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ちゃんこMUSICについて思うこと(下)

蓋を開けてみれば良い面も多々あった。
しかし一方で、問題点・課題点もあったことはやはり指摘しておかなくてはならないことだろう。
僕が「ちゃんこMUSIC」に対して感じた問題点は、大きく分けて以下の4点である。

①集客の問題
②メンバーの負担増の問題
③企画内容の問題
④チケットの売り方の問題


3. ちゃんこMUSICの問題点・課題点

①集客の問題

「ちゃんこMUSIC」は静岡文化会館・中ホールで開催された。座席数、1,170席の会場である。
果たしてこの会場選定が今回のイベントで適切だったかどうか。もっと言うと、これだけ広い会場を埋めるだけの勝算が運営にあったかどうか。そこがポイントである。
と、こんなことを書くと、なぜそんなことを一介のオタクが気にする必要があるか?と思われるかもしれないが、理由は至ってシンプルで、推しをスカスカの会場で歌わせたくない、ただそれだけである。頑張って血を吐く思いで練習してきた推したちに、満員の景色を用意してあげたいと思うのはオタクとして当然の感情である。だから、運営さんも同じ気持ちで今回の会場を選んだのだろうか?と、そこがどうしても気になってしまうのだ。もし勝算があってシズブンを選んだのならそれはやはりいろいろと大誤算だったと思うし、別に埋めなくてもいいと思っていたのなら、それはそれで演者に対してとても失礼な話だなと思ってしまう。

約1ヶ月前の12月24日に、「SOUND OF Christmas POP MUSIC 2023」というイベントがLIVE ROXY SHIZUOKAであった。

ちゃんことほぼ同じメンツである

「ちゃんこMUSIC」とほぼ同じメンツが出演して、ROXY(最大キャパ600だがこの日はカーテンで仕切られて300サイズだったと思われる)を半分も埋められていなかった現実を見て、少なからず僕は「ちゃんこMUSIC」の集客がとても不安だった。
各グループのオタクがどれだけいて、ちゃんこにどれだけ集まりそうか?ということは、ある程度予想出来たはずである。そしてそれは会場を選ぶ時点で分かりきっていたことではないか。ましてや今回はmiuzic所属のグループしか出演しない。つまり、miuzicのオタクしかターゲットにしていないのに、それでもシズブン中ホールを選んだのなら、見通しが甘すぎるとしか思えない。

一方で、こういう見方も出来る。
客が少なくて赤字になったとしても、所属アーティストにシズブン中ホールで歌う体験をさせたかった、という仮説。アーティストなら誰しもキャパ1000クラスのホールに立ってみたいと思うはずだ。そういう成功体験を所属メンバーにさせたかったのでは?しかし、仮にそうだとしても、客席が寂しければ、虚しさだけが残って逆効果ではあるまいか。
当日の客席は1/3も埋まっておらず、実に寂しかった。この結果は、やはり重く受け止めなければいけない。そして次に活かさないといけない。演者も絶対にそうだが、オタクもまた、満席の状況で盛り上がる景色を観たいのである。背伸びをせず、身の丈にあった場所で観たいのである。
ホールという形にこだわりたいのであれば、清水マリナート小ホールという選択肢もあったのではないか。座席数292席。これならSOLDOUTも狙えるちょうどよい規模だった。演者も満席の客席の中で気持ちよく歌えたことだろうし、観客も満員の空気を味わいながら最高のライブを楽しめたことだろう。

②メンバーの負担増の問題

2つ目の問題も特筆しておかなくてはならない。
メンバーが早い段階から練習に着手していたというのは特典会で直接聞いていた。はじめはそれだけ気合いが入っているんだなという眼差しで見ていた。しかし日が迫ってくるにつれて、明らかに切羽詰まって大変そうなのが伝わってきた。のちにあるメンバーは、「軽く鬱になりかけた」とまで語っていた。

曲や振りをイチから覚えることの大変さ

no Filterに限っていえば、1月から生誕ラッシュが始まる。カバー曲を新たに覚えなくてはならない。生誕メンバーは自分の生誕祭の特典の準備もしなければならないだろう。加えてこの時期、ハロウィンデコチェキ、クリスマスデコチェキや年賀状などのオンライン販売も加わった。その状況下でちゃんこの練習である。メンバーの負担があまりにも大きいのは外から見ていても伝わってきていた。
全シャッフルは新鮮でいいのかも知れないが、メンバーの負担があまりにも大きいのなら考えものである。各グループがオリジナル曲を数曲歌い、一部の曲をシャッフルメンバーで構成する、という形でもよかったのではないか。

