伝えると、じゃあ三輪バイクのとこまで、とスーツケースを運んでくれた。

三輪バイクも無事捕まえてスーツケースも乗せてようやく自分の家へ。

彼に「どこ向かうの?」と聞くと、あっちかな、、。と中心地を指さす。

そっか、いろいろありがとう!と挨拶をしてばいばいした。

家に無事つくと、少し時間を空けた部屋には、アリと砂ぼこりと謎の虫と虫の死骸が転がっているという長期間不在あるあるのちょっと萎える現実に直面する。

そういうのも含めて首都リマからの帰途はちょっと勇気がいるし、疲れるのだ。

ただ、今回は彼のおかげでちょっと安心できた帰途になった。

今思うと彼はもしかしたら途中の中心地で降りるつもりで、でも私に付き合ってわざわざターミナルまで来てくれたのかもしれないと思う。それなら三輪バイクに乗せてあげればよかったーと思い、そういう親切な彼に本当にありがとうと思った。

今回連絡先は交換していなくて、お互いの名前だけしか知らない。私は探すの難しいけれど、彼からしたら探そうと思えば任地の日本人なんて私しかいないし簡単に見つかるのだけれどね。

彼のおかげで家についてもなんか少し幸せな気持ちになれた。朝9時にリマを出て家に着いたのは18時過ぎだっただけど気にならなかった。

今回の輸出展、いろいろ思うこともあったけれど配属先と一緒にいる時間が長くて嫌なところが見えたりリマでのみんなの立ち振る舞いとかそういうのも含めて全然好きになれない自分が嫌だった。

思うところがあってこういうツイートしたのだけれど、私にとって何よりもつらいのは自分が任地の人を嫌いになってしまうこと。人を嫌いになったことが本当に今まで少ないのに、ここに来てからは悲しいことの連続で任地の人に本当にうんざりすることも多くて、輸出展でも一緒に来た仲間はみんなおじさんで私は紅一点で(輸出展に限らずだけれど女子一人でおじさん十数人に囲まれる活動は息が苦しい(たいてい誰かがセクシャリティで嫌な気分にさせることを言ったりするので))、任地の人を嫌いになる前に距離を、、と輸出展ではブースを離れて一人調査をする時間をしっかりとったりもした。

そんな上での帰途だったので、いよいよ真に受ける逃げ場のない任地に途方もない不安もあり、本当に嫌いになりたくない。みんなのこと好きになりたいのに、、って思いがひたすらにあって、

でも平気で抜かされたり嫌な扱いをされたり話を聞いてもらえなかったりというリスペクトに欠ける現実や配属先の非協力が真に受けていることがやっぱり受け入れられないところもあって

そんなときの彼からの親切だったので本当にうれしかったし、親切にしてくれてありがとうと思った。

そして何よりもお礼を言いたいのは、

私にペルー人、というより、タンボグランデの人を嫌いにさせないでくれてありがとうということ。

彼のおかげでぎりぎり嫌いになりそうのところからいい人もいるなあと思えた。

本当にありがとう、また出会えた時は一緒にご飯でもいきたいなーと思う。

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