見出し画像

会社にわがままを言って叶えてくれた話

付き合っている人が夢を叶えて次の春から京都へ行くことになった。

故郷の京都を離れて慣れない都会で慣れない仕事をはじめて、5年間、多忙の生活を耐え忍びつつ、自身を成長させ、その果てに叶えた夢だ。

夢の話はちょうど一年前に聞かされた。

これからずっと働きたかった会社の試験に挑戦する。もしも成功したら、離れたくないけど、あなたと離れ離れになってしまう。

僕は彼女の夢を応援することにした。

これから先、自分たちがどうなるかは彼女の挑戦の結果が分かってから考えればいい。要するに考えることを先送りにした。

半年後、彼女は試験に受かり、翌年の春から横浜を離れて京都に帰ることになった。

僕は彼女について行くことにした。
結婚したい気持ちを伝えて、彼女はそれを泣いて笑って受け入れてくれた。
迷いみたいな気持ちが出るかと思ったけど、不思議にも、結果とそれが確定する未来を突き付けられたら、自分の心は正直に決断してくれた。

この決断を現実的にするためには、自分の仕事を関西でできる状態にしなければならなかった。

幸いにも僕が勤めている会社は関西にも拠点があった。ポストに空きがあり、自分の実力が条件に満たすのであれば異動できる可能性があった。

しかし、これは完全な私事(わたくしごと)だ。会社の求めに応じての異動でもなければ、自分のキャリアを成長させるための道でもない。

「結婚相手についていきたいので関西に異動させてくれませんか?」

そんな個人的わがままを会社に言ってもいいのだろうか。

すごく葛藤した。だけど、言うしかない。直属の上司に事情を伝え、人事・労務の方に取り次いでいただいた。

嫌な顔をひとつぐらいはされるかと覚悟していたが、皆さん個人的感情は抜きに前向きに考えて下さった。僕の希望や現在のスキルレベルを考慮して、数ヶ月もの検討の末、関西の部署に異動することを確約してくれた。

自分のわがままを受け入れてくださり、本当に感謝しかない。

異動するまでの間、今の部署での仕事を心残りなく全うしようと決めた。
異動したあとは周りの期待や想像を超えるくらい「コントリビュート(貢献)」するよう頑張ろう。

会社に事情を告げる前は申し訳ない気持ちが強くて、それは今でも少しあるが、希望を受け入れてくれて思うのは、"幸福"こそが仕事を達成したり生産性を高めるための最も大きな原動力ではないかということだ。

自分の心を殺して、辛い気持ちを我慢して、会社が求める人物像を演じて成果を出そうとしても限界が知れている。たとえそうやって成果を出せたとしても、果たして幸せなのか。僕らは幸せになるために成功を求める。成功して結果不幸になったら、それは成功とは言えないだろう。一方、そういう働き方が合っている人もいるかもしれなくて、我慢は当たり前だという考えもあるだろう。否定はしないが、それはそういうタイプの人にとってだけの話であって、我慢することが全ての人を幸せに導ける公式ではないのは、言わずもがなだろう。

今回のことを通じて、僕は我慢しなくていいんだと思った。
自分が幸せになるためならば会社や周りにわがままを言ってもいいのだ。
無論、そのわがままが聞き入れてもらえる保証はない。僕はたまたま恵まれていただけだ。だけど、一旦言ってみて、もしもわがままが受け入れられなければ、開き直って別の方法や行動を探ればいい。

だって僕らは仕事のために生きているのではなくて、幸せになるために仕事をしているのだ。自分が幸せになるための選択は巡り巡って誰かのためになると僕は信じている。

春から始まる新生活。不安も大きいけど、前向きに心を躍らせよう。

この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?