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総説紹介:スパイク蛋白質の病原性=ウイルスとワクチン両方のmRNAに由来

新型コロナウイルスのスパイクタンパク質(Sタンパク質)は特徴的な分子であり、ウイルスのみならず、そのタンパク質自体が持つ病原性についても研究が進んできている。Sタンパク質の持つ毒性は新型コロナウイルス感染時のリスクとなるだけでなく、これを利用したワクチン全般において生じ得る問題となる。一方で、このブログでは核酸ワクチンについてその特有のリスクを説明してきたため、主題としては扱ってこなかったが、関連の事象に関しては他の記事でもたまに「Sタンパク質そのもの」が持つリスクについて触れてきた。本来は私の指摘したい「核酸ワクチン特有のリスク」とは異なるものだが、たまたまSタンパク質の病原性についてよくまとまっているレビュー論文を見掛けたので紹介しておこう。

「'Spikeopathy': COVID-19 Spike Protein Is Pathogenic, from Both Virus and Vaccine mRNA」
(Biomedicines. 2023 Aug 17;11(8):2287.)

この論文は以下の様な導入で始まっている。

COVID-19パンデミックは、多くの病気と多くの死者をもたらし、社会に大きな混乱をもたらした。安全で効果的な」ワクチンの製造は、公衆衛生の重要な目標であった。悲しいことに、前例のない高率の有害事象が、その恩恵に影を落としている。

この筆者らは核酸ワクチンに対して相当に否定的なのであろう。このレビュー論文では、mRNAおよびアデノベクターDNAワクチンの広範な有害性の証拠を提示し、病原性の証拠がある外来抗原を産生するヒト細胞に依存したワクチンの新技術から生じる有害性の徹底的な概観を提供しようとしている。特に、ウイルス由来であれ、ワクチン遺伝子コードによって産生されたものであれ、「スパイクオパシー」と呼ばれるSタンパク質の病原性は、分子生物学と病態生理学の観点からまとめられている。以下はサマリーの一部である。

脂質ナノ粒子やウイルスベクター担体によって、注射部位から離れた体組織を通して薬物動態学的にトランスフェクションされることは、「スパイクオパシー」が多くの臓器に影響を及ぼす可能性があることを意味する。mRNAを運搬するために使用されるナノ粒子の炎症特性、合成mRNAの機能を延長するために採用されるN1-メチルシュードウリジン、mRNAとDNAおよび翻訳されたスパイクタンパク質の広範な生体内分布、およびSタンパク質の細胞による産生を介した自己免疫が、有害な影響の一因となっている。本論文では、自己免疫、心臓血管、神経、潜在的な腫瘍学的影響、および「スパイクオパシー」に関する剖検の証拠について概説する。

私がいつも指摘している過剰な免疫活性化や、自己細胞がSタンパク質を抗原提示するという核酸ワクチン特有のリスクについてもきちんと触れていることが分かるだろう。また、論文ではリスクベネフィット比較についても言及しており、今までの短絡的・短期的なリスクベネフィット論に根本的な疑問を投げかけている点でも特徴的なレビューである。

このレビューではナノ脂質やシュードウリジンなどワクチンに含まれる副成分に関する報告や、核酸ワクチン以外のワクチンモダリティに関する知見など非常に多くの情報を網羅している。新型コロナウイルスSタンパク質そのものの病原性についてもSタンパク質の特徴を含め非常によくまとまっている。また、神経系異常についての知見は特に興味深い。私はいつも新型コロナウイルス最大のリスクとして、神経系症状を挙げており、その理由としてSタンパク質がNRP1という神経特異的分子に結合する変異を獲得している点を述べてきた。論文中でも、米国で行われた13例の脳剖検から、Sタンパク質のS1サブユニット(受容体結合ドメインRBDを含む)が、内皮炎、サイトカイン放出、神経毛細血管損傷を伴う神経血管内皮細胞の変性を引き起こすことを証明した論文が引用されている。この様な現象がSタンパク質に依存している場合はワクチンでも同様のリスクがあることになる。

この論文は非常にボリュームのあるレビュー論文であるが、知識の蓄積という点に於いて非常に為になる論文だと思われるので、ぜひ読んでみてほしい(幸い無料で読める)。最後にこの論文の結論部分を以下に載せておく。

この総説では、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質、特にS1サブユニットの病原性としての役割を明らかにした。また、現在では、mRNAやアデノベクターDNA遺伝子コードによって産生される、広く生物学的に分布するスパイク・タンパク質が、さまざまな疾患を誘発することが明らかになっている。根底にある病態生理学的、生化学的メカニズムは解明されつつある。mRNAワクチンやノババックスワクチンの脂質ナノ粒子キャリアは、病的な炎症促進特性をも有している。ヒト組織内で外来抗原を産生する遺伝子ベースのワクチンという前提は、自己免疫疾患や炎症性疾患、特に分布が高度に局在していない場合のリスクをはらんでいる。

COVID-19ワクチンに関連した疾患は、急性、慢性を問わず様々な症状を呈する可能性があり、既往症の悪化も懸念される。私たちはまた、遺伝子ベースのCOVID-19ワクチンと脂質ナノ粒子キャリアマトリックス、およびmRNAまたはウイルス-ベクターDNA技術に基づく他のワクチンの中止を提唱する。より安全な方法は、SARS-CoV-2に対するワクチンとして現在数多くある、十分に試験された組換えタンパク質、弱毒化または不活化ウイルス技術を用いたワクチンを使用することである。

とくに最後のひと段落については完全に同意したい。核酸ワクチンの使用は即刻中止し、既存ワクチン技術を用いたワクチンを使用することが現状できる唯一のまともな方策であろう。

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