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アンポンタン!と言われたヒーロー

娘は4歳、年少さんの年齢だ。

何を隠そう精神発達遅滞のいわゆる障がい児である。ハイハイし始めたのが1歳1ヶ月、歩き始めたのが2歳3ヶ月、思えば全ての成長が遅かった。未だに言葉が拙く、2語文で話すのがやっと。ママとパパを呼び間違える。トイレトレーニングできる気配はまだない。

アンパンマンが大好きで「まんまん!」と呼んでいたはずだが、今朝は「アンポンタン」と呼んでいた。突然の謂れのない悪口にアンパンマンも驚いたことだろう。

障害児の子育ては大変そうだと思いますよね?

実際、面倒。オムツはビッグより大きいサイズでお金かかるし、何言ってんのかわかんないし、すぐコケるし、ルール理解するのに時間が掛かるし、しんどいことも多い。

だけど案外、想像していたよりも悲壮感はなかった。

これは、最初から障がいをもって生まれたからではなくて、だんだんと「この子はそういう子なんだなぁ」と時間をかけて受け入れているからかもしれないし、幸いに、命に関わる重篤な障がいではなかったからというのもあるかもしれない。

「障がいのある人を笑ってはいけない」と、ひとは言うかもしれないが、家族の中で絶えず笑いを運んでくれるのは娘である。

うちの娘は本当に楽しい。よく笑わせてくれる。子供なら誰でもある小さな言い間違いや、意味不明な喃語が「これかぁ!」ってわかった時の爽快感は勿論、ジュースじゃなくて水とお茶が好きなところも、すぐ漏らすところも、2歳向け知育DVDの「どっちだ?」系の簡単なクイズに全力で不正解なところも、ダメと言ってもお菓子を床にぶちまけるところも、ママが夕飯作りに忙しくしてるうちに気がつくとなぜか全裸になっているところも、全部おかしくて笑ってしまう。

「笑ってはいけない障がい児育児」は、ものすごい笑いに満ちていて、実は結構得してることもあるかもしれないとさえ思える時もあるのだ。

家族が笑ってると、もちろん娘も笑う。さらにわざとウケを狙いにくる。娘は私に似て、芸人気質なようだ。

将来を憂いたり発達を憂いたりしたらきりがないので、日々悲壮感を漂わせるより、少なくとも、家族は笑って周りにいるほうが幸せだと信じてるが、ストレスはまぁまぁ溜まるので、障がい児が通える、児童発達支援施設にはお世話になりきりだ。発達の遅い子が、そういう子なりの保育や療育を受けられる施設があることを、娘を育てるまで、恥ずかしながら私は知らなかった。

娘は週2回幼稚園に行き、週3回で児童発達支援に行っている。

実は、幼稚園に入れるのは一度断念したんだが、上の息子も通っていたところでつながりがあった為、幼稚園側に説得されて渋々入園した。多様化社会ネイティブの子どもたちは優しくて、娘もクラスで頭を撫でられたり世話を見てもらって、可愛がられているようだ。

娘が面白い行動をしているときは、是非笑ってもらってかまわない。思い切り笑ったあとに抱きしめるなり肩を組むなり、優しく楽しく触れ合ってあげてくれたら、母は嬉しいな。

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