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競馬は人生に大切なことを教えてくれる「アグネスデジタル 2001年/天皇賞(秋)」~空気なんか読まなくていい~

アグネスデジタル。間違いなく強い馬だった。
破壊的に強い馬だった。
戦績を見ると32戦で12勝。そのうち重賞はダートで6つ。芝で4つ。芝で勝利した重賞はすべてGⅠ。勝った距離も1200m、1600m、1800m、1900m、2000mとバラバラ。さらに勝利した競馬場も「東京・中山・阪神・京都、川崎。名古屋・船橋・盛岡、香港」と様々。そこに競馬場があれば行く、そして勝つというスタイルは「競馬界のオールラウンダー」といった印象だった。
 
でも、GⅠで完勝したかと思えばGⅢで3着以下に敗退してみたり‥。その強さを信じ切るには少し勇気が必要だったのも事実。
芝のGⅠ4勝
2000年・マイルチャンピオンシップ/13番人気
2001年・天皇賞(秋)/4番人気
2001年・香港カップ/2番人気
2003年・安田記念/4番人気
と、すべて1番人気じゃなかったことを見ても世の空気も同様だったんだと思う。
 
だから、2001年、あの年の「天皇賞(秋)」の4番人気に「アグネスデジタル」の名前があったのは正直意外だった。
 
この年の「天皇賞(秋)」へは、春に「NHKマイルカップ」を制覇し「ダービー」でも5着と健闘したクロフネが参戦を表明して注目を集めていた。ところが・・前走で「岩手のダートGⅠ」に出走していたアグネスデジタルが「天皇賞(秋)」も出走を名言。当時はまだ外国産馬の出走枠が制限されていた時代。2頭ともに外国産馬だったわけだが、獲得賞金順でアグネスデジタルが上回っていたためにクロフネの出走が叶わなくなった。これに対して競馬ファン中からは「アグネスデジタルのせいでクロフネが出れない」といった声が多く上がったのも事実だ。僕自身、アグネスデジタルよりもクロフネの方が「天皇賞(秋)」で勝負になると踏んでいたので「なんだかなあ。空気読もうよ」と思った記憶がある。
 
この日の1番人気はテイエムオペラオー。前年は「天皇賞(秋)~ジャパンカップ~有馬記念」の完全制覇を含む8戦8勝。この年の春も天皇賞(春)を制し、天皇賞「春秋制覇」と天皇賞(秋)「連覇」がかかった期待からオッズも2.1倍だ。普通に勝つと思っていた。もしも負かす相手がいるならそれは「宝塚記念」でついにオペラオーに先着したメイショウドトウだ、という空気が彼を2番人気に押していた。
 
ところが‥ふたを開けてみたら、1着したのはアグネスデジタルだ。破壊的な差し脚で府中の2000mを爆走。外に切れ込みながら1番人気のテイエムオペラオーを差し切った。テイエムオペラオーは、春の宝塚でメイショウドトウを捕まえ損ねたぶん、この日は早めに捕まえに出て早めに先頭に立った面もあると思うが勝ったのはアグネスデジタルだ。メイショウドトウの前に出てあとは押し切るだけ!天皇賞・春秋連覇達成!といった空気を一閃。離れた外で差し切った。

(22) 2001年 天皇賞(秋)(GⅠ) | アグネスデジタル | JRA公式 - YouTube

「勝つんかい!」だ。
ごちゃごちゃ言う人も少なくなかった空気を豪快な差し脚で黙らせた。強かった。
でもって次走も、香港行ってGⅠ勝った。強かった。
その次も勝った。今度はダートに戻ってGⅠ勝った。やっぱり強かった。
結果、長く活躍したこともありアグネス一門で最も多くの賞金を獲得しているのがアグネスデジタルだ。7億円を超えた。3歳、4歳、5歳、6歳でGⅠ勝った。強い。芝でもダートでもGⅠ勝った。強い。
あれから20年経った以上の時が流れたが、アグネスデジタルほど芝にダートに中央に地方に海外にと縦横無尽に勝つ馬は出ていない。そりゃそうだ。そんな路線を腸一線級のレベルで組む馬の方が珍しい。
 
 大きなレースで勝つ時は、いつも1番人気を倒しての1着。
「空気なんか読む暇あったら結果出せ」
と教えてくれるような強さだった。
 
さて、今年の「天皇賞(秋)」
 世の中の空気は、圧倒的に⑦イクイノックスだ。現在単勝1倍台の1番人気。もしも負かす相手がいるなら・・イクイノックスに府中で先着した経験のあるダービー馬・③ドウデュースといった空気だ。でも、空気なんか読む必要はないの精神で④ダノンベルーガにもチャンスある気がする。
現在、あの日のアグネスデジタルと同じ4番人気だ。
もっと空気読まないでいいなら⑪アドマイヤハダルだけど‥
馬番⑪は「天皇賞(秋)」がGⅠになった1986年以降、1度も連対していないだから厳しいかなあ。

天皇賞(秋)馬番⑪成績(GⅠ施行開始・1986年以降)
37頭(0-0-1-36)
※1986年、⑪ミホシンザンが3着したのみ。

イクイノックスとドウデュースの間に割って入って‥ダノンベルーガ1着まである?ない?もしも④ダノンベルーガ→⑦イクイノックス→③ドウデュースで決まったら、空気も読まずに喜びたい。とはいえイクイノックスは強過ぎるからなあ。でも、あの日のテイエムオペラオーもそんな存在だったしなあ。。発走まであと4時間だ!
 
 
ちなみに‥除外となったクロフネはダート「GⅢ武蔵野ステークス」に回り、これを圧勝!結果、ダート適性を見出される形となり、その後の「ダートGⅠ ジャパンカップダート」をも圧勝する未来へ繋がった。クロフネもやっぱり強かった。クロフネVSアグネスデジタル、見たかったなあ。その舞台は芝?ダート?マイル?2000m?妄想は楽しい。
 


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