巡礼35日目 back to サンティアゴ・デ・コンポステーラ(autobús)「だけど」と私
🚍muxía - santiago de compostela
静けさはごちそう
この日はバスでサンチャゴに戻るだけなので、安心して寝坊して(といっても8時前)アルベルゲであさごはんを食べた。前日少し話したオランダ人ご夫婦と相席する。
「フィニステーレもムシアも最高、また来たい。やっぱり海のあるところがすごく好きだなって。」と話す私に、「住んじゃえばいいじゃない!」とあっけらかんとした様子。「ええ?!」と驚くと、「だって仕事辞めてきたんでしょ、なんにも問題ないわよー。」と笑う。
「確かにそうだけど・・・。」と、ご夫婦の奥さんの一連の返しに引き出された、この「だけど」に私の中がまた揺れた。「だけど」、なんだろう?
オランダ人の男性が、自分の住む街の好きなところは「話が早いところ。こうしたい、と思ったらあれこれ言わずにすぐやるんだ。」と話していたのを思い出す。私はわりと行動力ある方だと思っていたけど、悩むとまるで動けなくなってしまう(数年単位で)のも事実だった。向き不向きなどもあるだろうし、ムリをする必要はないと思うけど、いまの私はどうだろう?
チェックアウトしてすぐ、ざわざわついでにsantuario da virxe da barcaに行こうと決める。昨日は手ぶらで行っちゃったし、バックパックを背負って最後の締めくくり、ちょうどいいや!
中心地を抜け、住宅街を抜けて、あっという間にsantuario da virxe da barcaに到着。岩場におりて座って、存分に海を眺めて過ごす。午前中早い時間だからか、きのうよりさらに人が少なくて、波の音と風の音と、うっすらカモメの鳴き声だけが聴こえる状況にボーっとしてきて寝てしまいそうだった。
・・・何時かな?
人がだいぶ増えてきたし、思い切って丘の上の十字架を見に行くことにする。
すごい遠くに見えたけど、登ってみたらあっという間。誰もいなかったので、岩と岩の間?にハマりこんで座って、目を瞑った。しばらくのあいだ全身で静けさを味わいながら、いろんな思いが浮かんだり消えたりするのを感じていた。
だれかやってきたのに気づいて目をあけると、男女4人組、先頭の男性が「ひとり静かな時間を邪魔してごめんね・・・」と会釈している。「もう十分ここで過ごしたから、どうぞ。」と立ち上がった私に、女性が「あの十字架のところで写真を撮ってあげましょうか?」と提案してくれた。「いいの?」と私、女性は笑顔で「sure, i'm glad to help you ! 」、スマートフォンを渡して写真を撮ってもらう。
「i'm glad to help you.」っていいな・・・4人にさよならして丘を下りながら、温かい気持ちに泣けてきた。「カミーノ終盤になってからというもの、どうしたんだ!」困惑しつつも、胸のあたりにブクブクとわくものの気配に、これはこれできっといい傾向なのではないかな?と思う。
お昼ご飯を食べてからバスに乗って、サンチャゴへ。最初にサンチャゴに着いた時とはまた違う気持ち、ちょっとした「ただいま!」感を感じる。
この日は泊まってみたかった修道院?神学校?のアルベルゲに宿泊。ドミトリーと個室で2€しか違わなかったので個室にしてみたら、ミニマムに落ち着いた。ドミトリーも個室もそれぞれにいいなあ。
「もし金銭的な制限がなかったら、私はどうするかな?」カミーノ後半戦あたりからちょこちょこ浮かぶ、この問いがまた脳内を行ったり来たり。「どうなの、私?」
「・・・どっちも好きなのよ!そう、どっちも。」私にはそれがシックリくるかな。うん、きょうのところは個室をたのしもう!
アルベルゲは中心地から少し離れていたので、いちばん近いスーパーでフルーツとヨーグルトだけ買い出しして、すぐ戻った。混み合うキッチンで手持ちの食材すべてを使い切って最後のパスタをつくる。カミーノでのいろいろを思い返しながら食べたあとは、建物内を散策して過ごした。
それにしても修道院とかの建物が好きなんだよなあ、修道女(修道士)の前世とかあるのかな?回廊とか、中庭とか、最高なんだけど!
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