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母性でないとしたらそれは何か

息子がもうすぐハーフバースデーを迎えようとしている。にも関わらず、自分の父親としての精神性に対しての引け目は未だ持ち続けたままだ。

趣味人間だった自分の脳内は育児・家事・仕事に埋め尽くされる事なく、隙間にまだ子供が居ない時代の自転車やレコードやコーヒー、キャンプなどなどのアレコレが住み着いている。酒についてはだいぶ抜けた気がする。

育児休暇に入った時、いや妻が身籠った時から父親の精神性を磨くべく脳内の趣味ゾーンの領域を何度もスワイプするも、それはこびりついたガムの如く残り続けている。
もっと自転車に乗る時間を確保したい。

しかし、そのスワイプの努力もあってか表向き育児を頑張っているように見えるようで「良い父親だね」との声を有難いことに頂く事もある。(建前で言ってもらえている事が殆どだと思うけど)
しかし、口には入るものの飲み込めない自分が確かにある。

自分が目指したい父親像…それは「りゅうちぇる」だ。今、求められている令和の時代の新しい男性像・父親像は彼だと勝手に思い込んでいる。彼の奇抜な外見を受け入れられない人間は今となっては多様性の受け入れる姿勢を欠いているとか、価値観がアップデートされていないととられるケースが肌間では少なくないと感じる。彼の外見を見ると令和の精神性か試されている気がする。

自分の意見をしっかり持って権力に屈しない姿勢はかつての権威主義からの脱却をせんとする力強さを感じる。調べてみたら彼は今、26歳…歳下じゃん…
ちなみに私は権力に屈する小物だ。
とか言っちゃったりしてフォローを頂かんとする大小物だ。
最早、デカいのか小さいのか訳がわからん。

話は逸れたが、ここで特筆したいのは彼の父親としての精神性だ。彼は仮に奥様(この呼び方は良くないんだっけ?)が不慮の事故で亡くなってしまっても息子さんを依然変わらぬ成長曲線育つよう、家事・育児を回していくことが出来るだろう。

と、彼が新米パパにアドバイスしている文言を読むとそう感じる。
とある別の人のツイートで

男性の「育児してる」にも種類があって「抱っこや遊びなど可愛がる」や「必要最低限の世話のうちいくつか1人でできる」「必要最低限は全部できる」「頼まれたことなら全部できる」「ルーティンなら全部いける」「ルーティンを作ることができる」「いつもと違うがわかる」「未来に備えられる」とかある

という呟きを目にして、襟を正すどころか襟を千切る気持ちになった。ツイート主の呟きの意図としては育児・家事をどこまでできて欲しいか?は家庭によって違うので、全て2人で担う必要はないし、臨機応変でいいと思うと述べているのだが、

1人目(かどうかはわからないが)、『全部出来るのが「普通」』とか『妻が急死しても運用できるを「基準」に考えてたら大抵頭おかしいと言われる』(その後、おかしくないです!の返信が多数出てくる)
そんな雰囲気では、そこまで育児・家事出来てない人の肩身を狭くさせるというか潰してる感じがあった。

まあ、悪いのは育児・家事をしない夫側なのだが。
ただ、圧倒的な正しさで詰めれば詰めるほど人は動きたくなくなるものだとも思う。

正直に白状すると自分も今、妻に死なれては当然、育児・家事は回せない。「ルーティンの概ね出来る。(完母で母乳が出ないから授乳は出来ない。料理はマジ下手くそでレパートリーは間違いなく20は無い。離乳食作りは妻に教えてもらって練習中。冷蔵庫の状況で即座に作れない。未来を見越した買い物も出来ない。)」というレベルだろう。

状態の急変はとりあえず経験がないから、「いつもと違うがわかる」は自信がない。予防接種打った日の様子がなんとなく違うのはわかるくらいだろうか。

一方、妻は殆ど出来ないことはないだろう。強いて言うなら車の運転に消極的な事くらいだろうか。
すげーな、妻。
しかも、妻曰く「友達遊びに誘われたら行きたいし、これまでも行ってきたけど、今まで一人でやっていた習い事や趣味などは、子供を置いてまでやりたい欲が湧いてこない」とのこと。
なんだこの差は。

私は週に2回は仕事しているし、月に何度かは深夜〜早朝に自転車に乗らせてもらっている。それなのにもっと乗る頻度を増やしたい。一方で、妻が友達と遊びに行ったのは2回だけ。あと美容院に1回か。明らかに子供を一人で見ている時間がフェアじゃない。しかも育児・家事能力に圧倒的に差がある。

そんな妻に、その引け目を感じ、この意識の差はどこから来るのか、聞いてみた所、「うーん、母性かな〜?乳児の育児を私の方が楽しめてるんだと思うよ。これから父性が大切になって子育てがもっと楽しくなるかもね。」と回答が返ってきた。

