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大手だからこそ造れるもの

IMADEYAでは、多くの飲食店様にお酒を卸しています。
その中でも、ここ数年時にお引き合いいただくのがナチュラルワイン。
ナチュラルワインの造り手は、少人数で、自分たちの手の届く範囲で葡萄を栽培したりワインを醸造したりしているところが多く、ダイレクトにそのこだわりを楽しむことができます。ただ、その分どうしても数が少なく、沢山の方にお勧めできないのが難しいところ。
美味しくて、ある程度生産量が多く、そしてできるだけナチュラルなアプローチで造られたワインがあればいいなと思っていた時に見つけたのが今回ご紹介するワインです。

「コストパフォーマンス」という言葉は古いかもしれないけれど…

今回ご紹介するワインの造り手「ジャン・モーリス・ラフォー」は、1693年設立、14世代に亘りフランスはロワール地方の「シノン」という町でワインを造り続けてきた長い伝統ある蔵元。
「コストパフォーマンス」という言葉は、今ではもうあまり使われないかもしれませんが、品質に対して安過ぎるのではないか、というほどのコストパフォーマンスの高さが魅力の造り手です。

現当主ロドルフ氏の父、ジャン・モーリス氏は、1973年にわずか4.5haのブドウ畑を父親から受け継ぎました。その後、地道に地域内の優良区画を購入し続け、現在では、トータル50haもの広さの畑を所有しています。

ジャン・モーリス氏は、シノン全体の隆盛にとって重要な人物で、シノンの中での土壌のに基づいた区画ごとのワインの醸造を行った最初のワインメーカーでした。
区画名を冠して、区画ごとにワインをリリースするというのをシノンでは初めて行ったそうで、同地区の他の優良生産者に大きな影響を与えています。

現在同社の赤ワインに使われている「カベルネ・フラン」という葡萄品種は平均樹齢35年、うち10haは更に古く、樹齢50年を超えるとのこと。
熟成には10年程の古樽を主に使用し、石灰岩の崖に切り込まれたかのような、低温・高湿度という理想的な条件の揃った巨大な洞窟の中で熟成させています。

ワインを熟成させている洞窟

エレガントで正統派の味わいですが、発酵のタンク内で生成されるCO2を活かして、醸造中のSO2はほとんどないし全く使用していません。

ジャン・モーリス・ラフォーのワインは、白も赤も、品種とその畑の特徴を素直に表した、価格に対して驚くほど高いコストパフォーマンスのあるワイン。

特に赤は、健全に熟したことが感じられる明るい果実味とカベルネ・フランらしいグリーンな香りのバランスが素晴らしく、本当にこの価格でいいのか心配になるほどです。

ある程度の本数を造っているからこそ実現できる価格と品質で、安定して入荷しますので、ぜひ沢山の方に召し上がっていただきたいワインです。


シノンでは全生産量のわずか2%しかないシノン・ブラン。
サヴニエールやヴーヴレとは異なる繊細な味わいで、柑橘にほのかな蜂蜜、洋梨などの果物を感じる上品な香りが特徴。

ラフォーのスタンダードキュヴェ。まだ若い複数の畑のカベルネ・フランを使用しています。
3週間ほどの果皮浸漬を経て4~6ヶ月澱と共に熟成させるという、丁寧に抽出された果実味が魅力。プラムのような果実感になめらかな質感とエレガントな酸があり、軽やかで飲み疲れない赤ワイン。

砂利主体の土壌で、古くからそれが区画名の由来になっています。
とても水はけが良く、土壌の保温性も高い温暖な区画で、収穫が最も早く、熟度も高いのが特徴。
香り高く抜けが良いですが、テクスチャーはきめ細かく緻密で、この価格帯では信じられないほど余韻が長く繊細です。

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