臨床心理士と公認心理師の関係

この機会に臨床心理士と公認心理師の関係について考えをまとめてみた。
「臨床心理士は自らの専門性と独自性をもって、被支援者の個別性に注目した心理支援を行う」「公認心理師は国家資格であるという性質上、国の方針に沿った形で、広く公平に国民の心の健康に寄与する」大きな違いは「個別性VS公平性」とも言えるだろう。
これは放送大学『公認心理師の職責』を履修し、大学院の授業内容などから整理した自分の捉え方で、現在も概ね変わっていない。
それゆえ公認心理師資格を取得しただけで個別性の高い「心理カウンセリング」が行えるという考えには賛同しないし、そういった主張を見ると正直モヤモヤすることもある。
一方で、自分の周りには「受験をきっかけに、寧ろカウンセリングの奥深さや難しさを自覚した」とこれまでの関わり方を振り返り、患者さんへの接し方の質の向上を求めて(現職の質を上げる為)学びを進める医療従事者等のいわゆる多職種Gルートの方もいて頭が下がる思いになる。

そして、臨床心理士の資格に対してはある程度の高い信用は置きつつも、自分がカウンセリングを受けるとなると資格さえあれば安心とも言いきれない。その場合は、相性や人柄を含めた臨床スタンスをもとに共に取り組んでいけるか吟味したいので、そういった情報が得られない場合(実践経験なども含み)躊躇してしまう。こちらの個別性を扱っていただくので相手の個別性も重視する。

「この二つのアプローチは優劣があるわけではなく、相反するわけでもなく、個人内で、個人間で補い合うことで心理職全体のサービス向上につながる」と話されたある先生の言葉も印象に残っている。
ただアプローチが異なるとはいえ、公認心理師が個別性を全く無視して良いとは思わないし、実際の現場ではこの二つは重なり合うことも多く完全に棲み分けができるものでもないと思う。
また専門職の存在が潤沢ではない地域もあり、そうした地域に住む方が臨床心理士の対面カウンセリングを希望した時、決して安くはないカウンセリング料と別に更に高額な交通費を支払い、丸一日かけて通うことになるか、あるいはあまり信頼性が高いと思えない「お悩み相談」に頼ることになるかもしれない。こうした状況が「心の健康」につながるとは到底思えない。
そんな現状を踏まえて、地域や各施設に配属された公認心理師が正しい心理学の知識を得て、心理師としての自覚と責任を携えて其々の分野における職責を尽くせるように臨床心理士を始めその他の専門職と共に協働していくことが求められるのではないかと考えるようになった。もちろんその土俵に上がる気持ちのある方を対象として。

色々な思いに駆られながらも現在では、二つの立場が同一ではないものの、相補的に機能し合って全体性を上げていくような関係で繋がっていくことが望ましいのではないかという考えになりつつある。

今時点の自分の考えを独り言のようにまとめてみました。お読みいただき有難うございます。

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