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息子、登校拒否の始まり話

令和2年の夏の始まりだった。朝7:40に登校班の集合時間が迫っていて、とても焦っていた。

息子はその頃毎日、靴がうまく履けないとか、雨で濡れそうだとか、トイレに行き忘れたとか、出がけになるとグズグズしていて、いつも遅刻寸前だった。そのうち、家を出た瞬間に歩かなくなった。無理に引っ張って登校班の集合場所まで連れて行った日もあった。連れて行ったのにその場に立ち尽くすので、私も登校班と一緒に登校したり、結局登校班に先に行ってもらって、後からついて行ったり。一度家に帰って冷静さを取り戻してから、改めて遅刻して行ったり。

学校の昇降口から中にも入るのを嫌がる。仕方なく一緒に靴を抜いで、教室まで送る。教室から帰ろうとすると走って追いかけてきて、収拾がつかない。先生に歯がいじめにされる息子を置いて走って帰った日もあった。

しかし、帰る時には元気で、近所の友達とはしゃぎながら帰ってくる。思えば保育園も幼稚園も朝行きたくないとぐずることがあった。でも、帰りは元気で問題ない。慣れるまではしょうがないかな、と思っていた。

しかしながら、日に日に状況は悪化、最終的には朝、家を出る前に「行きたくない」と泣き出した。体調も悪くないし、いじめられてもいないという。ただただ「行きたくない」だけ。

ハラハラと泣く息子に向かって私は叱った。烈火の如く叱った。

「なんでもないのに休む人なんていないよ!!勉強も運動も、みんなに置いていかれるよ!!」

ただでさえコロナ騒動が始まったばかりで休校明け、全員が例外なく焦っていた。私自身も仕事復帰出来るか出来ないかの瀬戸際で、とても焦っていた。ちょっと疲れちゃっただけだろう、と冷静に受け止めることなど出来る状態ではなかった。

私より幾分か冷静な夫が出てきて、息子に「学校始まったばかりで疲れたんだよな、1日休んだらまた明日は行けるよな?」と声を掛けた。息子は「行ける!」と言ったので、休ませることになった。

その後はお察し、2日経っても3日経っても息子は学校に行かなかった。毎日朝起きて来ないし、起こしてもソファで横になっているだけで準備が一つも始まらない。昔から朝が弱かったので、私は無理やりパジャマを脱がして服を着せていた。そうすると息子は、下がり眉の顔になり「んうぅぅぅ」と言葉にならない声を発して私に抱きついてきて離れない。

「今日も学校には行かない?」
と聞くと、彼は「行く」と答えるが、一向に手足は動かない。本当に辛かった。もう行かなくて良い、と見捨てるように言い放って、家事をしながら1人で泣いた。夫もそれを見て色々手伝ってくれたし、話も聞いてくれたが、解決の決定打は無く。

なんでうちの子こんなふうになっちゃったんだろう?私が悪かったのかな?と毎日毎晩自問自答していた。

そんな私に現れたのは救世主・隣の奥さん。

隣家に住んでいるママ、実は、ずっと子供の不登校や自閉スペクトラムで悩んできた方だった。さらに、兄弟の中の一人は息子の同級生で仲良くしてくれていたので、よく話す機会があった。

ある日疲れ果てた私と玄関先で会って、心配して声を掛けてきてくれた。どこかに相談とかしてる?と。それで目から鱗。

「え?こんなこと相談していいの?」

と思った。どうやら、良いらしいぞ!

特に行政や学校にも深い相談をしてこなかったので、私はそのママに教えを乞うことにした。どこにどの順番で相談してどんなサポートを受けられるのか、何をしたら良いのか。

その後の展開を思うと、不登校の息子のことを家族だけで抱え込まないことの大切さが本当に身に染みているので、備忘録的に、今後シリーズで書いてみたいと思います。


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