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あの日、サザンライブの思い出

10月に入り、一気に朝晩の冷え込みが増してきた。
気候の変化と同じく、身の回りの環境の変化も著しい。
8、9月はゆったりな時間を過ごし、10月からはまた新たなスタートを切ったから、自分時間がぐんと減り、その為なのか時間の使い方のバランスがわからなくなる日々を過ごしている……
その辺に散らばっている『書く』話題が見えなくなってしまい、『感じる』ことじゃなく、『考えてしまう』時間が増えてしまったように思う。

ああ。

ぽやぽやとした自分の行方が蜃気楼状態のなかで、なんとなく見てみようと思った番組だった。
架空の音楽雑誌をコンセプトにして、第1話目ではゲストとナインティナイン4名が、サザンオールスターズの『茅ヶ崎ライブ』を取材し、そこで見たり感じたものを記事として残す、というテレビとイベントレポートを掛け合わせた番組だ。
サザンと言えば、わたしもだいぶ前に行ったなぁ、しかも野外だった!と見ていて懐かしい気持ちになった。
そして、彼らが書いた記事は番組内ではなく『音楽ナタリー』というポップカルチャー専門のウェブメディアで読める。
彼らのそれぞれのライブレポートも読み進めて更に、あの時行ったときの思い出について、『書け書け~』と背中を押された次第である。

どんどん……

わたしはこのライブには参戦していないのだけれど、20代のある日に姉に誘われて訪れた、初めてのサザンライブを思い出した。
背後ではどんどんと日が沈み、目の前のステージバックには月が昇ってくる。風に乗る鳥が空を飛び、その涼しさを肌で感じる。
素晴らしい歌が耳を通り抜ける。
身体全体が、ライブ会場を、ライブそのものを感じる。どんどんどんどん、感覚が研ぎ澄まされていく。
野外ライブってこんなに気持ちがいいものなんだ!
その視覚や、感触が思い出される。

のぼりたての満月🌙

ライブ前の出来事

その日のライブには電車で姉と一緒に向かっていた。
移動車内で父の話をする姉に、どこか嫉妬心のようなものがくすぶり始めていた。
3歳の時から離れて暮らしていた父とは、接点があまりない幼少期を過ごしたわたし。
9つ離れた姉は、わたしよりも知っていることは単純計算するなら3倍だ。
その嫉妬はその時に始まったことではなく、恐らくその時がピークだったのだろう。
そのくすぶる火の元に、ライブ直前の電車内で着火してしまったのだ……

パパのこと、そんなに知ってるのズルい!そんなに好きなのズルい!!そんなに話せる話題があるのズルい!!!

記憶をたどると、恐らく当時、恋愛がうまく行かないのは父のことをよく知らないから、父とちゃんと向き合えていないから、そういったことを背景に思い描いていた気がする。
そんなこともあっての姉への嫉妬だったと振り返って思う。
父のことが大好きだから、というものではないということは悲しいかな、確信している……

乗り換えする駅のホームで、止めどなく流れる涙と怒りと、たぶん悲しさと。
今でも感情豊かだとは思うが、更に豊満なその感情に自分自身も飲まれていた。
ホームでは『もう行かない!!』と怒り狂っていた(笑)
本心では行きたいのはもちろんだったが、この怒りを、涙を、どうしまっていいものか分かりかねていた。
なぜにこんなに涙があるれるのか。怒っているのか。悲しいのか。はたまた悔しいのか。
わたし自身もわかっていなかったと思うし、今となっては、もっとわからない。
なだめる姉も大変だったと思う。
ここに改めて『ごめん』を記す……m(_ _)m

ライブレポはありません><

多少の時間は要したものの、それでも気持ちをある程度持ち直して参戦できたのが、あの日のサザンのライブだったのだ。
日が沈んでいくのと、月が昇ってくるのは、どちらの存在をも感じられる場所にいなければ感じることはできない。
高いビルに囲まれた場所ではあまり見ることはできないし、室内にいたら尚更だ。
当たり前にそこにあるのに、当たり前には感じられない風景に心が踊った。
『泣いちゃったな』『わめいてしまったな』
その後ろめたさを感じつつも、自然の中で身体いっぱいにエネルギーを感じたサザンのライブに、癒された日だった。

五感を使って

この新番組は、記者の設定というわくわく感をわたしに芽生えさせた。
第1話目にして偉大なるサザンオールスターズがテーマとなり、そこから派生してわたしのサザンにまつわるエピソードが思い出された。そして、書いてみたい!というきっかけがなぜかむくむくと大きくなった。

ぷんぷんな金木犀

ここ数日のぷんぷんと芳しい金木犀の香りを感じるように、音楽や映像も、あの日、その瞬間を思い出させる。五感って素晴らしい。見えること、聞こえること、嗅げること、触れられること、味わえること。そこにあるものを感じ、そこで触れたものについて、またこうしてわたしらしく、わくわくと記せていけたらいい。


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