見出し画像

競馬は人生に大切なことを教えてくれる「ナリタトップロード 1999年/菊花賞」~何かを変えたら「なんか!」ある~

今日は三冠の締めくくり「菊花賞」だ。

皐月賞馬、ダービー馬が揃って出走するのは23年ぶりらしい。2000年のエアシャカール(武豊)、アグネスフライト(河内洋)以来だ。

「両雄並び立たず」という言葉があるが「皐月賞馬・ダービー馬が菊花賞で1着・2着」という結果は、長い競馬史の中でも・・

1973年
1着 タケホープ(ダービー1着)
2着 ハイセイコー(皐月賞1着)

1998年
1着 セイウンスカイ(皐月賞1着)
2着:スペシャルウィーク(ダービー1着)

この2回だけ。「両雄」が顔を合わせたケースは16度あったがわずか2度。‥と考えると今年も、ソールオリエンス・タスティエーラ2頭で決まると考えるのは安直かもしれない。


余談までに‥ここ10年の成績を調べてみると、
「前走条件クラスを走っていた馬」が6頭3着以内に好走しているが、
「皐月賞馬・ダービー馬が顔を合わせた年」は例外。
グレード制が導入され、この菊花賞がGⅠとなった1986年以降、
3着以内の馬はすべて前走、重賞か最低でもオープンを走っている。

1987年:サクラスターオー(皐月賞馬)/メリーナイス(ダービー馬)
1着:⑨サクラスターオー(9人気)前走:皐月賞
2着:②ゴールドシチー(2人気)前走:京都新聞杯
3着:⑫ユーワジェームス(11人気)前走:京都新聞杯
9着:⑱メリーナイス (1人気)

1993年:ナリタタイシン(皐月賞馬)/ウイニングチケット(ダービー馬)
1着:⑦ビワハヤヒデ(1人気)神戸新聞杯
2着:⑮ステージチャンプ(9人気)京都新聞杯
3着:⑨ウイニングチケット(2人気)京都新聞杯
17着:⑱ナリタタイシン(3人気)

1998年:セイウンスカイ(皐月賞馬)/スペシャルウィーク(ダービー馬)
1着:④セイウンスカイ(2人気)京都大賞典
2着:⑰スペシャルウィーク(1人気)京都新聞杯
3着:⑮エモシオン(5人気)カシオペアS(OP)

1999年:テイエムオペラオー(皐月賞馬)/アドマイヤベガ(ダービー馬)
1着:①ナリタトップロード(3人気)京都新聞杯
2着:④テイエムオペラオー(4人気)京都新聞杯
3着:⑤ラスカルスズカ(5人気)神戸新聞杯
6着:⑭アドマイヤベガ(1人気)

2000年:エアシャカール(皐月賞馬)/アグネスフライト(ダービー馬)
1着:⑮エアシャカール(2人気)神戸新聞杯
2着:⑬トーホウシデン(3人気)セントライト記念
3着:①エリモブライアン(6人気)神戸新聞杯
5着:⑥アグネスフライト(1人気)

このデータを根拠にすると今、4番人気のドレッツァは苦戦するかもしれない。


ところで、皐月賞馬・ダービー馬を相手に、菊花賞を勝ち切った馬は2頭。ビワハヤヒデとナリタトップロードだけだ。この2頭は、どちらも皐月賞・ダービー ともに3着以内と馬券圏内を外していなかった。

ビワハヤヒデはその後、無双の5歳春(今の4歳)を迎えるわけだが、ナリタトップロードはこの菊花賞が唯一のGⅠ制覇。そういう意味では一番輝いた瞬間だったのかもしれない。

ナリタトップロード―。
美しい栗色の馬体、2着に終わったダービーでの渡辺薫騎手の涙など、心情的にも応援したいエピソードが重なりファンも多かった。僕も大好きだった。好きな理由は、ここから長々と1000字以上増えちゃうから割愛するが大好きだった。春のクラシックでは惜敗を重ねた。4コーナー、ほぼ同じ位置から進出するもテイエムオペラオーに切れ負けした皐月賞。アドマイヤベガにロックオンされた分だけ差された日本ダービー。ファンにとっても「今度こそ!」の思いが詰まり切った中で迎えた菊花賞、そのゴール板を先頭で駆け抜けた時は馬券の的中云々関係なく嬉しかった。そういったファンは少なくなかった筈で、スタンドから沸いた拍手に笑顔を感じた。

あの日の菊花賞、ナリタトップロードは戦法を変えてそれまでより前につけた。スタートは若干で負けしたのに1コーナーでは4番手。渡辺薫騎手は明確に前を取りに行く形を選択した。「攻めたなあ!」「行け!」と興奮したのを覚えている。前につけたぶんだけスタミナは使うが、トップロードのバテない強さを信じての勝負だ。それでも3000mの長丁場。道中、テイエムオペラオーの和田騎手、アドマイヤベガの武豊騎手だってトップロードが前に行ったことに気付きそれに応じたレース運びを見せるわけだが‥結果、この先行策が歓喜につながる。

最後の直線、自分の力で前を捕まえて先頭に立ったトップロード、今度は、自らが捕まえられないように粘る番だ。アドマイヤベガは、わりと外目を通ったのに前が詰まって一瞬行き場を失ったぶん、ダービーの時より時トップロード追撃が遅れる。一方スムーズに前が開いた王テイエムオペラオーは皐月賞と同様、鬼の猛追を見せた。だが今度の舞台は京都だ。トップロードも伸び続けクビ差しのいだままGⅠ制覇のゴールを駆け抜けた。

アドマイヤベガはこれがラストランになったので比較することはできないが、翌年以降のトップロードとオペラオーの成績を見比べると、後者の方が力は上だったと認めざるを得ない。それでも、この日勝ったのはナリタトップロードだ。渡辺薫騎手とトップロードが何かを変えたから1着を掴んだ。スターから明確な意思を持って何かを変えに行った結果だと思う。「何かを変えればなんかある!」ということを教えてくれたレースだ。

話題を冒頭に戻す。今年の菊花賞はソールオリエンス、タスティエーラが揃った。2頭以外に皐月賞・ダービー共に馬券圏内に来たビワハヤヒデやナリタトップロードのような馬はいない。ということは、他の馬が勝ちきるまでの結果を残すのはデータ的には難しそうだ。

ただ、両雄は並び立たない。
1画を崩すなら・・をファントムシーフに期待だ!
皐月賞3着、ダービー8着。クラシック3冠皆勤の最後に一発!!
何かを変えればなんかある!

ところで‥「菊花賞」は3歳世代にとっては最後の「限定戦」だ。
毎年、1周目の直線を見ながら「このメンバーでのレースもこれが最後か‥」と、2歳からの臨戦過程を思いひとつの区切りを見るようで感慨深くなって馬券の的中・不適中はさほど大事じゃなくなるのは、僕だけじゃなかったら嬉しい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?