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No.4|育児・教育|こどものためのマインドフルネス

マインドフルネスとは?

マインドフルネス(mindfuleness)という言葉がメディアでも取り上げられるようになり、書籍もたくさん出ています。もともとは慢性疼痛の治療法として開発され、精神医学や臨床心理学の分野で研究と実践が行われてきました。最近では、Googleの社員研修にはマインドフルネスを取り入れているという情報発進から、多くの企業においても注目が集まっているようです。

マインドフルネスは「今ここに意図的に注意を向ける」と定義されていますが、これだけの説明だと、意味がわかりにくいかもしれません。私たちが悩んでいる時の内容は「過去」と「未来」についてです。私の学生時代の指導教員は「過去と他人は変えられない」とよくおっしゃっていましたが、それでも私たちは、過去に起きたことの原因や理由を何度も考え悔やんだり(反芻)、実際に起きるかどうかもわからない未来の出来事について心配をしてしまいます。

今目の前にあることに集中できないのは、過去や未来に注意を向けてしまっている心の状態を自分では操縦できないからです。マインドフルネスは、このような心配や反芻をしている自分に素早く気付き、その時々に集中すべきものに注意を戻すというスキルを育ててくれます。

子どもの学習・適応の促進とマインドフルネス

今ここに集中するメリットは人それぞれかもしれませんが、私は「感情のコントロール」にあると思っています。自分の嫌な感情や思考に呑み込まれていることに素早く気づき、今は○○に集中しようというマインドフルネスの心構えは、必要以上にネガティブな感情や考えに引きずられずに、自分の目的を冷静に達成することに役立ちます。

子どもたちは、集中力に関する能力が未発達なこともあり、一旦嫌な思いをするとなかなか気分を切り替えることができません。また、嫌な感情や考えに呑み込まれてしまい、必要以上に怒ったり、破局的な行動を選択してしまうことも少なくありません。そのような状態が、学校場面だと学習や適応の阻害要因になったりします。反対に、その時々に集中すべきものに穏やかに意識を向けることができれば、学習にも集中して取り組め、友人や先生との対人関係なども良好になっていきます。

マインドフルネスのエクササイズ

マインドフルネスのエクササイズは多種多様です。大胆に言ってしまうと、「今ここに集中する」ということが促されることに焦点をあてることができれば、どんな活動もマインドフルネスのエクササイズになります。今回は一番基本的な技法とされている「呼吸瞑想」のエクササイズについて紹介します(下のイラスト図は「朝日小学生新聞」のインタビューを受けたときの記事の抜粋です)。

この呼吸瞑想は「カエルのエクササイズ」と呼ばれることもあります。それは、息を吸ったり吐いたりするときのお腹の膨らみや縮みを意識してエクササイズを行うからです。

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1. 背筋を伸ばして座ります(肩幅を開くイメージがいいでしょう)。
2. 息を吸いながらお腹の膨らみを感じます。
3. 息を吐きながらお腹の縮みを感じます。
4. 吸って吐いてを1セット行ったら「1(いち)」と心で数えます。
5. 2セット目は「2(に)」と10セット(10)まで数え終わったら、また「1(いち)」と数え始めます。
6. 雑念が浮かんだら、「戻ります」と心で唱え、呼吸に意識を戻します。

最初は5分程度からスタートするといいでしょう。大人が実施しても5分は長く感じます。筋トレと同じで毎日継続できると効果があらわれてきます。我が家では、学校に行く前に15分だけ家族で呼吸瞑想をする時間を設けています。

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【今日のポイント】

子どもたちが「今ここ」に優しく意識を向けられるようになれば、自分の感情に呑み込まれない穏やかで活発な生活が送れるようになるでしょう!

欧米ではマインドフルネスが教育プログラムに取り入れられています。マインドフルネスの考え方の根本には仏教思想がありますので、多くの日本人には馴染み深いように思います。マインドフルネスは頭で理解するよりも体験によって理解した方がいいという人もいますので、大人も一緒にマインドフルネスのエクササイズに取り組めるといいでしょう!

心理学の知識を楽しくご紹介できるように、コツコツと記事を積み上げられるように継続的にしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。