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【熊蟄穴】くまあなにこもる『コウモリの恩返し』大雪/次候🍀


我が家の3人の息子たち、今ではもうすっかり40才前後のオジサンである。
どこのご家庭でもそうだろうけど、みんなそれぞれ個性的、見事にバラバラ。


長男はめちゃ動物好き、小学生の頃ふれあい体験が出来る動物園に行った時のことである。
「アレ、お兄ちゃんは?」
辺りを見渡すと、ヤギの群れに埋もれるようにして、ヤギたちにヨシヨシ♡なでなで♡をやっていた。
もちろん満面の笑みで。


同じ動物園で次男のひざに可愛いウサちゃんを乗せてあげたら、固まって動けなくなった。
「早く、どけて」
とほっぺに書いてあった。


二人は年子で、双子みたいに同時進行で子育てしてきたし、小さい時に次男が動物嫌いになるような事件があったワケでもない。
なのに、動物大好きな長男と苦手な次男。


次男と4歳離れて我が家に生まれてきた三男坊のK君。
1番ヤンチャで負けず嫌いに育つのは、そりゃあ仕方がない。
兄たちが自転車で遊びに行く時、自分も一緒に行くと言い張り、三輪車で必死に追いかけて行く後ろ姿が今でも懐かしく目に浮かぶ。


そんなK君、小学4年生の時に、あるものを拾ってきた。
「お母さん、助けてあげて!死にそうなんや」
そっと開いた彼の手の中に、何か黒い物がうごめいている。
「ゲッ!コウモリ?」
「うん、コウモリの赤ちゃん、道路に落ちとった」
申し訳ないが、う~ん…拾って来ないでぇ~と思った。
「ねぇ、助けてあげて!」


私だけが子育てしていたら、きっと、こんな風には育たない。
バァちゃん(義母)がいたから、生き物にちゃんと愛を注ぐことが出来るに子供に育った。
いつだったか、三男坊が「可愛いねぇ」とバァちゃんと話していた。
「なに、なに?何がカワイイの」と覗き込んだ。
「ギャー!」
騒いでいる私に
「なんや、こんな可愛いのに、なぁ」
と、手のひらのヤモリをなでるバァちゃん。
「可愛いのにねぇ」
と、顔を近づける三男坊。
長男は長男で、ワッペンみたいに胸のあたりにヤモリ?かイモリ?か知らないが、くっつけたまま本を読んでいた。
またまたギャー!と一人騒ぐ私。
あの頃の田舎の家では、ヤモリだって出入りは自由だ。
隙間だらけだし、どこの家も鍵なんてかかっていなかった。
コウモリだって、夕方になるとあっちこっちで飛んでいた。


まぁ、とりあえず、コウモリの赤ちゃんは小さな箱に入れ、ミルクをやってみることにした。
しばらくすると、小さなお皿から上手に飲んでくれるようになった。
動きも出てきて日に日に元気になってきたコウモリ君。
毎日、近くで顔を見ていると意外と可愛いと思えるようになったある日、朝起きたら、コウモリ君がいない。
「どこ行ったんやろ」
と、寂しそうな三男坊K君。
「とりあえず学校行っておいで」
ヤモリは出入り自由だが、窓も全て閉まっているんだから、さすがにコウモリは出られないだろうとアチコチ探してみたけど、見つからない。


学校から帰ってきたK君と二人中庭に面した窓を開けて夕焼け空を眺めて話していた。
「コウモリ君、きっとお母さんの家に帰ったんだよ」
「うん」
寂しそうに空を見上げるK君の頭の上を、何かがスーッと飛び去った。
「アッ!」
「コウモリ君、K君が帰ってくるまで待っとったんやねぇ。サヨナラ言うとったなぁ」


コウモリの恩返しなんてないだろうが、こんな経験はきっと私ひとりの子育てでは、あり得なかったと思う。
ここに嫁いできたことも、バァちゃんに子育てのいろはを習ったことも、今の私や子供たちや孫たちに繋がっている。


還暦を過ぎると、蘇る思い出も増えてくる。
そんなこんなを書き留めておけるnoteに出会えたこと、noteを教えてくれた友人たちにも感謝している。
今朝、うれしいお知らせが届いた。

朝イチうれしいお知らせ💞



アレ?
コレが、もしかしたら「コウモリの恩返し?」


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