③企画内容の問題

メンバーの負担増の問題を考えると、企画内容の問題に発展する。ちゃんこになぞらえてメンバー総シャッフルというコンセプトはわかる。普段観ることのできない組み合わせでのステージは、それなりに興味深くもあるだろう。しかしそれは果たしてファンが観たかったものだろうか。
僕たちは普段からフリーライブなどでmiuzicの他のグループも半ば強制的に観せられている。その頻度があまりにも多すぎて、もっと普段観れないような刺激が欲しいと感じることは、正直多い。メンバー総シャッフルは非日常的な企画かも知れないが、僕たちを満足させるほどの「刺激」かと言われると、決してそうではない。miuzic所属のグループだけで、miuzicに通うオタクだけが集まる現場。それはいつもと変わらぬ日常なのだ。
ではどういう企画だったらよかったのか。
答えはシンプルである。もっと他のオタクに観てもらえる企画であってほしかった。オタクというのは、自分たちが推してるグループを他のオタクに見せつけたい生き物である。例えば今回delaの楽曲があるのならば、delaにも出演してもらえば企画のインパクトは一気にハネ上がっただろうし、外部のオタクもやってきて集客の面でも少し効果が見込めただろうし、自分たちの自慢の推しグループを他のオタクに観てもらう絶好の機会にもなり得ただろう。もっというと、近藤楽曲でなくても呼んだらいい。もっと他所のオタクが来るような場にしないと期待以上の集客は得られないし、新規ファンの獲得には繋がらない。所属メンバーシャッフルという味の薄い「ちゃんこ」ではなく、いろんなグループが集まってバチバチに競い合う味の濃い「ちゃんこ」であって欲しかった、というのがオタクの立場からの率直な感想である。

④チケットの売り方の問題

最近の各グループの有料イベントの状況を見ていると、チケットの売れ行きがあまりよくないのかな?…と感じることが多い。外部から来た身からすると、miuzicのオタクはチケットをギリギリまで買わない人が多いなという印象を少なからず受ける。それは、「急いで買わなくてもどうせ枯れない」というのもあるだろうし、先ほど挙げた企画内容の問題とか、集客にまったく見合ってない強気なレギュレーションの問題とか、フリラを多く打ち過ぎてる結果ライト層が満足してしまって有料に来なくなっているとか、まあいろいろと思い当たる原因はある。
御多分に洩れず「ちゃんこ」のチケットの売れ行きも良くなかった。そこでこんな企画が直前に急遽行われることになった。

チケットは後から買った方が得をする?

チケットを先に買った人には特典が付かず、後から買った人が得をするような企画、である。チケットの売れ行きが良くないからといってこんな売り方をしたら、「どうせいつも枯れないし、ここは後から買った方が得になることがあるからギリギリまで買わないでいいや」となってしまうだろう。これは絶対にやってはいけない悪手だ。もしやるのであれば、既に買っている人にも同じ特典を付けた上でやるのが筋というものではないか。
こういう部分で嫌気が差して現場から足が遠のいたり離れてしまったりしたオタクは実は身近に何人もいる。集客に苦戦してるのがそういう部分にもあるということに、運営さんが果たして気づいているかどうか、である。

チケットの売り上げの良し悪しは、アイドルの責任ではなく運営の責任だと僕は常々思ってる。アイドルは日々練習を頑張り、厳しいスケジュールの中、本当によくやってる。実際に当日はそれだけの価値あるものを僕たちに観せてくれた。だから、チケットが売れないのはアイドルたちの頑張りが足りないからでは決してない。運営さんの側に、オタクが行きたいと思うような企画力、現状でどれだけ人が集まるかの客観的な分析力があるかどうか。そういった部分がとても大きいと思う。

4. おわりに


miuzic所属のグループはとても魅力的なグループが多い。これは東京の現場から移ってきた僕が言うのだからきっと間違いない。だからこそ、推したちにはもっと報われてほしいなと願っている。もっと果敢に外へ勝負してってほしいなと思っている。

今をときめくfishbowlともやっていた
これくらい攻めた企画がもっと観たい
ブッキングは運営さんの腕の見せどころ

毎年行われている「SHIZUOKA MUSIC GENIC」は、僕がかなり楽しみにしてるmiuzicの企画のひとつだ。こういう企画が出来るのだから、「ちゃんこ」だってもっと魅力的な企画にすることはいくらでも出来たと思うのだが、どうだろうか。

以上、オタク目線からの厳しい提言を書き連ねてしまったが、「ちゃんこMUSIC Vol.1」とナンバリングされている以上、もし続編が来年以降もあるのであれば、やはり良くなかった点は改善して更に良いものにしてほしいというのはオタクとしても思うところだし、もっとワクワクするような企画の中で輝く推したちが観たい、というのが本音である。

内容が内容なだけに、本記事を書き上げるまでに思いのほか時間がかかってしまった。記事として新鮮さに欠けてしまった感もあるが、現場で「あの続きはまだですか?」と言ってくれる方もチラホラとおり、今回頑張って書き上げてみた次第である。見ようによっては厳しい提言になってしまったし、僕もこの記事を書くのに躊躇いが無かった訳ではない。全ては推したちが報われてほしいという想い、そして企画がもっと良くなってほしいという想いからである。「ちゃんこ」には良い面もたくさんあったのだから、もし続編があるのであれば少しでも参考にしてもらえると嬉しいなと思っている。

2024.3.11 完

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