「子供より自分を優先するのは親になりきれてないからなんじゃない?」って言われなくてよかった。
だいたい、新米パパのレベルの低い俺みたいな葛藤は、序盤の序盤で大昔に女性が通った道の後追いとしてTwitterなどでクソミソに捻り潰されるのがオチなのだが、決してそれを否定する事なく、予想外の回答をしてきた。

母性か…調べてみるとこれが深い…!学者によって定義が違う。とりあえずWHOの定義では
「現に子どもを産み育てるものの他に、将来子どもを産み育てるべき存在およびその役目を果たしたもの」との事。

何言ってるか分からん。

で、男性にも母性は元から備わっており、女性にも父性は備わっているんだとか。

という事は、自分にも母性があるということ。母性がないから自転車に乗れない時間が短くなる事に耐えられないは言い訳にならなそうだ。

しかも男は外で仕事・女は家庭を守る。みたいな価値観は最近では最早、ほぼ崩れたという事は周知の事実で、女は家庭を守るニュアンスが入る母性の定義は過去の日本のイデオロギーだとして取り除くと母性の正体がなんなのかより掴めない。

母性でないとしたらそれは何か。
「我慢してまで子供を常に優先する親としての精神性」か?
我慢してると思う時点で親じゃないのか?いや、そんな人いっぱいいるだろ。自分は急には変われない。変われてない。
そもそも子供を常に最優先とする事が果たして全部正しい事なのか?それは恩着せがましくなってないか?

妻は今の育児・家事を日々こなす生活がそんなに無理をして送っている感覚がないとの事。としたらその精神性に至るまでの早さが妻と俺の差か?
じゃあ、その早さの違いは何が要因か?

そんな事を、更に後日、妻に話してみた。
すると、「その要因がなんであれ、貴方が無理せず精神的に健康で、育児・家事をやってくれたら1番パフォーマンス性が高い訳で、いくら趣味を楽しんでくれても家事・育児に余程影響でなければ、お互いの気持ちのフェア度合いとか考える必要なんて考えるのは精神衛生上、非効率でしょ。そういえば最近、自転車全然乗ってないけど我慢してたの?もっと乗ってくれば良いのに笑」との事。

更に「Twitterを世間の声として拾い過ぎて、行動に制限をかけて精神に無駄な負荷をかけるくらいならTwitterなんて見ない方がいい」「海外の家族みたいに自分を満足にさせる事を疎かにしないスタイルの方が貴方に合ってるよ」と

海外の人達がそういうスタイルなのかどうかはとりあえず置いておいて、妻に不必要な忖度は辞めて少しずつ深夜〜早朝ライドの頻度を上げていきつつ、育児・家事のパフォーマンスがどこまでなら影響が大きく変化しないか自分のモラル・精神・身体とも相談しながら決めていくことにした。

結果的に、我が家は自分の自転車に乗る時間(趣味の時間)を増やせる展開に至ったが、それでもやはり忘れてはいけないのは週に2回働いているとはいえ、育児休暇を取れていることがとにかく大きいことだ。

妻と毎日沢山会話が出来る。育児・家事のバランスやフィードフォワード/バックを得る・与える事が出来るし、ちょっとした出来事や気持ちを共有出来る。冷静な会話の場がある。希望をぶつけ合うのではなく聞き出し合う事ができている。

女性ホルモンのバランスの崩れなのか、妻の気持ちが急変する事はあるが、「その際の発言は全て検討違い・間違いとして受け取って良い」と言われてから気が楽になった。本人もこの扱いに四苦八苦しており最近では1番の敵だとの事。彼女も彼女で戦っている。

2021年時点の男性の育児休暇の取得率は12.65%だか、全企業の何%が男性の育児休暇を手放しで許可してるのかはわからないが、多くはないだろう。本音のところは1番の働き盛りの人材を一時的に手放すして残りの人材でやりくりは至難の業だろう。

言葉の表現が難しいが、仮に育児休暇を実現させている企業が少ない中で、実現させたから感謝するのではなく、残りの人材でやりくりする至難の業を遂げてくれた事に感謝している。

今後、育児休暇が解除されてからまた生活が変わる。我が家の真価がまたそこで問われる訳で、その時までに自分ももっと親になってなければならないんだろう。更には、父性ではない「何か」が発揮される事が期待されているのかな?俺のうちなる「何か」、発動してくれよぉぉぉおおお?

育児・家事は、子供の命を預かる責任がある。残念ながら綺麗事では済まされない面があるのは現実だろう。

情報がすぐ手に入る時代で育児・家事に四苦八苦している先人方や、金銭面の不安や自らの精神的な成長の不安、この先の未来などに不安などなど無数の不安がある人が敬遠した結果、少子化が進む理由も「さもありなん」と言われたらそうなのだろう。

ただ、責任という重圧を負ってでもしたい素敵な事。に「育児・家事」が格上げされて欲しい。が、そう曰う自分自身はまだその本懐みたいなものに辿り着いては居ないようだ。一つ明らかな事は、優秀な妻に我が家は支えられ、育児休暇もとれている恵まれた温室育ち新米パパであるという事だろう。

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