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山崎豊子の小説で歴史を体感しよう

中学や高校で日本の歴史を学びますが、歴史の流れは何となくわかったけど、当時どんな雰囲気だったかイメージがわかない、だから歴史には興味がわかなかった、という人は多いと思います。そんな人には山崎豊子さんの戦争三部作を読むことをオススメします。白い巨塔や華麗なる一族、沈まぬ太陽あたりがドラマ化もされて有名ですが、戦争三部作を読むと戦争の追体験ができます。あくまでフィクションですが、史実に忠実に書かれているので、追体験に十分です。
この3つの作品が戦争三部作と呼ばれてます。

①二つの祖国
日本とアメリカという二つの祖国に翻弄されたアメリカ日系人の物語です。太平洋戦争が起こった時に日本とアメリカの日常生活はどうだったか、戦後はどのような世界観だったのか、具にわかるので、戦争三部作の手始めに読むことをオススメします。後半では極東国際軍事裁判が進んでいきますが、教科書で書かれていた無味乾燥な史実が、あたかも自分の前で繰り広げられているかの印象を受けます。

②不毛地帯
ドラマのイメージを持っている人が多いと思いますが、原作はこちら。戦前と戦後の日本を支えた男の生涯を描いた物語です。抑留されたシベリア、石油を掘り起こすために訪れた中東、二つを不毛地帯と呼び、運命の点と点が結ばれていくとはどんなことか、考えさせられます。
終戦直前で勅使として新京に飛行機で飛び、そのまま東京に戻れるにも関わらず、負傷者を帰りの飛行機に乗せて自分は新京に残ったことから運命が切り開かれていく場面は今でも忘れられません。

③大地の子
山崎豊子さんの一番の名作だと思います。中国東北部の戦争孤児の物語ですが、戦争がいかに人々の運命に影響を与えたかだけではなく、親子とは何か、血縁とは何か、無性の愛とは何か考えさせられます。最後の場面で、実父と長江のクルーズ旅行をして最後に放った言葉、それこそがこの本の本質を示すものです。

これらは二度と戦争は繰り返してはいけない、それを戦争を体験していない世代に伝えないといけない、という使命感を山崎さんが強くもって書かれたものです。読むと教科書で学んだ無味乾燥な知識があたかも目の前で起きているドラマのように思えてきます。小説の力をまざまざ見せつけられます。一緒にリアルな歴史を感じましょう。

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