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誰も知らなかった音楽が、数百万人の耳に届く未来。ドキドキを共有する音楽プロジェクト

 新人アーティストの発掘・発信・育成を行うプロジェクトIMALAB。音楽業界以外のメンバーが集っているにもかかわらず、早耳のプレイリスト「IMALAB NEWCOMER PLAYLIST」は各方面から好評だ。さらにライブ、コンテンツでの発信など新人アーティストが世の中に見つかるきっかけを生み出している。


何もしなければドキドキは生みだせない

 まだ世の中に知れ渡っていないアーティストを見つけ出し、多くの人に知ってもらう。言葉にすれば簡単だが、楽曲一つひとつを聴きアーティストの可能性を探っていく地道な作業の連続だ。その原動力には今村氏の体験が元になっているという。

今村:IMALABの『何年も何十年も一緒にドキドキできる音楽』というテーマの裏側には、僕自身のドキドキの源となる体験があります。

音楽一つで、それを何百万人、何千万人が見たり聴いたりするようになる可能性を考えるだけで心が躍るんです。新人アーティストを見つけて携わることでその可能性を生み出すことができる。逆に何もしなければ、何にも起こらずにゼロなんです。その振れ幅が面白いところかもしれません。

レコーディングが終わって家に帰るのって大体朝方になるのですが、車でその音源を聴きながら帰るんですけど、その時点ではメンバーとマネージャーと僕たち、10人くらいしか知り得ないその音楽が、数ヵ月後には何百万人、何千万人の元に届いている可能性があるんだと想像するとドキドキは最高潮ですよね。

たくさんの人が携わったプロジェクトとも言える音源が多くの人に届く。その体験をIMALABでもつくりたいと思っています。誰も知らなかったアーティストをIMALABの誰かが発掘して、それをみんなで発信して、数ヵ月後にすごい数の人たちが知っていてというドキドキする体験を!


新人アーティストの発掘・発信・育成がオープンになっている

今村:IMALABでは、どんな風にアーティストが見つけられて、育成されリリースされていくのか、その過程のすべてをオープンにしています。それは、僕がこれまでに培ったものを上から目線で教えたいというのではなく、みんなで一緒にアーティストに関わりたいという思いがあって行っています。IMALABスタッフには学生もいるので、音楽業界に興味があるなら『こんな風になっていくんだ』というのが見られると思います。

2020年から始まったプロジェクトは、最初は整備されていない状態だったんですが、2021年、2022年と続けてきて足場が固まって、じゃあこれからこの土台に何かをつくろうかというハードだけどめちゃくちゃ大事なシーズンを迎えているところです。おそらくみんなが一番ワクワクできる局面かもしれません。

僕のように長く音楽業界にいると、考えをアップデートする機会がなかなか得づらかったりするのですが、全く違うジャンルの人たちが集まったIMALABが『今の時代はこうだよね~』と触れていくことで、もしかするととんでもないものが生まれる可能性があって、その化学反応にすごく期待しています。


素人でいい。音楽業界に関わるきっかけとしてのIMALAB

 現在、20人のスタッフが活動しているIMALAB。今後、新たな局面を迎えるにあたり、新たなメンバーを募集する考えもあるようだ。IMALABは音楽業界以外の人が「音楽が好き」という気持ちだけでつながっているチームだが、ほかに求められる条件などはあるのだろうか。

今村:基本的には音楽業界にいる必要は全くありません。ただ『アーティストのこんな部分に関わってみたい』という想像があったらいいなと思います。たとえばレコーディングを見てみたいとか、どういう話をして制作が進んでいくのかを知りたいとか、私のほうがビジュアルをうまくつくれるとかでも良いですし。

主観的で全然いいので、音楽に対して日和らず意見が出せるといいですね。それが新しい何かが生まれるきっかけになるかもしれない。もしくは新しい視点を入れるということで言うと、アーティストには関わらないけれど曲をたくさん知っています、ライティングが得意です、なんかでもいいんです。手を上げれば何でもできる雰囲気のプロジェクトなので、何かやりたいことがあるとIMALABとしては嬉しいなと思います。

立ち上がりが偶発的なプロジェクトだったので、スタッフはみんな無償で動いています。この点はこれからの課題だなと思っていて、自分の仕事がありながらもプロジェクトに参加するということはそこに労力を投じるということなんですよね。対価が発生して、その投資がアーティストを本当の意味で大きくさせて、その景色を一緒に見られるというのが理想です。IMALABの特殊性からも、その対価が音楽とつながるとおもしろいかもしれないなんてことも考えています。

IMALABに興味がある人は、音楽業界と関わる入り口として、他に仕事をしていても学生でもOKです。素人で全然いいので、フラットに音楽と向き合って、新しいものを一緒にどんどんつくりだしていきましょう。



今村 圭介

音楽ディレクター(EMI / UM) + IMALAB主宰。ナンバーガール・プロジェクトのアシスタントを経て、これまでにフジファブリック、Base Ball Bear、相対性理論、9mm Parabellum Bullet、The SALOVERS、ザ・チャレンジ、10-FEET、南無阿部陀仏、WurtSを担当

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♫The Beatles「Let It Be」
♫Prince「Purple Rain」
♫Fugees「Killing Me Softly With His Song」

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取材・文 松村翠

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