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「やわらかくて、優しくて、大切な、宝物のような場所」のはなし

パリとスペインに2年間ほど滞在していた間、現地で舞台芸術をこれでもかというほど見まくりました。

身体表現、ダンスはもちろん、知っている戯曲であればなんとかなるだろう、と古典演劇も、あるいは、フライヤーが好みからなんとかなるだろう、と新作演劇も。「言語がわからないから」で逃げずに見まくりました。

ちなみにわたし、英語レベルは中2、スペイン語レベルは虫、フランス語レベルはおまんじゅう。マジで、外国語の芝居を見ても、テキストの意味はほとんど受け取れません!!(なにを自慢げに)

だけどね、テキストがわからない分、他に見えてくるものはある。

それはやっぱり、身体のことです。
身体が動いていると、どういう交流が起きているのか伝わる。
どういう交流が起きているのか伝わると、テキストがなくても泣いたり笑ったりできちゃう。

(逆に、テキストの意味は分かるけれど、交流が伝わらないお芝居も、たくさんありますね。)

観客と繋がるのって、つくづく身体なんだなと思います。


でね。
じゃあ「身体が動いてる」ってなに?
っていうところ。
実は自分の中でもあんまりうまく言語化出来てなかったんです。



先日、とある舞台の作品を見てきました。

面白いんだけど、なにかが物足りない・・・それは一体なんだろう?と考えていて、あっ!身体が動いているかどうかってこれかも!と。

その作品では、
物語は進んでいくし、
状況は変化するし、
変化した状況に対して登場人物の言動は変化するし、
最終的に登場人物の置かれる状況は変化する。
なので、まるで何かが変化しているような印象を受けるのですが、
実は何も変化していなかったんじゃないか?
俳優の身体が、動いていなかったんじゃないか?

って思ったんです。

そのときに、「俳優には身体の中のこのあたりをもっと動かしてほしい!」という感覚がありました。

それは、

目に見える外側が第一層、
その内側の、人間が自覚してコントロールしている部分が第二層、
そのさらに内側の、通常は自覚して動かさないような部分が第三層、
だとして、

第三層あたりを動かして!そこが見たいのー!

って思ったんです!!!(解剖学的な話ではなく、イメージです)

身体が動いているかどうかってこれだ!
第三層あたりが動いているのを、感じたいんだ!

これに気付いたとき、密かに自分に拍手。
だって、第三層があるということ、そしてそこは技術によって、動かしたり、動いていることを他人に見せることができるということを、知らなければ絶対に気付けなかったことだから。こつこつ向き合ってきてよかったね◎

そしてこの第三層に、
「やわらかくて、優しくて、大切な、宝物のような場所」
と名前を付けてみました◎

深い交流のことを「やわらかいところを使う」って表現する演劇仲間は何人か周りにいて、今までもその言葉って使ってきていたんだけど、
最近は自分の身体を観察することを日々少しずつ続けていたこともあり、
身体の感覚的に、ああそれってこの辺りのことで、私にとってこういう部分なんだな、と実感&腑に落ちて、しっっっくり。

もちろん俳優だけでなく、人間は誰だって、この「やわらかくて、優しくて、大切な、宝物のような場所」を持ってる。ここを通わせあう時間や体験を、私は創っていきたいんだなあと改めて思ったり。

イマーシブシアタークリエーションチーム「ムケイチョウコク」でも、観客が俳優と直に交流しながら物語の登場人物になる、というスタイルを使って、そんな時間や体験をデザインしてます◎
体験型好きな方はTwitter要チェック↓


「やわらかくて、優しくて、大切な、宝物のような場所」がいつでも、広くて、いきいきとして、いろんな冒険に出られる状態にありたいですね!

まずはそれがある、と知るところから。




私自身も、よりクリエーションの中でこの部分を使っていけるよう、いろいろエクササイズを考え中です✨

こちらのLABOでもじっくり扱いたいと思ってますので、2023年のスタートに是非遊びに来てください◎



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