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受託事業会社の新規事業!? ビジネスの始め方と育て方

Hello, people.

今回のテーマは「受託事業会社の新規事業!? ビジネスの始め方と育て方」です。近年、企業や自治体などから依頼を受けてシステム開発やウェブサイト運営などを行う、受託事業会社が増えています。中には高度なスキルや豊富な経験を活かして新規事業に取り組む会社も出てきており、今後こうした流れは加速すると考えられます。

そこで実践的ビジネスコミュニティ GDA(Good Days Association)では事例を交え、受託事業会社の新規事業について紹介するウェビナーを開催。株式会社Drop米田真介さんと『株式会社へノブファクトリー』谷脇しのぶさんに登壇いただきましたので、その内容をお届けします!

米田さんの事例

米田 現在私が経営している株式会社Dropは、WEBサイト制作やアプリ開発といった受託事業を行う傍ら、SDGsなど社会課題を解決するためのコンサルティング事業や教育事業を行っています。特にSDGs関連については主軸の事業になっており、国内トップクラスのSDGsメディアを運営し、YoutubeやVoicyでも積極的に情報発信を行っています。

「社会課題の解決をしたい」との思いから、2019年には大阪府門真市と連携し、貧困家庭の子どもたちを救う報告発見アプリの開発も行いました。市民ボランティア間の子どもの情報共有を円滑に行い、報告件数を最大化するのがねらいです。

また、既に事業譲渡をしてしまったのですが、初めて起業をした会社『株式会社IKUSA』では受託事業の傍ら「チャンバラ合戦」というイベント運営やプロデュースも手掛けました。

これはスポンジの刀を使い、相手の腕についたボールを落とし合う多人数アクティビティです。城や遺跡を舞台に行うことで、遊びながら地域の歴史について学べ、子どもも大人も一緒になって遊べるのが特徴です。また日本の歴史文化に触れられる遊びであることから外国人の関心も高く、海外展開も行っています。

この事業では「テクノロジーに強い」という自社の強みを生かし、遊びを広げるアプリを開発しました。チャンバラ合戦を1000人単位で楽しめるように「どの軍の兵がどのくらい生き残っているのか」「自分は合戦中どのくらい生きていたのか」「消費カロリーはどのくらいか」など、アプリ上でさまざまな情報を確認することができます。

谷脇さんの事例

谷脇 起業前は個人事業主としてウェブ制作を請け負っていたのですが、当時はジャンルを問わず「何でも引き受ける」ことで仕事の幅を広げていきました。そのうち案件獲得件数が大幅に増え、サイト運営も任されるようになったことから、仲間を誘い会社を設立することになりました。

ところが受託事業ばかりをしていると、どうしても案件と案件の合間で暇になる期間ができてしまいます。そこで、その時間を使って自社のオリジナル物販サイトを運営することにしました。取り扱い商品は「還暦のお祝いの品」というニッチな分野でしたが、ここで1億円の売上を達成したことが現在の会社を形作る転機となりました。

自社で物販サイトを運営したことで、改めて「売れる」Webサイトの重要性に気づきました。そこで、必ず「マネタイズ設計」を行ってからサイト改善を行ったり、販促支援をすることに。都度解析・提案をし、地道な改善を続けることで、コンバージョン率の高いWebサイト制作・運営ができるようになりました。

また、今年からはマネタイズを軸としたサイト運営ができる「人材」を育成する事業も始めています。企業様にとって、Webサイトは作って終わりではなく、サイト運営ができる人材が社内に常駐していることが1番ですから、自分たちで回せるよう、支援していきたいと思っています。

ビジネスの種の見つけ方

谷脇 受託事業あるあるだと思うのですが、顧客のことを客観的に見られるからこそ、各々で抱えている問題を見つけられることって多い。だから幅広いクライアントワークをする中で「これとこれを組み合わせたら面白そう」というひらめきが、ビジネスの種になることが多いですね。解決できたらそれを基盤にビジネスを拡張していく。こうしたやり方で新規事業を生み出していきました。

米田 僕は「もっとこうしたらいいのに」という怒りや、「やってみたら面白そう」「この人と何かしてみたい」という感情がトリガーになることが多いです。その時点で自分たちができるかできないかはあまり関係がなく、走りながら考えていきます。やり方も「ビジネスになる社会課題と解決方法を見つける」というより「社会課題を解決するための手法がビジネスになるように設計する」。
SDGsに関していえば、既に始めている組織があったのですが、はっきり言って全然マネタイズできていなかった。でも、善意や理念だけだと長続きしないですよね。だから、後発の自分たちはコンサルティングを組み合わせることで、ビジネスとして成立させるようにしました。

谷脇 後発のメリットは、先発の弱点を見極めてスピーディーにビジネスを進めていける点ですよね。ですから「既に誰かがやっていること」であっても、大きな意義があると思います。

育成ステップとイグジット

谷脇 新規ビジネスの元となるサイト制作はもう、社員には申し訳ないくらい手掛けてきて、多くのものが消えていきました。ひとまずやりたいと思ったことは0→1にしてみて、思惑通り釣れたら、そこから広げるようにしています。初期投資が小さいWeb関連事業だからこその強みです。
還暦のお祝い品を扱う自社ネットショップは、最初の3ヶ月は売れなかったのですが徐々に売れるようになり、1番多い時は1日15万アクセスがあったほどです。ただ、ある時期から検索アルゴリズムが変わったことで、上位に表示されなくなり、1/3の売上に激減。苦渋の決断だったのですが、今主軸で行っているライブコマースや人材育成事業に繋げるために売却をしました。

ライブコマース

米田 僕も多くの失敗をしてきました。それこそ、コーヒー関連商品を扱う自社ネットショップとか。ただ、ライバルも多かったし、運営するために必要なリソースと利益のバランスがあまりに悪かったため、閉鎖しました。担当者は落ち込んでいましたが、経営判断としては仕方なかったと思います。

「チャンバラ合戦」はNPO法人を設立後、地方自治体と提携しながら徐々に活動領域を広げていきました。当初から社内のエンゲージメント(愛社精神)を高める遊びとして「B to B」の事業にすることを意識していたのですが、最初に地方自治体と提携したことで、企業としての信用を得ることができ、スムーズに移行できたと思っています。『株式会社IKUSA』は黒字転換するまでは3年を要しましたが、事業の将来性を信じ抜けるかがどうかは、ビジネスを育てる過程の大事なポイントだと思います。その後『株式会社Drop』設立のため、起業10年のタイミングで事業譲渡し、今に至ります。

企業は事業を続けることが大前提で、多くの人はエグジットは頭にないと思います。もし、次の何かにお金を使いたいとなったらIPOや事業売却などエグジットの方法は色々あると思うので、過程はどうあれ経営者として「何をやりたいか」を考え続けていくことが大事なのではないでしょうか。

まとめ

受託事業で培ってきた自社の経験や強みを活かし、さまざまな角度から新規事業に取り組んできた米田さんと谷脇さん。失敗をしても柔軟に次の一手を考え、事業の将来性を信じて行動し続けることが、成功の鍵なのかもしれませんね。

次回のテーマは『イントレプレナーの実践と苦悩…!社内ベンチャーについて話そう』です。お楽しみに!

登壇者紹介

株式会社Drop 米田真介氏

株式会社ヘノブファクトリー、ウェブノ株式会社 谷脇しのぶ氏

動画はこちら

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