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大切なあなただけに送る、N1起点マーケティング

皆さんは、自社ブランドの「ファン化施策」してますか?

もしその施策が「自社ブランドを好きになってもらう」ためのものであれば、一度この本を読んだほうがいいかもしれません。

本記事では、本書で紹介されていたフレームワークを2つ紹介していきます。

ご覧遊ばせ

0,顧客起点マーケティングの全体像

「顧客起点マーケティング」とは何か。それは、一人の顧客を起点に商品やサービスの新たな可能性を見つける概念のことです。

「N1分析」という言葉を耳にしたことがある方は多いと思います。これから解説するフレームワークを使用し、特定の顧客セグメントから「1」を抽出して分析を行うことにより、「アイデア」を開発して継続的に運用していくものです。

1,マーケティングの「アイデア」とN1の意味

[1-1,アイデアの定義]

本書における「アイデア」は、下記のように「独自性」と「便益」の四象限で定義されています。

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これを前提に、「アイデア」には大きく分けて次の2つがあります。

1.商品やサービスそのものとなる「プロダクトアイデア
2.商品やサービスを対象顧客に認知してもらうための手段である「コミュニケーションアイデア

この2つそれぞれに、独自性と便益の四象限を適用することができます。

この2つには「プロダクトアイデア」が主体要素で「コミュニケーションアイデア」が従属要素であるという明確な主従があります。

簡単に解説をすると「プロダクトアイデア」の独自性が多少低くても、便益があれば「コミュニケーションアイデア」で補強して売上の向上やブランド育成が可能です。一方、「プロダクトアイデア」そのものに便益がなければ、「コミュニケーションアイデア」のみで中長期的な売上を獲得することが不可能です。

そのため、N1分析を行い、便益のあるアイデアを開発する必要があります。


[1-2,N1分析]

1人を分析する「N1分析」で最も重要なのは、「購買行動を左右している根本的な理由」を見つけることです。

N=多数である「マス思考」では、ターゲット層の最大公約数的なアイデアしか生み出すことができず、筆者自身もこれに囚われていた時代に失敗を重ねてきました。

企画やマーケティングは、徹底的にN1起点で考え、「独自性」と「便益」のあるアイデアを開発していくことが大切です。

一方で、「ターゲットを絞り込みすぎるとニッチ化する」という意見もあります。しかし、私達の生活を作ってきた様々な商品やサービスのほとんどは「特定の誰か一人を喜ばせること・幸福にすること。便利になってもらうこと」が起点になっています。

2,【基礎編】顧客ピラミッドで基本的なマーケティング戦略を構築する

[2-1,顧客ピラミッド]

 顧客分析・分類のために使用されるフレームワークに、「顧客ピラミッド」というものがあります。

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これは、次の3つの設問による簡単な調査で作成することができ、低費用なネット調査でも可能です。

1.そのブランドを知っているかどうか(認知)
2.これまでに買ったことがあるかどうか(購買)
3.どれくらいの頻度で購買しているか(毎日、毎月、数ヶ月に1回、最近は買ってない...などの購買頻度)


[2-2,顧客ピラミッドの活用法]

「20-80の法則」や「パレートの法則」というものを聞いたことがある方は多いと思います。上位顧客20%が全体売上の80%を生み出しているという法則です。

上記の顧客ピラミッドに当てはめると、「ロイヤル顧客」が上位20%に当たり、「一般顧客」がその他80%に当たります。つまり、顧客ピラミッドで「ロイヤル顧客」に当てはまる顧客に対してN1分析をし、アイデアを開発していくべきなのです。


[2-3,行動データと心理データの分析]

顧客分析をすすめる上で、顧客の「行動データ」と「心理データ」の両面を分析することが重要となります。

行動データ
POSデータ / Webやアプリなどのアクセス情報 / 位置情報etc...
心理データ
ブランドに対する好感度 / メディア接触回数 / メディアに対する信頼度etc...


[2-4,N1起点の分析]

N1分析で理解したいことは、「いつ、どのようなきっかけで、ブランドを知ったのか/買ったのか/ロイヤル顧客化したのか」です。そのきっかけがアイデアを創出する大きなヒントとなるからです。

方法としては、事前に「顧客ピラミッド」作成のための3問でスクリーニングをし、セグメント条件に合う方にインタビューを依頼すると行ったものです。

ヒアリングする内容は、上記の「きっかけ」を探るための質問です。具体的には下記のようなものです。

・現在使用の実態・満足/不満足
・競合ブランドへの認識
・好きな点と嫌いな点

※ロイヤル顧客・一般顧客・離反顧客に関わらず同様の質問をする。
→一般顧客と離反顧客はロイヤル顧客とどのような点にギャップが有るのかを探る。また、そのギャップが生まれたきっかけを探る。


[2-5,アイデアの創出]

ロイヤル顧客10名にN1分析を行い、ひとりひとりのカスタマージャーニを描けば、「アイデア」の原石である「きっかけ」がいくつか見つかるはずです。

そこから、「具体性」と「便益」のあるアイデアを創出していきます。

3,【応用編】9セグマップ分析で販売促進とブランディングを両立する

[3-1,顧客ピラミッドをさらに細分化した9セグマップ]

購買頻度や購買額で定義しているロイヤル顧客の中には、「今回は自社ブランドで大量購入したが、次回は他社ブランドで大量購入する」という、「真のロイヤル顧客(自社のブランドのみを購入する顧客)」とはいえない顧客が存在しています。

そこで、「ブランド選好」の軸を加えた9セグマップを用いて、さらに顧客ピラミッドを細分化していきます。

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図において、左から右への移動は「販売促進」の効果の表れを示し、下から上への移動は「ブランディング」の効果の表れを示します。

顧客ピラミッドでは可視化できなかった「ブランディング」の効果を見ることができるため、何がブランド選好につながるかを探ることができるようになります。


[3-2,ブランド選考と好き嫌いは異なる]

ブランド選考は「次回の購買(使用)意向」を表し、「好き嫌い」とは明確に異なるものです。

具体的には、「家の目の前にあり馴染みのあるスーパー」と「200m先に新しくできた先進的なスーパー」で比較することができます。

馴染みのあるスーパーは「好き」であり、一見「ブランド選好」も高いように思えますが、最近できた「好きでも嫌いでもない」先進的なスーパーに興味があるとすれば、次回使用するのは先進的なスーパーかもしれません。

これを混同してしまうと、「うちの顧客は当社ブランドを非常に好んでくれているが、何故か全体の売上が減っている。その理由がわからない」という自体に陥ってしまいます。

「好かれる」ことと「次回も購入する」という顧客の考えのうち、重視すべきは後者であることが明白です。

感想

ファン化施策においても、いかに「自社ブランドを好きになってもらうか」ではなく、いかに「次も自社ブランドを使用してもらえるか」を目的と置くべきであると気付かされました。

大学時代に学んだことが混ざっていたりして、なんとなく理解はできました。が、ちょっぴり難しかったのでもう一回読んでみます。


※Twitterやってます。社会人2年目のマイルドヤンキーがベンチャー企業のマーケティング課でもがいてます。「なんかおもろ」って思ったらフォローお願いします💓



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