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松谷みよ子さんの名作「ちいさいモモちゃん」で大爆笑する娘。なにがそんなに面白いのか…

先日、ふらりと立ち寄った小さな古本屋さんで懐かしい本を見つけました。松谷みよ子さんの「ちいさいモモちゃん」です。

懐かしい、と書きましたが、恥ずかしながら一度も読んだことがありません。実は子供のころから私の部屋の本棚に並んでいたので、いつもタイトルを見ていたのです。しかし、なぜか読まなかった…。

子供のころの私の部屋には、おさがりでいただいた名作がたくさん並んでいました。しかし当時は、それを手に取って開くという発想がなく…。少しでも読んでいれば、もっと世界は広がっていたかもしれない。その後悔を後世に生かそうと、子供にはできるだけ読み聞かせをして、本は眺めるのではなく読むもの、と認識させるようにしています。

話がそれましたが、そうして衝動買いした「ちいさいモモちゃん」。持って帰って読み始めると、すかさず5歳の娘が寄ってきて「なにその本!見せて見せて!」と持って行ってしまいました…。むしろ、私の〝本は読むもの〟という教育がうまくいっているということでしょうか…。

うちにあったのはハードカバーの本でしたが、青い鳥文庫もかわいい表紙です。
こういうタッチのイラスト、好きだなあ…
いまはアニメタッチの絵が多いのです。それも悪くないのだけど

そのまま、食い入るように読み続ける娘。私は読むのを諦めて、娘にそのまま渡しました。トホホ…。

モモちゃんのことをすっかり忘れたある夜、娘がモモちゃんを片手に「今夜のご本はこれがいい」というのです。ああやっと私も読める…と思いながら読み進めると、なるほどこれは面白い。軽快で、モモちゃんが生き生きしていて、モモちゃんを取り巻くママも猫もすごく魅力的に書かれています。全体的には、楽しく心躍るようなお話なのですが、ところどころ母心にホロリとさせられるシーンもあって、涙も止まらない(出産後、とにかく児童文学を読むと涙が止まらないんですよ…)。

が、驚いたのは娘の反応です。10ページに一回ぐらい、大笑いしているのです。確かに面白いお話ですが、爆笑するほどか?…と母は不思議で仕方がないのですが、いきなりヘビが出てくるとか、モモちゃんの「いやよいやよいやよ」という言葉とか、とにかく全部面白いんだそうで…。

その答えは、巻末の寺村輝夫さんの解説にありました。(寺村さんはこまったさん、わかったさん、ぼくは王様などで知られる大作家さんですが、娘は寺村さんの大ファンなので、巻末に「寺村輝夫」の名前を見つけてまた大喜びでした)。興味のある方は、ぜひ読んでみてください。ちなみに寺村さんによれば、ちいさいモモちゃんは幼児から高齢者まで幅広いファンのいる本で、中でも熱心な読者は小学4、5年生ぐらいだそうです。赤ちゃんとママを題材にした本なのに意外ですよね。ちょうど思春期に差し掛かる前というのが、興味深い。

そしてその夜、布団の中で娘に、「ママ、モモちゃんのお話はほかにもあってね、アカネちゃんという子が出てくるのもあるからね。探してきてね」と言われてしまいました。やれやれ。

娘はカバー裏のここを見た模様

そういわれながらも、娘と一緒に同じ本を楽しむ年齢になりつつあることが、嬉しくてたまらなくもありました。幸せな夜でした。




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